手にした聖火トーチ、地元で巡回展

白血病から復帰の平川さん

 「私にとって聖火トーチは元気になった証。復帰の象徴」—白血病となり400日以上の入院生活を乗り越え、東京オリンピックの聖火ランナーに参加した高月町布施の平川健太さん(40)が手にした聖火トーチが町内の公共施設で巡回展示されている。

 平川さんは5年前、発熱の症状が治まらず、受診したところ、白血病と診断された。守山の病院に入院した平川さんは家族と離れたまま、闘病生活を送った。

 幼い子ども2人の子育てをしながら、車で片道2時間かかる病院まで妻のさきさん(40)は、ほぼ毎日通い、励ましてくれ、友人たちの応援も心の支えになった。また、長い抗がん治療も実らず、再発し、骨髄移植を受けることになり、弟の真也さん(37)に協力してもらった。

 「元気になれたのは家族や友人、みんなのおかげ。オリンピックで思い出を残したい」と聖火ランナーに応募。企業枠で当選し、5月28日、彦根城の堀周辺約200㍍を走った。

 ずっしり重たいトーチ。緊張の中、みんなへの感謝の気持ちを聖火に込めながら、完走できた。記憶の中では一瞬の出来事だったが、「この思いを地元の人にも伝えたい」と近くの七郷小や高月体育館などでトーチやユニフォームを展示することに。

 展示会場のひとつ、たかつき認定こども園では8日、平川さんが園を訪問。園児たちが聖火リレーの説明を受けながら、トーチにふれた。園児たちは「重たい」「つるつるしている」などと歓声を上げ、全員で「見せてくれて、ありがとう」とお礼を述べると、平川さんは「大きくなったら、オリンピックに出て下さい」とエールを送っていた。

掲載日: 2021年06月08日