特有の悩みや情報を交換 孤立防ぐ
湖北地域で双子を育てる母親らが、双子、三つ子などの「多胎児」の家庭を支援する市民活動グループ「käsikäsi(カシカシ)」を設立。多胎育児特有の悩みや情報を交換したり、ピクニックを催して交流の場を設けたりしている。
同時に複数の乳児の面倒を見る多胎育児は外出、入浴、食事、夜泣きなどで母親の負担が大きい。外出困難のため母親が孤立したり、交互の夜泣きで睡眠不足に陥ったりし、育児ノイローゼから虐待が発生しやすいと指摘されている。一般社団法人「日本多胎支援協会」(神戸市)の調査によると、多胎家庭における虐待死の発生頻度は、単胎家庭の2.5〜4倍となっている。
愛知県豊田市で2年前、三つ子の母親が次男を虐待死させた事件を受け、「他人事ではない。私たちの経験を子育てに生かしたい」と、長浜市内で活動する多胎児サークルの川部瑞恵さん(34)=高月町井口=や清水有紀子さん(39)=三田町=ら双子を育てる母親有志6人が支援グループを立ち上げた。「käsi」はフィンランド語で「手」を意味し、「手と手を取り合ってみんなで子育て、活動しよう」との思いを込めた。
多胎育児はどのような苦労を抱えているのか。グループがサークル参加者から聞き取った「困ったことランキング」では「外出できない」が1位、「ママ1人でのお風呂入れ」が2位、「休む間がない。同時泣き」が3位となった。「精神的に余裕がなく、不安感や恐怖感を感じてしまう。家事も進まないし、成長の記録を残す暇もない」との切実な声も出た。
カシカシでは月2回、市内で「おしゃべり会」を催して多胎育児特有の悩みや喜び、情報を共有するとともに、公園でピクニックを開催して互いに助け合いながら外遊びを楽しんだりしている。
今月17日には虎姫文化ホールで開かれた男女共同参画イベントに参加し、活動をPR。それぞれ重さ約9㌔の人形を展示して双子の抱っこを体験してもらったり、近隣店舗では展示・販売されていない双子用ベビーカーを紹介したりして、多胎育児について来場者に知ってもらった。
今後もワークショップや研修会の開催を予定し、サークルの参加者や活動を支援するピアサポーター(経験者)を募集している。代表を務める川部さんは「身近に双子や三つ子の方がいれば、このようなサークルやグループがあることを伝えもらい、橋渡しをして頂ければ」と話している。グループに関する詳細はホームページ(https://kasikasi.amebaownd.com/)へ。