刈安染「浜ちりめん袱紗」

長浜農高のオリジナル商品、発売

 伊吹山の染料作物として伝わる近江刈安(かりやす)(別名・伊吹刈安)の復活プロジェクトに取り組んでいる長浜農業高校の生徒たちがオリジナル工芸品「長浜浜ちりめん製袱紗(ふくさ)」を開発。インターネットでの注文販売を始めた。

 カリヤスはススキ科の多年草で、各地に自生。天平時代から染料として利用された。中でも伊吹山3合目付近のカリヤスは周りに木がなく、日がよく当り、成長が良く、良質な色素を持っており、発色が良いのが特徴だった。

 平安時代、黄色染料として朝廷にも納められたが、化学染料の普及などで、手間がかかる草木染めは減退し、近江刈安の栽培地や業者も無くなった。同校食糧生産分野の2年生は伝説の近江刈安を復活させようと、調査研究。試行錯誤しながら、きれいな「からし色」に染める方法を編み出した。

 新商品の袱紗(縦横45㌢)は長浜の特産「浜縮緬」を近江刈安で染め上げたもの。独特の風合いが気品あふれ、高級感を醸している。製作した長谷川莉玖君は「商品化できて嬉しい。縮緬は他の繊維と異なり、仕上がり具合が上品。近江刈安の素晴らしさを感じてもらえれば」と話している。

 新商品は米原市商工会のネットショップ「オリテ米原」、米原駅東口の特産品市場「コンセ」で注文できる。3850円(税込み)。

生徒たちが近江刈安の染め物講習

 近江刈安の素晴らしさを知ってもらおうと、同校の生徒たちが14日、米原市の伊吹山文化資料館で染め物講習会を開いた。

 桐畑育実さんら食糧生産分野の2年生7人はこの日、型染めハンカチの作り方をアドバイス。11人の参加者は45㌢四方の絹に貼った型紙の上に型抜きできる防染糊を塗布。洗い流した後、生徒たちが早朝から仕込んだ染料(カリヤス)で染めてもらうと、南天や牛など絵柄付きの黄色いシルクハンカチができあがった。

 桐畑さんは「皆さん、興味を持っておられ、教えがいがあった」と話し、長浜市公園町の藤田美都さんは「朝廷に献上されたほどの近江刈安を実際に見て、ふれることができ楽しかった。完成品は壁に飾りたい」と語っていた。

掲載日: 2021年03月15日