「獺祭」向け酒米で、賞金1000万円
日本を代表する日本酒「獺祭(だっさい)」を醸造する旭酒造(山口県岩国市)が酒米・山田錦の品質を競うコンテスト「最高を超える山田錦プロジェクト2022」を開催し、長浜市の下八木営農組合が準グランプリに輝いた。17日に東京で表彰式があり、賞金1000万円が贈られた。
コンテストは4回目。グランプリに選ばれると旭酒造が市場価格の25倍にあたる1俵50万円で買い上げるとあって、同社と契約する酒米農家の目標ともなっている。
今回は全国から90者の応募があった。最高級の獺祭は米の周囲を極限まで削り取って作られることから、米粒の中心を占める「心白(しんぱく)」が小さく中央に寄っているなど、どれほど精米に適しているかが審査基準となっている。
最終選考には3県の8者が残り、この日の表彰式で結果が発表された。グランプリには熊本県の農事組合法人「水穂やまだ」が選ばれ、賞金3000万円が贈られた。
準グランプリに輝いた下八木営農組合は組合員10人。2015年から転作作物として獺祭向けの山田錦に挑戦し、現在は4・6㌶で栽培している。組合長の沓水謙一さん(77)は「山田錦は水の管理、肥料、乾燥など手間がかかる。収穫時期もコシヒカリに比べて遅く台風の影響を受けやすい。これまでなかなか成果が上がらず苦労してきた」と振り返ったうえ、「準グランプリはこれまでの苦労が報われ励みになる。これからも栽培を頑張りたい」と話している。
このほか、最終審査には川崎太門さん・由利子さん夫婦(富田町)、川瀬晴弘さん・さつきさん夫婦(錦織町)も残り、入賞した。長浜市産山田錦が高く評価された格好となった。
長浜市内では米穀肥料商「落庄商店」(落合町)の呼びかけで2015年から獺祭向けの山田錦の栽培が始まった。水管理などに手間がかかり食用米に比べ収量が少ない反面、買い取り価格が高いのが魅力となっている。
なお、前回のグランプリを獲得した山田錦で作った獺祭はニューヨークのオークションで720㍉㍑瓶1本が115万円の値段を付けるなど、海外でも注目されている。