主体は70代80代 社会とのつながり 元気の源
古くから市街地を形成し、商店や住宅が密集する長浜市の中心地区。現在は住民の高齢化と若者の流出で高齢化率が30%を超え、高齢者世帯のサポートが地域の最重要課題となっている。80歳以上の高齢者が1200人を超えるこの地域で、男女11人が高齢者の話を聞いて寄り添うおしゃべりボランティアグループ「話咲隊(はなさかたい)」を結成。メンバーの中心となるのは70代、80代の高齢者だ。
話咲隊は長浜地区地域づくり連合会の呼びかけで今年1月に結成された。昨年開いた講座「おしゃべりの門には福来る」の受講生で構成される。2人1組で高齢者宅を訪問しておしゃべりに花を咲かせ、悩みや困りごとを聴いたりする。新型コロナウイルスの影響で本格的な活動を控えているが、交流の場を企画するなどして活動の輪を少しずつ広げている。
長浜地区社協会長を務める吉村三津子さん(73)=一の宮町=は「社会とつながっていることが元気につながる。人の役に立つ活動が自分の元気になる」と率先して参加した。「コロナで手帳は真っ白になった。意識して活動しないと筋肉も頭の回転も衰えます」と語る。
沢尾珠枝さん(73)=大宮町=は「先輩としゃべると料理や健康の話などいろんなことを聴ける。高齢者も楽しめて自分も勉強になる一石二鳥の取り組み」と話す。
藤居雅子さん(80)=朝日町=は自身が立ち上げたサロンが新型コロナの影響で活動中止となり、外出の機会が減ったことから隊への参加を決めた。「コロナでどこにも行ってないし、会っていない。これでは足が弱ります」と語っている。荻田和子さん(83)=北船町=は藤居さんの誘いで隊に入った。「助けてもらわなあかん年齢ですが、コロナで人に出会う機会が減った。自信はありませんが、元気な方とおしゃべりして元気をもらいたい」と話している。
自治会長を担当し、地域づくり連合会で活動したのを機に「地域の人を見守る活動をできれば」と参加した野中文雄さん(72)=高田町=は数少ない男性メンバー。「女性の方がおしゃべりが上手かもしれないが、男性と話が合う高齢者もいるかもしれない」と語る。
隊員が口を揃えるのは新型コロナが与える健康への影響。外出や人に出会う機会が大幅に減り、体の変調を感じ取っている。このため、ラジオ体操を日課とするなど健康管理に気を遣っている。藤居さんはラジオ体操のほか、琵琶湖までウォーキングし、ハーモニカを演奏している。野中さんは酒、たばこをせず、早寝早起きの規則正しい生活を心掛ける。沢尾さんは長浜市が推奨する「きゃんせ体操」を楽しみ、「あとはテレビや週刊誌で紹介された体操や食事はすぐに取り入れます」と笑う。
25日には長浜まちづくりセンター(さざなみタウン内)で話咲隊の交流会を開く。「コロナ落語」「きゃんせ体操」のほか、お話会がある。5人は「気楽に参加して一緒におしゃべりしませんか」と呼びかけている。希望者は長浜地区地域づくり連合会(℡64・2753)へ予約を。