元浜町で石仏2体盗難

住民困惑「返還」「情報提供」求む

 元浜町で8日、地蔵など石仏2体が盗まれているのが見つかった。住民たちは「長年、守り続けているお地蔵さんを盗むなんて」と罰当たりの犯行に怒りを露わ。地元2自治会は同日、長浜署に被害届を提出した。

 8日朝、大手町自治会の男性が大手門通りの安浄寺前の地蔵堂内の地蔵が無くなっているのに気付いた。同じ日、その現場から約200㍍離れた駅前通り沿いで、御堂内の石像2体のうち、大師像の上半身だけが盗まれているのを西本町自治会の女性が発見。いずれも、自治会長を通して、署に被害届を出した。

 大手町の石仏は「大手延壽水護縁喜地蔵」(通称・大手延寿地蔵尊)と呼ばれ、自治会によると、80〜90年前、十一川から出てきた地蔵さんを住民がもらってきたもの。移転を繰り返し、現在のアーケード内に安置された、という。

 市の文化財などには登録されていないが、地蔵盆には多くの子どもや住民が参拝。また、市街地を散策する観光客が手を合わせ、拝む姿もよく見られていた。

 供花の世話をしている女性は盗難が判明した前夜、石仏があったことを確認しているが、商店街は深夜、人通りが少なく、御堂の扉の施錠もされていなかった。単独犯とみられ、署では関連性を調べている。

 市民協働部の太田浩司学芸専門監は「まったく罰当たり。いずれも新しい石像のため、骨董としてオークションや市で流通する可能性は少ない。マニアがコレクションとして、自分の庭などに飾るために盗んだのでは」と推測する。

 杉本義明自治会長は「先輩方が大切にし、地域に愛されてきた町の護り仏。戻ってきてほしい。何か情報があれば、ぜひ教えてほしい」と呼びかけている。

 大手延寿地蔵尊は高さ約25㌢、幅15㌢で重さは8㌔程度。目鼻立ちがはっきりしているのが特徴。7日午後7時から8日午前5時半までの間、盗まれたとみられる。情報提供は杉本自治会長℡090(8824)9372へ。

掲載日: 2020年09月15日