「売り手市場」の地域おこし協力隊
売り手市場となっている「地域おこし協力隊」の隊員を確保しようと、長浜市は今年度から一定期間、現地に滞在しながら、地域活動を体験する「おためしワークステイ」を開始。県内初の試みに注目が集まっている。
地域おこし協力隊は国が設けた制度で、都市から過疎地に移住し、まちおこしを図りながら、移住・定住を促す取り組み。市では2015年度からこの制度を導入し、これまで3期、計22人の隊員が着任。中でも市北部の振興を目的に着任した人たちはほぼ、長浜に定住している。
市では次年度、一部隊員が任期を終えることから、成り手確保と移住促進を兼ね、新規隊員の募集を計画。ところが応募者数は全国的にみて、ほぼ横ばいの一方で募集する市町村の数は右肩上がり。中には「応募ゼロ」の自治体もあり、危機感を抱いた長浜市では受け入れ地域や住民、協力活動の内容を知ってもらおうと「おためしワークステイ」を企画した。
プログラムに関する費用は市が負担。期間中の飲食費や交通費、フリー時間の経費は自己負担という内容で今夏、募集をかけたところ、大阪の女性2人と名古屋の男性1人の応募があり、女性2人は10月に体験を終了。名古屋市の会社員・竹田展基さん(35)が今月21日から1週間の日程で、市内各地で体験をしている。
竹田さんは市が用意した空き家に宿泊しながら、「余呉秋の収穫祭」のスタッフとして参加したり、森林伐採、赤カブ収穫の手伝い、移動販売車カエル号の体験などをしている。
木之本町金居原生まれの竹田さんは高校卒業後、名古屋に移住。登山が好きでながはま森林マッチングセンターのトレッキングツアーに参加したことがきっかけで、地域おこし協力隊に興味を持った。「おためし」は有休を活用して参加しており「故郷だが、知らないところが多く魅力的。体験してみて1人でできないことも多くあり、地域を巻き込みながらしなくてはならないことも実感できた。募集があれば、応募してみたい」と話していた。