国の名勝庭園、「経画」などイベントも
米原市米原の青岸寺で29日から、名勝庭園の紅葉ライトアップが始まった。点灯期間中は日本画の展示やコンサートなどが催される。
寺院は南北朝時代に京極道誉によって創建。焼失により、慶安3年(1650)に再興された曹洞宗の禅寺。庭園は三世・興欣和尚が井伊家の家臣で彦根の玄宮園、楽々園を造園した香取氏に命じて造らせた回遊式枯山水庭園。
太尾山の石を使った大きな石組みは圧巻。通常、川や池を表現する白砂の代わりに杉苔を用いており、山水画を思わせるような美を表現している。雨が降ると湧き水が流れ、水を張り巡らせる池泉庭園となる二面性を持つ。江戸時代後期の近江を代表する名庭園といわれている。
婿養子となった永島匡宏さん(34)は4年前まで、住職の傍ら、外に勤めに出ていたが、拝観者にも十分な対応ができず、「住職は寺にいるべき」と、昨年10月、寺の一部をリフォームしてカフェ「」をオープン。訪れる人が茶を楽しみながら、語らえる場を設けた。
永島さんは素晴らしい庭園をより多くの人に見てもらいたいと、クラウドファンディングを活用し、ライトアップを企画。目標額を上回る資金が集まった。
照明の設置にはクラウドファンディングの仲間たちが協力。色鮮やかな紅葉や趣のある雪吊りが妖艶な姿で浮かび上がる。また、建物内の随所に、ほのかな灯りの行灯を灯している。点灯期間中には市内在住の日本画家・西川礼華さんの作品8点を並べた個展、シタール演奏家・南沢靖浩さんやアカペラグループEMUシンガースのコンサート、お経と画を融合させた法要「経画」パフォーマンスを企画している。
永島さんは「寺離れが進んでおり、このままでは、という危機感を感じた。住職に専念し、地域に根ざした情報を発信できれば」と話している。午後6時から8時半、12月15日まで。拝観料は一般600円(昼間300円)。問い合わせは青岸寺℡0749(52)0463へ。