小谷丁野出身の脇坂章司さん設立
親同士の代理お見合いを企画している一般社団法人「良縁親の会」(京都市)は2020年で設立から15周年を迎える。良縁親の会は、未婚率の上昇や少子化の進展に日本の行く末を案じた長浜市小谷丁野町出身の脇坂章司さん(86)=写真=が05年に設立し、代理お見合い「結婚支援フォーラム」を全国で開催してきた。昨年11月末までに累計442回開催し、延べ3万4000人が参加してきた。良縁親の会の設立背景から、これまでの取り組み、今後の展望などを脇坂さんに聞いた。
——良縁親の会を設立した経緯は?
長年、ブライダル関連の会社で婚礼衣裳の取り扱いをしていました。定年退職後、「パラサイト・シングル」などと独身者が注目されていたことから、何かしら結婚をお手伝いできないものかと考えていたところ、一人っ子政策が進んでいる中国で子どもの結婚相手を親が探しているニュース番組を見たのがきっかけでした。日本でも息子や娘の結婚相手を探している親が多いはずだと、親同士のお見合いを思いつきました。当時72歳でしたが、長年、婚礼に携わってきたので恩返しをしたいという気持ちも強かったです。
——一般的な結婚相談所は独身男女のお見合いをサポートしますが、なぜ親同士のお見合いとしたのですか?
長年、ブライダル関係の仕事をしていて気づいたのですが、親同士の仲が良いカップルほど離婚する確率が低いような気がします。「離婚なき結婚」のためには親が絡まなければならないと思いました。それが親同士のお見合いの開催につながりました。
——15年間の歩みを振り返ってください。
初めての開催は京都でしたが、その後、大阪、名古屋、神戸に広がりました。2010年には九州で、翌11年には関東で初めて開催し、12年には累計参加者数が1万人を超えました。近年は自治体も後援してくれて輪が広がっています。17年には親と子が一緒に参加できるアラフォー向けの婚活「芳縁の会」もスタートさせました。現在は宮城県と福岡県に支部があります。
良縁親の会はメディアに取り上げられていることもありますが、参加した親御さんの口コミで参加者の輪が広がり、今では年間50回近くの結婚支援フォーラムを開いています。
成婚報告は求めていませんが「結婚しました」とお礼の手紙が届くと、やっていて良かったと思います。一番嬉しい瞬間ですね。
——親同士のお見合いがうまくいく秘訣はあるのでしょうか?
こればかりは双方のご縁と言うしかないですが、親のエゴや頑固さ、子のわがままがご縁を遠ざけている面はあります。親が子の結婚相手に求める条件が厳しすぎて身上書の交換にすらつながらないケースもあります。本人同士がお見合いしないことには前に進まないのですが、そこにすら至らないのは、もったいない話です。極端な例ではフォーラムに80回参加しても、結婚が決まらない方もいますが、これも条件を絞ることによってご縁を遠ざけているのだと思います。
——50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す「生涯未婚率」は上昇を続け、2015年には男性23・4%、女性14・0%となっています。男性の4人に1人、女性の7人に1人が一生独身なわけですが、未婚率の上昇をどう考えますか?
現代は勇気をなくしている男性が多いと思います。振られたら恥ずかしいと。ダメ元の心意気でアタックして欲しいものです。また、女性は収入が多くなり、バリバリ働いて独身生活を謳歌しています。女性の自立も未婚率上昇の背景でしょう。企業はもっと結婚を支援すべきでしょう。内部留保を増やすばかりでなく、結婚祝い金や子育て支援など、結婚を後押しすべきです。企業の経営者は日本の将来をもっと考えるべきではないでしょうか。
今年7月8日 多賀大社で開催
——最近は神社でも結婚支援フォーラムを積極的に開催しているそうですね。
神社で開催するのは、神様の力を借りる「神頼み」の側面もありますが、日本人の心の拠り所である神社でご縁を紡いでほしいとの願いを込めています。
2009年の神戸市の生田神社会館に始まり、全国の神社で積極的に開いています。昨年は西宮市の西宮神社、大阪市の住吉大社、名古屋市の熱田神宮など6カ所で開きました。今年2020年は7月8日に多賀大社でも開催することが決定しました。
——今後の展望は?
今後も地道にこつこつと、結婚支援フォーラムを全国で開催したいと思っています。まだまだ、私たちの取り組みを知らない方も多いです。2020年は設立15周年という節目の年となります。より多くの困っている方にご縁を届けたいと思います。
【良縁親の会】良縁親の会は全国で代理お見合いの会「結婚支援フォーラム」を開催している。フォーラムでは子の職業や年齢、身長、趣味、性格などのプロフィールを掲載した名簿をもとに、親が子のお見合い相手を探し、互いに条件が合えば、親同士で身上書を交換。お見合いにつなげる。成婚報告や報酬は不要で、気軽に参加できることから人気を集めている。