江北図書館 国登録文化財に

木之本地域の近代化伝える

 木之本町木之本の江北図書館(旧伊香郡農会庁舎)が国の登録有形文化財(建造物)に登録されることになった。国の文化審議会が24日、文部科学大臣に答申した。

 建物は木造2階建て一部平屋で、西側に平屋の台所棟が附属している。1937年(昭和12)に伊香郡農会の庁舎として整備され、75年(昭和50)に江北図書館が移転してきた。

 外観は前面中央に千鳥破風が設けられ、2階部分にある4連の半円アーチの窓と5つのバットレス(主壁を補強する控え壁)が目をひく。内部は1階に閲覧室、書庫、和室など、2階に畳敷の大広間、和室などがある。大広間と和室の境には4枚の引き違い板戸が立ち、その周囲はパルメット文様(シュロの葉をモチーフにした装飾)の額縁で囲んでいる。

 審議会では「現用途、当初の用途のそれぞれをたどることができる建造物であり、木之本地域の近代化を語るうえで重要な存在」と評価している。

 長浜市内の国登録有形文化財(建造物)は1996年の黒壁ガラス館本館(旧第百三十銀行長浜支店)の登録に始まり、江北図書館で37棟目となる。

修繕工事に着手 今後、保存活用委員会設置へ

 同図書館を運営する公益財団法人江北図書館は現在、建物の修繕プロジェクトに取り組んでいる。11月下旬に閲覧室を併設したトイレ棟の建設に着手し、12月初旬からは本館の外壁モルタル修繕、腐食した柱の取り替え、壁面のひび割れ修繕工事を行う。修繕工事費はクラウドファンディングで寄せられた寄付2194万円(目標額1500万円)に自己資金を合わせた約2400万円。

 また、文化財登録を機に、外部の有識者や地域住民が参加する図書館保存活用委員会を立ち上げて保存活用計画をまとめ、本格的な耐震・補強工事、書庫整備に取り組みたい考え。

 岩根卓弘理事長は「歴史的価値が認められ、嬉しく思っている。今後、図書館にあり方について意見を広く聞く機会を設け、本館の地域における役割を確定し、修繕の方法を決定していきたい。複数年に及ぶ長い道のりとなるが、支援、協力を引き続きお願いしたい」とコメントしている。

掲載日: 2023年11月27日