2年ぶり長浜曳山まつり 出番山が奉納
長浜曳山まつりは15日、ハイライトの本日(ほんび)を迎え、出番山の青海山(北町組)、諫皷山(御堂前組)、春日山(本町組)が子ども歌舞伎を奉納した。
一番山の青海山の舞台では、子ども歌舞伎の上演に先立ち、速水寛大君(10)が三番叟の舞を披露。扇を優雅に掲げ、鈴を振り鳴らして歌舞伎奉納の幕開けを告げた。
青海山の演目は「伽羅先代萩 御殿の場」。西岡逢音君(11)と拓音君(8)の兄弟が幼き主君を守る母子を演じた。二番山の諫皷山は創作歌舞伎の「新竹取物語」を披露。月の掟を破ったため姿をウサギに変えられたかぐや姫を朝日岳君(12)が美しくも物悲し気に演じた。
市民や観光客、写真愛好家らが観覧に訪れ、絢爛豪華な曳山の舞台で華やかな衣装をまとった子ども役者が堂々とした演技を見せるたびに大きな拍手を送っていた。
新型コロナウイルス感染防止のため、曳山の前に間隔を空けてイスを並べて立ち見客が密集しないようにしたり、マスク着用を呼びかけるプラカードを掲げたりと、それぞれの山組が対策を講じていた。
曳山まつりは昨年、新型コロナの影響で中止となり、2年ぶりの開催。曳山巡行を取り止めたことから、歌舞伎は長浜八幡宮境内ではなく、それぞれの山組の町内で演じられた。16日も終日、歌舞伎が上演される。
独自に「夕渡り」 母親も付き添い
今年の長浜曳山まつりは長浜八幡宮への曳山巡行がなかった影響で、役者が八幡宮から町内へと列を組んで練り歩く「夕渡り」が中止となったが、出番山では独自に夕渡りを企画。14日夕方、商店街のアーケードなどを役者が練り歩いた。
夕渡りは御幣使や役者が行列を組んで、若衆に守られながら町内へ帰る行事。休憩を挟みながら遅々と練り歩き、沿道からのリクエストに応えて子ども役者がを切るなどし、曳山まつりの名物のひとつとなっている。
春日山の夕渡りでは御幣使、舞台方、役者の順に浜京極商店街を練り歩き、いつもは参加が認められていない母親が付き添った。「義経千本桜 吉野山道行の場」で佐藤忠信を演じる竹花慶人君(11)が威勢よく見得を切ると、沿道の若衆から「よくできました」「かっこいい」と声がかかっていた。
長浜信用金庫本店前に据えられた曳山の前では若衆筆頭の磯崎真一さんの司会で役者インタビューもあり、静御前を演じる野坂陽君(11)が「コロナ禍の中で見に来て下さっている方のため、悔いのない演技を頑張りたい」と語ると、若衆から「ヨイサー」と声が上がっていた。