長浜城歴史博物館で、出土品展示
琵琶湖の北端に位置し、かつて湖上交通の重要な拠点として栄えていた塩津港の遺跡を紹介する企画展「塩津—はこぶ・まつる・にぎわうのみなと」が長浜城歴史博物館で開かれている。
塩津港が古来、北陸と近畿を結ぶ琵琶湖の湖上交通の重要な拠点であることは文献により知られていたが、具体的な証拠がなく、謎が多い場所だったとされる。2006年からの発掘調査により、港や神社の様子がうかがえる平安時代の遺構や遺物が多数見つかり、塩津港の姿が徐々に明らかになっている。
神社の遺構からは起請文が書かれた木札400点以上が出土(写真)。任務完遂を神に誓う契約書のような役割を持っていたとされ、出土した中でも最古の起請文木札には「請け負った荷物の魚を1巻でも取り流すことがあれば近くは3日、遠くても7日のうちに8万4千の毛穴から神罰を受ける」との誓いが記されていた。また、神仏習合の影響を受けて平安時代に盛んにつくられた神像5躯も出土している。
企画展では「はこぶ」「まつる」「にぎわう」の3つの視点で起請文木札や神像など72件を展示し、平安時代の塩津港の実像に迫っている。11月2日午後1時半から展示説明会がある。
入館料は大人410円、小中学生200円(湖北地域は無料)。午前9時から午後5時、12月15日まで。