古建具やガラスに新しい価値

学生がテーブルや皿など制作、黒壁で展示

 近年、古民家の価値が見直され、住宅や宿泊施設へのリノベーションがブームになる中、引き戸などの古民家の建具は廃棄の対象となることが少なくない。その建具を解体・加工してテーブルや皿などを生み出す取り組みが黒壁で行われた。

 市街地の北国街道沿いにある黒壁のエシカル棟(元工房)。今月7日から10日にかけ、武蔵野美術大学などの学生が建具の解体やガラスの加工のワークショップに取り組んだ。引き戸に使われたガラスをカットして熱を加えて皿や一輪挿しに加工したり、欄間と組み合わせて壁飾りに仕上げたりした。解体した引き戸とガラスでローテーブルを作る学生も。

 昭和初期に作られたガラスは固くて粘りがないため割れやすく、加工や加熱には注意が必要だが、学生は黒壁のガラス加工技術を活用しながら、それぞれの感性のままにガラスと古材に新たな生命を吹き込んだ。

 この取り組みは遊休不動産を活用する市の委託事業で黒壁が企画。湖北地域で古民家ゲストハウスを運営する「KOMINKA企画」(大森英昭社長、元浜町)が運営した。大森社長は古民家の再生などを手がける中で建具が廃棄されているのを憂い、別のモノに作り変えることで新たな価値を生み出そうと、黒壁の橋渡しで武蔵野美術大学の講師を務めるガラス工芸作家・五十嵐智一さんに協力を呼びかけ、ワークショップが実現した。

 廃棄される運命にあった建具を価値のある製品へと「逆転」させていることから、大森社長はこれらを「リバーソ・クラフト」と命名し、2月末までの期間限定でエシカル棟に約40点を展示。うち約30点は販売も行っている。

 SDGsの理念を若きアーティストの力を借りてポップに表現するこの取り組み。大森社長は「捨てるのを止めて、どうにかして使えないか、一緒に考えませんか」と話している。

 オープンは午前11時から午後4時、今月29日まで。月、火曜定休。

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 17、18、23、24、25日の計5日間、エシカル棟で切り絵作家・早川鉄兵さんデザインのスタンプエコバッグ作りのワークショップがある。午前11時から午後2時まで。参加費は2000円〜3000円。問い合わせはKOMINKA企画℡(57)6973へ。

掲載日: 2024年02月16日