タンスに眠る着物、小粋なシャツに

湖のスコーレで紹介・販売、18日までの期間限定

 タンスに眠る着物を普段使いのシャツに仕立て直す事業をスタートさせた小谷上山田町のデザイン・アパレル会社「仕立屋と職人」は長浜中心市街地の複合施設「湖のスコーレ」で期間限定のポップアップイベントを開催。着物生地で仕立てた小粋なシャツが並び、市民や観光客の目を引いている。

 昨年10月に事業を発表し、全国から着物の譲渡を受け付けたところ長浜市内を中心に約500着が寄せられた。着物は分解して生地に戻し、汚れやシミ、穴あきなどの部分を切り取って、今度は複数の生地を縫い合わせて一枚の反物に。その反物を使ってシャツに仕立て上げる。1枚のシャツで3〜4種類ほどの着物生地を使用し、その柄の組み合わせが新しい。

 「タンスに長い間眠っていた着物。今度はたくさん着てもらってほしい」と、デザインは普段使いのカジュアル。身頃やアームホールを大きめにゆったりと仕立て、性別や季節を問わずに着やすい。

 「シャナリシャツ」と命名し、ストアを訪れた人からは「着物生地とは思えない」「着物のイメージとは違う」といった感想が寄せられ、そのストーリー性とデザイン性から「即買い」する人も。

 「誰かに使ってもらいたい」「引き取ってもらえて嬉しい」「両親が作ってくれたけど結婚後は忙しくて着る機会がなかった」「実は一度も袖を通せていないが、思いがこもった着物なので捨てる訳にはいかなくて」—。

 譲渡の際に着物にまつわる思い出も一緒に受け取った同社共同代表のワタナベユカリさん(36)。「両親や祖父母が着物をあげた時の思いや気持ちを、私たちが橋渡し役となって、シャツを着る方々に伝えられれば」と話している。

 シャツはどれも1点もの。サイズはXS〜Lの展開。価格は2〜3万円台。湖のスコーレでの販売は18日まで。オンラインショップ「仕立屋バザール(https://www.store-shitateya.jp/)」でも販売している。

掲載日: 2024年02月15日