2020年4月9日

チューリップ見ごろも、祭り中止

「TOKYO2020」 空しく

 新型コロナウイルスの影響で、米原市上丹生のチューリップ祭りが中止となった。休耕田には今年開かれるはずだった東京オリンピックのロゴ「TOKYO2020」の文字をあしらった花々が空しく咲き誇っている。

 地元のまちづくり団体「プロジェクトK」は約1500平方㍍の畑に6種、約1万2000球のチューリップを植え、例年、この時期に開くチューリップ祭りに向け、準備を進めていた。

 しかし、新型コロナの感染拡大を受け、やむなく中止を決定。「自己防衛で観覧を」(主催者)と自由に見学できるよう、チューリップ畑の出入り口を開放した。また、会場には来年の資金を募るため、募金コーナーを設置。200円以上の寄付者にはチューリップ1株をプレゼントしている。

 畑には長浜、米原の商店や企業、NPOなどの協賛によるオーナー制コーナー50区画の赤や黄、オレンジの花が咲いている。また、畑の脇には菜の花、近隣のふれあい広場や川沿いではソメイヨシノの桜並木も満開。担当の田中一郎さんは「オリンピックは延期。祭りも中止となってしまったが、『来年に向け、応援しよう』という皆さんの気持ちに応えたい」と話している。見ごろは今週末。

2020年4月8日

手作り布マスクで地域に恩返し

こほく自立応援センター、職員と利用者が製作

 障害者の就労を支援するこほく自立応援センター(堀部町)の職員と利用者が布製マスクを製作し、7日から長浜市役所本庁舎1階の福祉コンビニで販売を始めた。

 センターでは知的障害者ら20人が企業から受注した軽作業を行ったり、施設の清掃作業を請け負ったりして、就労に励んでいる。

 センターに備蓄していた使い捨てマスクが不足したことから、職員有志が「マスク製作班」を立ち上げ、私物のミシンを持ち込んで利用者向けの布マスクを手作りした。利用者に行き渡ったが、世間でマスクの品薄状態が続いていることから、職員と利用者が協力して引き続き市販用のマスク製作に取り組むことに。デニム風の紺、ピンク、水玉、チェックなど、多彩な色や柄の布を使って1つずつ丁寧に手作り。7日、職員が福祉コンビニを訪れて棚に並べた。

 センター理事の本田智見さんは「いつもお世話になっている地域への恩返しの思いも込め、お役に立てればと販売することになりました。一生懸命作りますので、マスクにお困りの方は福祉コンビニにお越しください」と話している。マスクは1枚275円(税込み)。手作りの少量生産のため納品は数点ずつになる見込み。福祉コンビニは市役所本庁舎の西側入口を入った左側。

2020年4月6日

稲作専門「米と大地」、十里町にオープン

リゾット食べて、コロナに負けない元気を

 長浜の米専門農家「米と大地」(中島広哉代表)は十里町に新店舗をオープン。「コロナに負けない体力をご飯で」とバラエティーに富んだ米を生産、販売している。

 中島さんは11年前、脱サラし専業農家となり、現在、下坂中、永久寺、寺田町など約40㌶の圃場で稲作をしている。栽培しているのはコシヒカリ、みずかがみなど11種。従来種だけでなくイタリアと日本のハイブリッド種「和みリゾット」にも挑戦している。

 「和みリゾット」は通常の米に比べ、大粒で硬めに炊けてアルデンテ(歯ごたえが残る)に仕上がるので、リゾットやパエリアに最適。一般家庭でも本格的なイタリア料理が楽しめるといい、「米と大地」では「NOBUNAGA(信長)」ブランドで販売している。

 コシヒカリなどは集荷業者や農協、飲食店などに卸しており、「粒揃い」「きれい」と好評。一般消費者にも味わってもらおうと、空き店舗を借りて、週末のみの直販を開始した。

 中島さんは「日本の米文化を守るためにも、美味しい米を届け、米の楽しみ方を提案したい」と話す。近年、パン、パスタ人気やダイエットで米の消費量が減っているが「米には栄養がたっぷり。新型コロナウイルスに負けないためにも、しっかりご飯を食べて元気になってほしい」と語っている。

 玄米をその場で精米に加工できる。10㌔3500円。市内配達可。店舗はたこ焼き「八船」斜め向かい。問い合わせは℡090(8754)4568。

2020年4月4日

国友一貫斎の鳥型飛行機、詳細図発見

大空を夢見て試行錯誤か

 江戸時代に科学者としても活躍した国友村(長浜市国友町)出身の鉄砲鍛冶、国友一貫斎(1778〜1840年)が描いた飛行機設計図「大鳥秘術」の詳細図が見つかった。「国友一貫斎家資料」を調査していた市が詳細図を確認したことを発表した。

 一貫斎が考案した飛行機は中に人が乗り込み、人力で翼を動かす構造。一貫斎は江戸を訪れた際に西洋から持ち込まれた書物や道具にふれ、日本初の反射望遠鏡などを制作している。「阿鼻機流」はラテン語で小鳥を意味する「アヴィクラ」が語源と推測され、西洋の影響がうかがわれる。

 市は昨年度から2年計画で「国友一貫斎家文書」(市指定文化財)684点の再調査を実施しており、その過程で新たな資料197点を発見し、詳細図が確認された。

 詳細図は縦24・3㌢、横16・8㌢の冊子。翼や機体の構造、材料について10ページにわたって記録している。ヒノキ材で作った機体をなめし皮で包むなどの作り方を解説しており、一貫斎が実際に鳥型飛行機を制作しようと考えていたことがうかがえる。

 国立科学博物館産業技術史資料情報センター長の鈴木一義氏は「この図面にある飛行機が実際に飛べたかは疑問だが、そうした試行錯誤は科学技術の発展に欠かせない。西洋では空飛ぶ機械の始まりとして、レオナル・ド・ダビンチが羽ばたきコウモリ型飛行機の図を残しているが、一貫斎の鳥型飛行機も同様の視点で描かれており、航空史上、非常に貴重な資料といえる」とコメントしている。

2020年4月2日

バイオ大で入学式、300人決意新た

コロナ対策で規模縮小、20分に短縮

 長浜バイオ大学で1日、入学式が行われ、新入生が希望を胸に新たなスタートを切った。

 新入生はフロンティアバイオサイエンス学科など3学科に265人が入学、大学院の博士課程(前期・後期)に35人が進学した。

 蔡晃植学長は「本学での教育と研究を通して高い知識と社会的な教養、自ら問題を発見し、解決できる能力を培わなければならない」「すべての問題に正解があるという前提で勉強してきたと思うが、大学では答えが用意されていない問いにどのように対応するかが求められている」「自分を厳しく律して勉学に励む必要がある」などと式辞を述べた。

 新入生を代表して長浜北星高校出身の北川耀さん(18)は「世界には治療の困難な病気があり、人口増加による食糧の不足、地球の温暖化による森林の消滅や砂漠化の進行などさまざまな問題がある。バイオサイエンスはこれらの問題を解決する可能性を持った新しい知識、技術であることを知り、私たちはバイオ大で学ぶことを決意した」と語り、「自学自習の精神を忘れず、理論と実践を兼ね備えた専門性を身につける」と宣誓した。

 式典は新型コロナウイルス対策のため規模を縮小して実施し、約20分で終了した。なお、バイオ大では7日から開始予定の授業を20日に繰り下げ、夏期休暇の短縮で授業日を補う方針。

2020年4月1日

グランパレー京岩、出前メニュー始める

厚焼き玉子サンドいかが?

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため外出自粛を余儀なくされている家庭などに、ブライダルシーンで活躍するシェフと、老舗日本料理店の料理人の味を届けようと、グランパレー京岩(八幡中山町)が特別メニューを開発し、宅配を始めた。

 宴会場などを持つグランパレー京岩も新型コロナの影響で、3月の宴会予約の8割がキャンセルとなるなど打撃を受けている。一方で、結婚式場「LINEA」(神照町)は出席者の一部キャンセルがあるものの中止はないのが救いという。

 和田洋典社長(43)は「外に出にくい人たちのために、特別な料理を提供して、コロナに負けるなと応援したい」と、出前用のメニュー開発に取り組んできた。

 出前メニューは定食、どんぶり、寿司など40種類を揃えた。企業向けに先行して届けたところ、牛カツレツ定食(1500円、税別)などが人気という。

 

 

 一般家庭向けの出前をスタートするにあたって、LINEAのシェフが手軽に食べられるサンドイッチやカレーのメニューを開発した。サンドイッチは牛カツレツ(1200円)とタマゴ(1000円)の2種類あり(いずれも1日10食限定)、タマゴは老舗日本料理店の技術を生かしたふわふわの厚焼き玉子を挟んでいるのが特徴。また、カレーは「キーマカレー」(1000円)と「五穀米彩野菜カレー」(同)がある。

 なお、出前メニューは5個以上の予約で配達する。幕の内弁当やオードブルの配達も行っている。問い合わせはグランパレー京岩℡(62)2233へ。

2020年3月31日

花見客に「万全を期して」

ぼんぼり点灯の豊公園、看板&石けん

 例年、花見客で賑わう豊公園だが、今年は新型コロナウイルスの影響により、人影はまばらで閑散としている。

 豊公園は日本さくらの会が選ぶ「日本さくら名所百選」。今は約600本のソメイヨシノが5分咲きで、ぼんぼりのライトアップも始まった。

 不要不急の外出を控えるなど、都会では一層、自粛ムードが高まっており、同公園の駐車場には観光バスの姿もほとんど見られない。公園内の長浜城歴史博物館は「他の施設が閉館しているため、週末はかえって人が多いが…」と話す。

 31日、広々とした公園内を散策していた家族連れやカップルは「人が少ないのが逆にいい」「花見は桜を見るより、人を見ている感がある。これならゆっくり楽しめる」などと語っていた。

 管理する市は「豊公園はどこからでも自由に出入りでき、東京、上野公園の桜まつりや大阪造幣局の通り抜けのように(中止)できない」として、新型コロナ啓発を実施。

 公園内3カ所に「感染症予防のポイント」「咳エチケット」など、注意を呼びかける看板を設置。4カ所のトイレにも啓発プレートとハンドソープを配備し「万全を期している」(市都市計画課)という。

2020年3月30日

長住建設 社屋に茶室整備、教室を開講

長住建設社長・松居さん、資格取得機に

 長住建設(大戌亥町)社長の松居慶浩さん(49)が表千家茶道講師の資格を取得したのを機に社屋3階に茶室を整備し、4月から茶道教室を開講することになった。

 松居さんは2013年から茶道を始め、昨年、講師の資格を取得。かねてから茶道人口の減少を憂い、「日本人が日本文化を学ぶ機会が減っている。茶道に触れる機会をつくりたい」と、茶室を開設することに。

 社屋の空き部屋を4畳半の茶室に改修し、床の間には千利休を描いた約200年前の掛軸を飾った。今月27日に茶室開きを行い、最初の「客」として日ごろから一緒に仕事をしている社員18人を接待。1人ずつに薄茶を点て、社員は仕事の合間に心落ち着くひと時を過ごしていた。

 茶道教室は金曜午後3時から同8時ごろまで。月2〜3回程度で月謝5000円。このほか、初めての人向けに「大人のための茶の湯体験」(受講料1回1500円)も開催する。松居さんは「茶道は私にとって仕事の傍らの、心を落ち着かせるひと時となる」と話し、「絶え間ない日常に句読点を打ち、心静かな時間を過ごしてみませんか」と呼びかけている。受講の問い合わせは、長住建設℡(63)1611へ。

2020年3月26日

久々の室内遊び 親子満喫、子育て支援センター再開

母親「リフレッシュになる」と歓迎

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、臨時休館していた地福寺町の地域子育て支援センター「サンサンランド」が26日、運営を再開。この日は朝から再開を待ちわびた親子がセンターを訪れ、遊具で遊んだりしていた。

 市内には地域子育て支援センターが8施設あり、親子の遊び、交流、子育て相談の場となっている。大津市で新型コロナ感染者が確認された今月5日午後に急きょ臨時休館していたが、小中学校の臨時休校措置が24日で終了したことに足並みを揃えて順次、再開した。

 幼児2人を連れてサンサンランドを訪れた市内の母親(33)は「毎日、いろんなセンターを訪れ、友達と会ったり、先生(職員)と話したりして気分転換していたので、早く休館期間が終わって欲しいと思っていた。再開して良かったです。リフレッシュになります」と歓迎。ただ、イベント自粛要請を受けてセンターが実施している催しが中止になっていることに「イベントが無いのは寂しいですね」と話している。別の母親(30)は「室内で遊べる施設がどこも閉まっていたので、再開は嬉しい。普段より人数が少ないけど、程よい感じだと思う」と話していた。

 サンサンランドでは休業期間中に館内の消毒を済ませた。再開後は利用者に玄関での手指の消毒、カウンターでの検温を呼びかけ、名簿に名前や電話番号、利用時間などを記入してもらうことで万一に備えている。

 金森千津子センター長は「利用者は普段の3分の1くらいだが、休館中はたくさんの問い合わせがあり、開館を待ちわびているのが分かった。1時間ごとに換気して空気を入れ替え、お昼の時間には床を消毒して、安心してセンターを利用してもらえるようにしたい」と話している。

 なお、運営を再開しているのはサンサンランドのほか、こどもらんど、のびのびらんど、あいあいらんど、子育て広場スキップ。

2020年3月25日

中学高校で部活動再開

グラウンドに歓声、屋内競技も「基本は屋外」

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、休止されていた中学、高校の部活動が25日、再開。グラウンドを元気にかけ回る生徒たちの姿が見られた。

 現場では国の要請を受け、学校が休業になったことに伴い、3月29日から部活動を自粛していたが、春季休業に入ったことを受け、感染症拡大防止対策(登校日の朝の検温、マスクの着用、手洗い・手指の消毒・うがいの実施、部屋の換気など)を十分とったうえで、校内における活動に限定して実施することができることに。長浜市教委では感染防止策としてバレーボールやバスケットなど屋内競技は「屋外を基本」とし、ランニングや体力づくりを推奨している。

 

35日ぶりに選手揃う、虎姫高校野球部

 期末テストと新型コロナ禍が重なり、2月19日以降、練習をできなかった虎姫高校野球部はこの日、選手たちが35日ぶりに揃い、汗を流した。

 長期休暇中、選手たちは家の周りのランニングや素振り程度しかできなかった。堤内勇仁主将は「(休みは)世の中がこんな状況だったから、仕方がないが、とにかく長かった。やっと練習できる」と嬉しさを隠せない。「休暇中、モチベーションを保つのが難しかった。早く実践感覚をつかみ、春や夏の大会を万全な形で迎えたい」と話していた。

 澤村祥太監督も「1カ月余りのブランクは痛い。試合形式の練習や連携プレーもできておらず、選手たちの筋力が落ちていないか、心配。状態を見極めながら、チーム作りをしてゆきたい」と語っていた。

 虎姫高校野球部は練習再開のこの日、卒業生を送る「卒部式」を開いた。

 卒業式に在校生が参加できなかったため、この日、1、2年の部員15人が3年生8人を招き、謝意などを述べた。卒業生1人1人が後輩たちに「楽しむこと」「日々の積み重ね」「信じること」の大切さをアドバイス。指導者らは「皆、頼もしく感じる」「自信を持って次のステージへ」「自立心を持ち、自らコントロールできる能力を持って」などとエールを送り、堤内主将は「先輩たちのように、野球と勉強の両立目指して、頑張りたい」と抱負を述べていた。

 

準備期間少ないまま、高校野球春季大会

 通常なら、チームで練習を続け、対外試合なども行っていた部活動。高校野球は春季大会を目前にする中、思うようなチーム作りができておらず、現場を困惑させている。

 県教委は春休みが終了する4月8日まで県内外の他校との練習試合や合同練習などを中止、延期するよう、呼びかけている。県高野連は27日の理事会で春季大会の日程を正式決定するが、今のところ、当初の予定だった4月11日開幕を1週間遅らせることで調整が進められている。

 この場合、各チームは土日(11、12日)の練習試合のみで、いきなり本番を迎えることになり、「かなり厳しい」(高校野球関係者)の声も。

2020年3月24日

曳山祭、資料が一堂に

長浜城歴史博物館と曳山博物館で

 曳山博物館開館20周年を記念した特別展「長浜曳山祭—世界が認めた長浜の至宝」が、同博物館と長浜城歴史博物館で開かれている。江戸時代の古文書や曳山の装飾品、祭で用いられる笛や三味線などを一堂に集めて公開し、祭の歴史と伝統を発信している。

 曳山祭は約400年の歴史があり、2016年には全国32の山・鉾・屋台行事とともにユネスコ無形文化遺産に登録されている。

 長浜城歴史博物館では彦根藩から各山組に贈られた12点の能面や現存最古の歌舞伎台本など81件を展示。面は彦根藩主・井伊直中の60歳を祝った1825年(文政8)の公演の際に下賜されたもの。江戸時代には2度、歌舞伎が彦根藩主に披露されており、曳山を解体して船で彦根に渡った。

 現存最古の歌舞伎台本は猩々丸が1742年(寛保2)に演じた「忠勤熊野物狂」。この資料から18世紀半ばには歌舞伎が演じられていることが分かるが、現在のように子どもが演じていたのかは不明という。

◇   ◇

 曳山博物館では曳山の装飾品など37件を展示。壽山の舞台桁に据え付けられた錺金具「桐に鳳凰」は、鳳凰を象った錺金具と桐文様の金具が配置されている。七宝がふんだんに使われているのが特徴。壽山が大規模修理に伴って解体されていることから展示が実現し、博物館では「間近で見られるのは今だけ」としている。

 

 

 翁山の後部に飾る見送幕はベルギー製のタペストリーを仕立て直したもので重要文化財に指定されている。1995年に復元新調し祭礼で使用している。特別展では新旧を展示しており、見比べることができる。

 両博物館では「過去から現在へ長浜曳山祭がいかに受け継がれてきたのか、世界に誇る祭の素晴らしさを紹介することで、秋の開催に向けて祭を支えるすべての人々の応援になれば」と、来場を呼びかけている。

 特別展は5月10日まで開かれ、4月20日に展示資料を入れ替える。会期中無休。入館料は長浜城歴史博物館が大人410円、小中学生200円、曳山博物館が大人600円、小中学生300円。2館共通券(780円、特製クリアファイル付き)も販売している。

2020年3月23日

28日、北船町で白扇落語会

「笑い絶やさず平常心で」

 アマチュア落語家グループ「白扇落語会」による高座が28日午後1時半から「町家レンタルスペース松橋」(北船町)で開かれる。落語会主宰者の森範子さんは新型コロナウイルス感染症予防のため、一時は中止を検討したが、「収束の見通しがたたないの事態を乗り切るには、笑いを絶やさず平常心を保つことも大事」と、予防策を施したうえで開催することを決めた。

 白扇落語会はアマチュア落語家の要亭として活動する森さんが長浜での落語の普及を目指して昨年1月に結成。アマチュア大会の入賞者らを招いた落語会をレンタルスペースで定期的に開催して、落語ファンを増やしてきた。

 11回目の落語会となる28日は宝塚市の天神亭珠緒さんが出演。珠緒さんは長浜市の依頼で歴史紙芝居を制作する紙芝居作家でもあり、今回は古典落語「狸の賽」を紙芝居仕立てで披露する。光樹井さんも出演する。

 新型コロナ対策として、定員を普段の50人から25人へと半減して座席の間隔を離し、定期的な換気を行う。また、来場者には入口での手指のアルコール消毒、マスク着用などを呼びかける。

 森さんは「感染するお客さんが出たらどうしようと悩んだが、常連さんから『やるんやろ』と電話を受けた。自粛でストレスが続くとかえって健康によくない。感染リスクを下げる対策を打ちながら、社会活動や日常生活を送れるようにしなければならない」と話している。

 木戸銭は300円、落語会後の紙芝居教室は500円。問い合わせは白扇落語会℡090(8565)7558へ。

2020年3月19日

休校中の卒業式、長浜小は161人巣立つ

教員がサプライズ上映「心込めた」

 長浜市内のほとんどの小学校で19日卒業式が行われた。新型コロナウイルスの感染防止のため休校措置が取られる中での式典は、在校生や来賓の出席が取り止めになるなど各校が規模縮小を余儀なくされたが、長浜小の卒業式では教職員がビデオ映像を作成してサプライズ上映するなど心を込めた演出で、卒業生の門出を祝った。

 長浜小では在校生の出席を見送ったほか、来賓もPTA会長1人に絞り、時間を例年より20〜30分短縮。卒業生の座るイスを離して配置し、保護者には会場の体育館の入口で手指の消毒とマスク着用の協力を呼びかけて新型コロナの感染対策に配慮した。

 式典では卒業生161人(男子75人、女子86人)が保護者や教職員の拍手で迎えられ体育館に入場。杉本義明校長から一人一人卒業証書を受け取った。

 杉本校長は式辞で「前例のない休校措置で、令和最初の卒業式にもかかわらず多くの制限の中での挙行となることに、保護者の心情はいかばかりかと察するに余りある」と前置きしたうえで「職員一同、心を込めて準備をしてきた」と語った。

 卒業生には、体育館に掲げられている柔道家・三船久蔵十段揮ごうの書「勇猛精進」を取り上げて「勇猛は勇ましく雄々しいこと、精進は精神を打ち込んで努力すること」「皆さんも勇猛精進、高い志を持って困難に負けず夢に向かってしっかりと歩んでください」とはなむけの言葉を贈った。

 式典の最後には教職員が児童らに内緒で作成したビデオ映像を上映。入学式や運動会、遠足、学校生活のようすを映し、全教職員が笑顔で「卒業おめでとう」と心のこもったメッセージを添えていた。

 長浜市教委によると全25校のうち、23校が19日に卒業式を実施。2校はすでに済ませた。いずれも在校生は出席せず、卒業生と保護者、教職員のみで実施した。

2020年3月18日

個室で食事を、浜湖月が温泉付きプラン

コロナに負けへん!卒業や入学、家族で祝福

 新型コロナウイルスの影響で宴会などの自粛ムードが高まる中、長浜太閤温泉「浜湖月」(岸本一郎社長)は身内の「お祝いごと」を個室で開いてもらおうと、会席と温泉がセットになったお得なプランを始めた。

 新型コロナの感染拡大に伴い、長浜曳山まつりをはじめとする催しや卒業式・入学式の縮小、中止が相次いでいる。また、外出を控える傾向にあり、宿泊業界でも団体客を中心に予約のキャンセルが出ている。

 しかし、浜湖月と同じ敷地内にある高級ホテル「レジーナリゾートびわ湖」はほとんど、影響を受けていない。その理由としてこのホテルはペット同伴専用の完全個室制。プライベートを保て、他のグループと接触することがないから。

 浜湖月はこの形態をヒントに、安心できる場の提供と「卒業、入学を祝ってあげたい」という身内の切ない願いを叶えようと、リーズブルなプランを企画した。

 プランはお祝い会席と個室と温泉がセットで大人1人6000円(消費税、サービス料別)。お祝い会席のほか、春野菜牛鍋、和牛ステーキコースを準備。「お祝い」スイーツなども用意できる。

 新型コロナを防止するため、社員は全員、出勤時に健康チェックをしており、常にマスクを着用。食事の前後、各テーブルのアルコール消毒をするなど、最善を尽くしている。

 自由に身動きできない今の世の中に対し「子どもたちが犠牲になっている」と嘆く岸本社長。「個人、家族を中心に(観光、宿泊の)動きはある」と期待を持っており「ここなら『上げ膳据え膳』。一家でゆっくり団らんできる」と話している。

 プランは敬老祝いなども可。2日前までに予約を。問い合わせは浜湖月℡(62)1111へ。