障害者支援施設ココサロン開所

23日、南高田町で喜びの式典

 子どもから大人まで切れ目なく障害児・者を支援する複合施設「ココサロン」が23日、南高田町にオープンした。現地で開かれた開所式には県内の政治、行政、医療、福祉関係者が集い、施設への期待の高さをうかがわせた。

 施設は一般社団法人なないろ(岡本律子代表理事、八幡東町)が、高齢者福祉施設として使用されていた建物を取得し、バリアフリー構造などをそのまま活用して、障害者向けの複合施設とした。

 施設は3棟からなり、障害児を預かる放課後等デイサービス「アオ」、居宅介護「ビオラ」(5月開所予定)、生活介護「ハース」(8月開所予定)、シェアハウス「ココ」が入っている。来年は訪問看護も始める予定で、子どもから大人までトータルにサポートする拠点としたい考えだ。

 開所式には来賓の上野賢一郎衆院議員、浅見宣義長浜市長、平尾道雄米原市長、楠井隆長浜赤十字病院長、市川忠稔県健康医療福祉部長をはじめ、政治、行政、医療、福祉、企業関係者ら40人余りが出席し、テープカットで開所を祝った。岡本代表理事は「障害名にかかわらず、当事者とその家族の笑顔が多く見られるような施設を目指し、障害者にとってなくてはならない社会資源の役目を担ってゆきたい」とあいさつ。楠井院長は「世の中は多様性の時代となっている。いろんな個性を持っている人が存在することを楽しみ、共に喜べることが大事。そのために医療としてもできる限り協力をしていきたい」と語った。

 同法人は、高次脳機能障害の患者と家族でつくる「脳外傷友の会しが」(現・高次脳機能障害の友の会しが)を母体として2016年に設立。八幡東町に就労支援施設「サンサン」を整備し、障害者の働く場を提供している。

 高次脳機能障害は交通事故や脳疾患などで脳の機能に障害が生じることによって引き起こされ、記憶や感情のコントロールなどに影響する。外見からは分からないため「見えない障害」とも呼ばれる。

 岡本代表理事の次男も2004年の交通事故が原因で高次脳機能障害を抱えた。他人とコミュニケーションがとれなくなって引きこもりがちとなり、2年前にがんで亡くなった。「眠っている時以外はひと時も目を離せない状態でした」と振り返り、同じ境遇にいる当事者と家族を支えるために、同法人を設立して支援活動に取り組んできた。

 今回、「高次脳機能障害に限らず、幅広い障害者を子どもから大人までサポートできる施設が必要」と複合施設の開設に至った。施設名の「ココ」はハワイの言葉で「虹色」を意味し、「此処(ここ)が安心できる空間となり、個々(ここ)が前向きな気持ちになりますように」との思いを込めた。「次男もみんなと集える場所を楽しみにしていました」と語る岡本代表理事。開所式では「当事者とその家族の一員となり、大家族でその人らしく生き生きと楽しく生活し、共に喜べる共生社会を実現します」と理念を述べ、地域社会の温かい支援を呼びかけていた。

掲載日: 2022年04月25日