長浜農高生徒、草木染めに挑戦

伝統の近江刈安を継承

 長浜農業高校で24日、古くから染料として使われている近江(別名・伊吹刈安)の草木染め体験があり、生徒たちが布を鮮やかな「からし色」に染め上げた。

 「刈りやすい草」として名付けられた刈安はススキ科の多年草で、各地に自生。天平時代から染料として利用され、中でも伊吹山3合目付近の刈安は周りに木がなく、日がよく当たるため、良質な色素を持っている。発色が良く、平安時代、黄色染料として朝廷にも納められた。近代は化学染料の普及などで、手間がかかる草木染めは減少し、近江刈安の栽培地や業者も無くなっていった。

 同校食糧生産分野の2年生は10月から、近江刈安を復活させるプロジェクトを開始。これまで伊吹山や西浅井町の山門湿原などで刈安を採取し、調査研究をしてきた。

 この日は生徒12人が米原市春照で「工房いぶき野」を主宰する的場いつ子さん(75)から近江刈安による染色法を学んだ。生徒たちは乾燥させた刈安を湯で煮出し、染液を抽出。板や洗濯ばさみで絞ったハンカチを液に浸し、ミョウバン(媒染剤)で定着させると、きれいな絞り染めができあがった。

 的場さんは「地元で草木染めをしている所は少ない。生徒たちがきれいに染め上げてくれて嬉しい」と話し、児玉聖人君は「染液の温度調整など難しかったが、手間がかかる分、楽しみが多い」と話していた。

掲載日: 2019年12月24日