質実剛健の精神、未来へ
虎姫高校の創立100周年記念式典が7日、同校体育館で行われ、全校生徒や卒業生ら約700人が参加した。
同校は1920年(大正9)に県立虎姫中学校として創設され、48年に虎姫高校に改称された。卒業生は2万人余りにのぼる。昨年、100周年を迎えたが、新型コロナウイルスの感染拡大により式典は1年延期となっていた。
式典では同窓会組織「姉水(しすい)会」会長で記念事業実行委員長の大塚敬一郎氏が同校の国際バカロレア校認定を受けて奨学財団を立ち上げたことを紹介してグローバル人材の輩出に期待を寄せ、「(同校の校訓・校風である)質実剛健、独立自尊、方円自在は皆さんの今後の指針となる。それらを心に、この虎高を誇りに飛び立っていただきたい」と生徒に呼びかけた。
梅本剛雄校長は、旧制中学校の校舎建築の際に台風で校舎が崩壊したことや戦後廃校の危機があった歴史を振り返り、「諸先輩や地域の方々はこうした困難を熱い思いで乗り越えてきた。皆さんもこうした事実を知ることであらためて諸先輩の尽力に感謝し、本校の伝統を大切に感じて欲しい」と述べた。
式典は生徒主導で行われ、学校の魅力を漫才や映像で伝える企画などで会場を盛り上げた。生徒会長の齋藤甚聖さん(2年)は「100年という歴史と伝統に学び、これからの虎高の新しい道を探しつつ進んでいくことが我々在校生の進むべき道。先輩方のたどられた歴史に学び、方円自在、独立自尊の精神を引き継ぎ、虎高の質実剛健の校訓を大切に日々充実した学校生活を送っていきたい」と謝辞を述べた。
姉水会奨学財団を設立 未来担う人材育成、寄付募る
「姉水会」は創立100周年を記念し、生徒の学びを支援する公益財団法人「姉水会奨学財団」を設立。国際バカロレア(IB)のプログラムを履修する生徒の海外留学費用や、経済的に困窮する生徒の修学資金を支給する給付型奨学金事業を始めた。
公益財団法人を設置して奨学金事業を行うのは県内の県立高校として極めて先進的。
奨学金事業は個人や法人からの寄付金を積み立てて運営する。奨学金は2種類あり、IB生を対象とした国際バカロレア奨学金は海外留学費用や資格取得試験の受験料、教材費などを支給する。修学奨学金は経済的理由で勉学の継続が困難な生徒に対して支給する。いずれも25万円を上限とする。年間で最大500万円規模を給付する。
現在、姉水会では奨学金事業の原資5000万円に加え、記念式典や記念誌発行、セミナーハウスとして利用している姉水会館の建て替えに伴う設備充実の費用を合わせた計6000万円の寄付を募っている。これまでに法人、個人から2700万円余りが集まった。なお、公益財団法人への寄付金は税額控除の対象となる。問い合わせは虎姫高校内創立百周年記念事業受付窓口℡(73)3055へ。