本場の味、ハンデ乗り越え

パティスリー プティのケーキ人気

 米原市高溝の洋菓子店「パティスリー プティ」は、さまざまなハンデを克服して、開業3周年目を迎えた。フランス仕込みの本場の味が反響を呼び、リピーターも増えている。

 店主の米田愛さん(32)は高校卒業後、本場、フランスで洋菓子の基礎を学ぼうと、留学。言葉の壁にぶつかりながらも、1年半学んだ後、同国の小さなケーキ店でパティシエの腕を磨いた。

 店は地元の素材を利用してパウダーなど、一から作ることが基本。リキュールやムースにより、本場の味を演出していた。また、同国は労働時間に厳しいため、効率よく、味にこだわった調理に徹底しており、米田さんは仕事に対しての姿勢を学んでいった。

 帰国後、神戸の一流店や個人店で約3年間、修業を重ね、東京に移って8ヵ月後、突然、原因不明の病に冒され、車いす生活を送ることに。米原に帰って5年間、休んでいたが、母の玲子さん(61)の同僚にケーキ作りを依頼され、知人のバースデーケーキなどを焼くようになった。

 「やっぱり、店を持ちたい」と思った愛さんは自宅前の庭に3坪の工房を設け、2019年1月、洋菓子店「パティスリー プティ」をオープンさせた。

 しかし、車いすのため、1人で思うように動き回れない。自宅も住宅街の中にあり、人目につかない。厨房が狭く、冷蔵庫の容量も限られており、玲子さんと作る生産量(作り置き)も限られた。そこで愛さんは一般的なケーキ屋のようにショーケースなどを設けず、予約のみの販売に限定。見本の写真をインスタグラム(インスタ)に掲載し、LINEや電話で注文を受け付ける形態をとった。

 インスタには季節の食材を使った12種のプティガトー(ショートケーキ)やホールケーキ、お祝い事用の特注ケーキや自然素材を生かした焼き菓子などを掲載。多賀の養鶏場産の卵黄と米粉を使ったロールケーキは生地がきめ細かく、ふわふわ。あっさりしながら、しっかりと素材のうまさを表現。添加物を一切使っておらず、「インスタ映え」するようケーキの断面にまで気を配っている。

 SNSの発信や口コミにより、話題となり、「うちの子はここのケーキしか食べない」という客など、リピーターも増えている。多くの顧客の要望に応えるため、月1の販売会や近江まなびあいステーション(旧近江公民館、第2、4火曜午後1時〜)で出張販売も開くように。愛さんは「お客さんの笑顔や『おいしい』という声に励まされている。今が精一杯。長く継続することが夢かな」と笑顔で話していた

 完全予約制。営業時間は午前11時から午後6時、水木曜定休。問い合わせはパティスリー プティ℡090(1899)2988。

掲載日: 2021年04月28日