尾上菜を守り、特産品へ

産官学共同プロジェクト成果報告会

 産官学による長浜の伝統野菜「尾上菜」のブランド化プロジェクトの成果発表会が13日、小谷城スマートインターチェンジ栽培実験農場であり、研究を進めていた関係者が地元住民らに新品種の開発経過や栽培、利用法などを報告した。

 尾上菜は湖北町尾上で伝統的に栽培されてきたアブラナ科の野菜。漬物などで食されてきたが、他の植物と交配し、雑種化が進み、市場には出荷されていない。

 プロジェクトは長浜市、長浜バイオインキュベーションセンターら5者が連携し、交雑化していた尾上菜の系統を統一(F1ハイブリッド品種)し、種の安定供給と栽培技術を確立。レシピを提案することで市の特産品化を目標としている。

 この日の発表会ではバイオ大の蔡晃植学長(植物生理学)らが研究過程を説明した。バイオ大では採取した尾上菜の全DNAを解析した上、タイプの異なる6系統に分類。6年間かけ、後世に残すため、原種に近い種を確保した上、えぐみや葉に毛がない新種を開発。「おいしいから、しっかり供給すれば長浜の特産になる」と語った。

 バイオ大から供給された種を栽培していた長浜農高農業科の生徒たちは注意点として害虫対策をあげ、「長浜の代表的な伝統野菜になってほしい」と述べ、県調理短大の三上保彦校長は餃子の具材などに適していると説明。「尾上菜の歴史を加えることにより、さらに価値が高まる」と述べた。

 説明を受けた尾上の山本亨平さんは「安定的に供給されれば、幅広く応用でき、素晴らしいブランドになる」と話していた。

掲載日: 2021年11月16日