鹿の食害、豪雨で裸地化 住民有志と県市職員が力合わせ
ニホンジカの食害や集中豪雨で斜面の裸地化(らちか)、崩壊が進んでいる伊吹山で30日、登山道の補修が地元住民や県市職員により行われた。
伊吹山ではここ5〜10年の間に、鹿が異常繁殖し、40〜50頭単位の群れが多数存在。自生する植物を食い荒らし、頂上の「お花畑」をはじめ、山の各地で深刻な食害が発生している。
植物が無くなると、表土がむき出しとなり、裸地化。岩場などが崩れやすくなる。伊吹山ではお盆前後、10日間、降り続いた大雨により、大量の土砂が流出(洗掘)。そのため、麓から見ると、伊吹山の中腹あたりは「茶色い山」に見える。
伊吹山は日本百名山に選ばれ、年間4〜5万人の登山客が訪れるが、5〜6合目にかけての登山道は川筋のようにえぐられ、周囲からの落石の危険もあることから住民有志でつくる「霊峰伊吹山の会」(高橋滝治郎代表)が市や県に協力を呼びかけ、被害の大きい箇所を修復することに。
この日は県市職員や会のメンバーら44人が参加。補修に必要な長さ2㍍の木材30枚や鉄杭60本、土留め用の岩石などを背負って現場まで担いで運搬。木材や丸太を使って、階段状にし、洗掘された部分にはネットに石を詰めた蛇篭(じゃかご)を敷き詰め、排水溝を設けた。
残暑厳しい中、参加者は汗を滝のように流しながら、重労働を黙々と続け、44人の「人海戦術」により、登山道は見違えるようになった。
高橋代表は「傷んだ箇所は他にもたくさんあるが、できることを台風シーズン前にしておきたかった。今回の補修は県市の職員に現状を知ってもらえたことが何より。長浜、米原の人たちにもぜひ、伊吹山に足を運んでもらい、被害状況を知ってもらえれば」と話していた。