江戸時代の古民家で民泊とカフェ

セカンドライフ  自由を満喫 川北さん、宮司町に週末移住

 セカンドライフを自由に生きてみたい—と古民家を購入し、カフェや民泊運営を楽しんでいる男性がいる。愛知県日進市でサラリーマン生活を送ってきた川北登志雄さん(63)は定年退職を機に、長浜市宮司町の古民家で「古民カフェ&Innオハナ」を経営しながら「週末移住」を満喫している。

 古民家は文政11年(1828)以前に建てられ、茅葺き平屋の主屋と、2階建ての土蔵からなる。主屋は土間にテーブルを置いてカフェとし、8人程が座れるスペースだが、最大で土間2間、畳の1間に広げられる。

 主屋の手前にある土蔵は最小限の改装にとどめ、できる限り土蔵そのままの雰囲気を残した。バスルームは外付けした。江戸時代の土蔵に泊まれるとあって観光客から人気を呼び、今年のゴールデンウイークも予約が相次いだ。

 運営する川北さんは自動車メーカーに勤務していた50代から、定年退職後に田舎での「古民家カフェ」の開店を目指し準備を進めてきた。「ずっとサラリーマン生活を送ってきたので、定年退職後には田舎で、1人で自由に何かをやろうと思っていた」と振り返る。

 愛知からのアクセスが便利で歴史のある滋賀県で古民家を探していたところ、宮司町の古民家に行き着いた。2014年に購入し、週末に訪れては壁の塗り替えや建具の制作など建物の改修を少しずつ進めてきた。

 当初は週末のみ土蔵でカフェを経営していたが、民泊新法の施行を機に土蔵を宿泊施設に改装し、カフェを主屋に移した。カフェの営業時間は「無理のない範囲で」と、金曜・土曜の午後3時から3時間にとどめる。民泊は予約に応じて運営している。

 「これまでのサラリーマン生活とまったく違う人生は楽しい。何にも束縛されず自由にさせてもらっている」と語り、週末のみ長浜で過ごす「週末移住」のスタイルに「住む場所を日によって選べる。安い物件を見つければ、普通のサラリーマンでもできる」と勧める。

 今後はカフェをレンタルスペースとしても活用したい考えで「料理教室やギャラリー、落語、集客イベントなど、地域のコミュニティ拠点として使用してもらえれば」と話している。問い合わせは川北さん℡090(7114)4041へ。宿泊は民泊予約サイト「Airbnb」(https://www.airbnb.jp/)から。

掲載日: 2021年05月11日