獣害、耕作放棄地を解消

余呉でショウガの実証栽培開始

 中山間地が多い余呉や西浅井で、新たな特産品作りとして獣害に強いショウガの実証栽培が行われている。

 ショウガは根茎が食べられる多年生の植物。辛味と香り成分が含まれ、欧米では「ジンジャー」として炭酸飲料や料理に多用されているほか、体を温め、免疫機能を高める効果があるので、風邪予防などに用いられる場合もある。

 また、栽培する上で、サルやイノシシ、シカなどがショウガ特有のにおいを嫌うため、獣害に強いことがわかっており、中山間地での栽培に適している。

 長浜市とJAは近年、健康食品として需要が高く、収益が多いショウガの栽培を市内で普及させようと、獣害や過疎化による耕作放棄地が多くある余呉地域で実証栽培を行うことに。

 委託を受けた余呉地域づくり協議会は昨年、8軒の農家に呼びかけ、遊休農地など5㌃で栽培したところ、獣害を受けることなく、栽培地として有名な高知や千葉に匹敵する単位面積当たりの収量を得ることができた。

 今年は同地域内の11軒が6.1㌃で栽培しているほか、西浅井地域でも2軒の農家が挑戦。10月後半には収穫、出荷できる見通し。

 ただ、問題なのは出荷時の手間。土を落とす作業に時間がかかるため、洗浄の機械化が不可欠。同地域づくり協議会は▽出荷体制の整備▽地域内の定着と地域外を含めた広域的な取り組み▽JAを核とした安定的な出荷・販売の流れの確立▽誰でも参加でき、一定の収益が確保できるような体制づくりが必要としている。

 余呉地域には遊休農地が約13㌶あり、獣害による農作物の被害は約90万円。獣害により栽培意欲が薄れ、耕作放棄地になっているケースも。新たな特産品作りとして、ショウガのほか、赤ジソやエゴマ、バジルなど獣害に強い作物作りも進めている。

掲載日: 2021年05月12日