ハイテク駆使した観光いちご園

ビニールハウスで太陽光発電

 米原市世継でビニールハウス上にソーラーパネルを設置するなど、ハイテク農業を実践している観光イチゴ園が今シーズンから営業を開始。先進的な試みが注目を浴びている。

 園は2月、同市顔戸で建築業を営む匠堂合同会社がオープンさせた。当初は地元自治会が所有している約9000平方㍍の遊休地を借り、太陽光発電をする計画だった。しかし、北村卓造社長(44)は「ありきたりのソーラーシステムでは面白くない」と、ビニールハウスの屋根を活用したイチゴ栽培をしようと考えた。

 建築士や電気工事士の資格を持つ北村さんはソーラーパネルを積載でき、風雪に耐えられるようなアルミ建材によるハウス4棟(約4000平方㍍)を建設。「ベンチアップ」と呼ばれる高床式で、イチゴを栽培することに。

 屋根の両側にパネルを設置したことによる日照不足を補うため、LED照明を設置。光合成を促進させる二酸化炭素を苗に局所的に当てるチューブを高床に這わせた。

 現在、2棟のハウスで紅ほっぺや章姫など6種、約1万本を栽培しているが、室温やCO2、液肥などは電子制御で集中管理しているので、省力化につながっている。また、ソーラーシステムで作られた最大320㌔㍗は売電している。

 イチゴ狩りに訪れた観光客からは「色形も良く、甘い」と好評。LEDを完備しているため、ナイター営業もできるというメリットも。北村社長は「ソーラーシェアリングをしたイチゴ園は全国的にも珍しいのでは。将来的には合理的な農業、6次産業化の促進で県の産業振興につなげ、日本の食糧受給率を上げたい」と話している。

 なお、「七夕いちご園」は6月末まで開園。現在、カフェを建設中。問い合わせは北村社長℡090(5050)1093へ。

掲載日: 2021年05月10日