押谷さん、毎日書道展で会員賞

伊吹高教諭、応募35年目でグランプリ

 伊吹高校教諭で書道部顧問の押谷呉璧さん(58)=本名・達彦さん、湖北町速水=が第74回毎日書道展(毎日書道会など主催)の漢字部門でグランプリにあたる会員賞に輝いた。会員になるには入賞を重ねる必要があるうえ、会員賞は会員100人に1人程度しか選ばれない難関。この快挙に、押谷さんは「より責任が重くなる」と気を引き締めた。

 書道を始めたのは滋賀大教育学部の1年生。書道指導者の育成に取り組んでいた池田哲也教授の講義に「楽しそう」と参加したのがきっかけ。以来、書の道を歩んできた。伊吹高校では19年間、書道部の顧問を務め、教え子は「書の甲子園」(国際高校生選抜書展)出場や、機動展示のパフォーマンスなどで活躍している。

 押谷さんは大学卒業以来35年間にわたって同展に応募し、毎日賞を2回受賞するなどして2017年に会員となった。以来、会員賞が目標となっていた。

 会員賞作品は中国の詩人・陶淵明(とうえんめい)の漢詩「帰去来辞(ききょらいのじ)」の一節「以帰尽」を書いた。文字の造形からこの一節を選んだが、「自然の摂理のままに死を受け入れる」との漢詩の意味から「死ぬまで書け、死ぬ気で書け、とのメッセージと受け取った」と押谷さん。納得ゆく作品に仕上がるまで、画仙紙300枚以上を書き続け、渾身の作を応募した。

 押谷さんは「周囲からはそろそろ賞をとらなあかんと励まされていたが、そう簡単なものではない。会員賞はとても嬉しい。今後は作品書きも仕事も、より責任が重くなる」と語っている。

 毎日書道展は毎年約3万点の応募がある日本最大級の公募書展で、入選作品は全国で巡回展示される。今年は会員賞に26点が選ばれた。

 なお、関西展は8月16日から20日まで京都市左京区の京セラ美術館、日図デザイン博物館、みやこめっせ第二展示場で開かれる。

掲載日: 2023年07月31日