十里街道生活工芸館テオリア23日閉館

市民、作家の創作活動支え30年

 約30年にわたって陶芸やさをり織りなどの創作講座を開き、作家や市民の作品発表の場として親しまれてきた十里街道生活工芸館テオリア(神前町)が今月23日で閉館する。館長の前田寿美(すみ)さん(86)は「元気なうちにやめようと決断した。このテオリアで多くの方に巡り合え、温かい作品に囲まれ、とても幸せです」と話している。

 テオリアは1995年、大通寺の東側の十里街道沿いにオープンした。十里街道は中心市街地を南北に貫く北国街道の東側を並行して走り、古くから職人が店を構えた。このため、前田さんは職人技術などを紹介する「モノ作りの発信基地」との思いを込めて開館した。

 3階は創作講座の場となる工房、2階はギャラリー、1階はコーヒーや軽食を楽しめるカウンターを備えた喫茶スペース。講座は陶芸、ビーズ、さをり織り、草木染、フラワーアレンジメント、手話などがあり、多くの市民が趣味講座を楽しんでいる。

 ギャラリーでは国内外の作家や趣味を楽しむ市民の作品を展示。テオリアをふらっと訪ねてきた作家と意気投合して展示会につながったり、旅先で見初めた芸術品を紹介したりと前田さんのバイタリティと感性によって創造された芸術空間となっている。

 「テオリア」はギリシャ語で「観想」を意味する。永遠不変の真理や事物の本質を眺める理性的な認識活動を指す哲学用語。

 「ここでいろんな方に出会えました。その一期一会がエネルギーになり、今日まで励むことができた。これもきっと神様、仏様の思し召し」と前田さん。閉館を知った作家や市民が続々と訪れ、「多くの方が惜しんでくれて、幸せに思います。元気なうちは、1階はお茶飲み場にでもしようかしら。ケセラセラよ」と笑顔を見せている。

 なお、今月20日までギャラリーで「テオリアの想い展」と題して、陶芸、ビーズ、さをり織り、草木染、フラワーアレンジメントの作品を展示。一部販売も行っている。午前10時から午後4時まで。月・火曜休館。

掲載日: 2023年12月04日