消防職員のアイデア 全国会長賞に

煙体験ゴーグルと救急はさみ用アタッチメントを開発

 湖北地域消防本部の職員4人が開発した煙体験ゴーグルと救急はさみ用アタッチメントが全国消防協会主催のコンテスト「消防機器の改良及び開発並びに消防に関する論文」の機器の部でそれぞれ会長賞に輝いた。

 コンテストは消防機器の改良・開発などのため同協会が全国の消防署から作品を公募して毎年開催。2019年度は全国から130点の応募があり、ゴーグルとはさみはいずれも会長賞の最優秀賞(1点)に次ぐ秀賞(6点)に輝いた。

 煙体験ゴーグルは市販の安全ゴーグルに乳白色のシリコンシートを貼り付けたもの。長浜消防署西浅井出張所の野洲裕樹さん(45)、北村福将さん(30)が開発した。装着するだけで火災現場の煙の中にいるような視界を体験できる。シートの色や厚さによって煙の種類を変えることもできる。

 従来の防火訓練では火災で発生する煙の怖さを知ってもらうため、テントを使って煙体験ハウスを設営するのが一般的だが、時間、場所、天候に左右されるのが難点だった。ゴーグルはいつでもどこでも簡単に使用でき、体が不自由で訓練に参加できない高齢者や煙を怖がる幼児にも煙を疑似体験してもらえる。

 福祉施設や認定こども園で試用したところ好評で、2人は「火災や煙の怖さを実感してもらうことはもとより、防火への関心を持って頂ける一助となる手応えを感じた」とレポートしている。

 救急はさみ用アタッチメントは傷病者の衣服を裁断する際に使用する。長浜消防署余呉出張所の志賀英夫さん(39)、冨士野惠浄さん(39)が開発した。はさみで裁断する際、衣服に「よれ」ができるため、服を引っ張るために両手を使ったり補助員が手伝う必要があるが、多数の傷病者が発生するような現場では1人での素早い裁断が求められる。開発したアタッチメントは、はさみに装着することで衣服の「よれ」を解消できる構造で、隊員1人でスムーズに裁断できる。

 全国大会の場で表彰される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったため、「救急の日」(9月9日)に合わせて、9日、湖北地域消防本部で表彰式を実施した。野洲さんは「救助の現場や住民参加の訓練で有効に使えるようこれからも開発・改良を進めたい」と話している。

掲載日: 2020年09月09日