木之本町 安念寺いも観音さんを後世へ

御堂の補修資金をクラファンで公募

 戦乱の時代、先祖によって戦禍から守られた安念寺(木之本町黒田)の「いも観音さん」。老朽化した御堂を直したい、と住民有志がインターネットのクラウドファンディング(クラファン)を活用し、13日から修復資金を募ることになった。

 言い伝えによると、ホトケ様を安置する天台宗の安念寺は神亀3年(726)開基。大化の改新で知られる藤原鎌足に縁がある人物が興したとされ、藤原一族はこの地にとどまり、藤田姓を名乗り、約1300年間、この寺を守ってきた。

 平安時代、栄えていたが、信長の比叡山の焼き討ち(1571)と賤ヶ岳合戦の放火(1583)により、2度、焼失したが、村人たちが御堂から木造菩薩形立像(高さ約150㌢)を救出。境内に池などが無かったため、田畑に埋めて隠し、守り抜いた、とされる。

 戦禍を乗り越えたホトケ様は手足を失い、顔も判別できないほどの姿となったが、村人達は土中に埋められていたホトケ様を掘り出し、近くの余呉川で泥土を洗い清め、仮堂に安置。イモ洗いのように洗い清めたことから村人は「いも観音」と呼ぶようになり、疱瘡、皮膚病を治す「身代わり観音」として信仰している。

 観音堂は昭和8年に総ケヤキ造り、約8畳で再建されたもので、風化が進み、階段や床はカビだらけ。傷みがひどくなっているが、未指定文化財のため、補助金の対象外。修理費(約150万円)は10戸の村人がすべて負担することになる。「安念寺いも観音保存会」では観音ガールの對馬佳菜子さんをコーディネーターに、サイト「CAMPFIRE」のクラファンで資金を募ることにした。

 代表の藤田道明さんは「若者が減っており、これまでのように我々で守り続けていくのは難しい。後世につなぐためにも皆さんの支援をお願いしたい」と協力を求めている。

 募集期間は13日から10月31日まで。3000円〜5万円のコースがあり、目標額は200万円。返礼品はパンフレット、カードやお守り、黒田産プレミア米など。問い合わせは同保存会・藤田長蔵さん℡090(2046)5356へ。

掲載日: 2020年08月06日