地空連携の災害ロボット開発へ

京都大学が大井町で洪水の情報収集

 「地空連携」による災害用ロボットを開発している京都大学の教授らがこのほど、大井町の姉川一帯でドローン3台による同時空撮を実施。ロボット開発に必要なデータを収集した。

 同大学の松野文俊教授(工学博士)の研究グループは日本、ロシア、タイの3カ国で3年間かけ、土砂災害や水害に役立つロボットの共同研究をしている。

 プロジェクトは被災地で開発した「空中」「陸上」「水上」「水中」のロボットの特徴を生かしながら、連携させ、被害状況の確認や人命救助に役立てるというもの。

 今回の撮影は河川流域や集落周辺の地形など、情報を収集するのが目的。災害時を想定し、危険回避のため、省人数化を目指しており、1人のオペレーターが同時に複数のドローン(空中ロボット)を管理する。

 調査では3台のドローンを同時に上空約50㍍まであげ、20分間、飛行。大井橋周辺や姉川左岸一帯の写真を約600枚撮った。撮影した写真は学生たちがコンピューターで地図と重ね合わせ、歪のない画像に処理される。

 松野教授は「ドローン同士の衝突が無いかなど、チェックできた。陸と空との連携により、さまざまなシーンで役立てられるようなロボットを開発したい」と語っていた。

越水の可能性指摘 高時川の調査も

 大井町は2017年8月の台風で甚大な浸水被害を受けており、メンバーの1人、畑山満則教授(京都大学防災研究所)は地元自治会、防災組織の協力を得て、浸水場面をVR(仮想現実)でリアルに体験できる防災システムを開発している。今回の研究ではこのデータを照らし合わせながら、「地空連携」による災害用ロボットを開発する考え。

 湖北の水害について、畑山教授は「水害の要因となった県道の切り通しは塞がれ、同じような被害は無いと思うが、流域の形状から上流域で(堤防を)越水する可能性が高い」とし、高時川についても「水かさが急激に増す姉川との合流点などを調べてみたい」と話していた。なお、今回、収集されたデータは県の「地先安全度マップ」資料に提供される。

掲載日: 2021年09月21日