信徒が600巻の経典補修

大聖寺不動堂、120年前の大般若経

 大門町の大聖寺で1899年(明治32)に納められた大般若経600巻の修復作業が信徒の手により行われている。

 大般若経法会は信徒を中心に毎年10月28日直近の日曜日に勤められ、その際、大般若経600巻の転読が行われる。経典は120年を経過し、虫食いやつなぎの破れ、ページ離れなどが見られ、たびたび補修が行われてきたが、近年、全面的な修復が必要となり、昨秋より、信徒たちの手で作業を行ってきた。

 修復の中心を担った信徒の1人、草野清男さん(73)はかつて印刷所に勤務していた経験を生かし、破れた箇所をつなぎ、貼り合わせるなどし、現在、約400巻を修復。10月の大般若法会には全巻の修復を完了させる予定。

 600巻もの大般若経を所蔵する寺院は湖北地域では総持寺など稀で、県内でも数少ない、とされる。当時、東浅井郡下草野村を筆頭に上草野村、七尾村、湯田村、坂田郡、伊香郡、彦根、東京など600人近い人から志納(寄付)を集めており、当時、大聖寺の影響が広域におよんでいたことがわかる。

 世話人代表の山崎喜世雄さんは「600巻修復という偉業。特別公開には法要を勤めたい」としている。

 

不動明王坐像を公開 10月に1日限り

 大般若経を安置する大聖寺の不動明王坐像の特別公開は10月24日午前10時から正午まで。拝観料は800円。

 御堂には湖北最大級の秘仏・不動明王坐像(像高135㌢、平安後期作)が安置されている。桐による一木造が特徴で、2013年、市指定文化財に指定されているが、虫食いなどにより、傷みが著しく、見積もりによると本体や台座などを直すと約530万円。市の規により助成金は事業費の半分のため、265万円を実質3軒の世話方が負担することになる。

 市は浅井歴史民俗資料館や長浜城歴史博物館、観音ハウス(東京)の企画展や講演会の会場に募金箱を置き、文化財の修復をバックアップ。世話方が工面した資金を合わせ、これまで215万円が集まった。

 仏像の修復は来年4月から、2年かけ、行う計画で、山﨑さんは「残り40万円を何とか2年以内に集めたい」としている。仏像の補修資金調達と大般若経の修復完成を兼ね、志納を募集中。問い合わせは山崎さん℡(74)0076へ。

掲載日: 2021年09月15日