「湖北虹工房」の3人、自助具作りに励む

利用者の笑顔と感謝の言葉を支えに

 病気やけがで、今まで使っていた箸やスプーンを使うのが難しくなった。腰が曲がらず靴下が履けない—。身体が不自由な障害者や高齢者の悩みを解消する便利な道具「自助具」を手作りするボランティアグループ「湖北虹工房」。結成から20年余りが経過してメンバーは高齢化したが、利用者の笑顔と感謝の言葉を支えに、きょうも自助具づくりに励んでいる。

 グループは障害者支援を目的に、長浜保健所の呼びかけで1998年に結成された。結成当初は20人を超えるメンバーがいたが、高齢化により次々と引退。現在は分木町の山本春男さん(83)、殿町の中川五郎さん(84)、勝町の福井俊文さん(77)の3人が活動している。

 月2回、長浜市社会福祉協議会浅井センター(内保町)に集い、病院や福祉施設などから依頼があった自助具の手作りに取り組んでいる。障害者や患者に直接会って困っている点や要望を聞き、3人でアイデアを出し合う。材料はホームセンターや100円均一ショップで揃えて加工している。

 手首の関節を曲げなくても使えるスプーン、グーで握れる箸、片手で使える爪切り、座ったまま1人で座薬を挿入できるイスなど、これまでに作った自助具は801個にのぼるが、どれ一つをとっても同じものは無いという。代表の山本さんは「自助具は個人の事情に合わせて作る必要があります。眼鏡と同じです。目が悪いからといって隣の人の眼鏡は使えませんから」と説明する。

 「利用者の笑顔もそうですが、家族の笑顔が嬉しい。障害を抱える人を介助する家族は精神的にまいっている人もいる」と語る山本さん。以前、倒れない茶碗を製作して家族に届けたところ「きょうから家族げんかが減るね」との言葉が忘れられない。中川さんと福井さんも「困っている人に喜んでもらえるのが活動の励みになる」と話している。

 課題は活動場所と後継者の確保。現在は長浜市社会福祉協議会の好意で、内保町の施設を利用しているが、高齢のため運転免許証の返納を考える中、自転車や徒歩で集える活動場所が欲しい。また、これまで培ったアイデアやノウハウを受け継ぐ、新しい仲間を募っている。山本さんは「仲間と話し合い、手先を使って自助具を作ると認知症予防になりますし、何よりも生きがいを感じます。是非、参加して欲しい」と呼びかけている。

 湖北虹工房に関する問い合わせは山本さん℡090(7765)7302へ。

掲載日: 2019年09月09日