2023年5月15日

湖北オーケストラ定期演奏会

28日長浜文芸会館、「カルメン」など披露

 湖北地域の音楽愛好家で組織する「湖北オーケストラ」は5月28日午後2時から長浜文芸会館で第5回定期演奏を開く。

 同オーケストラは「湖北にオーケストラを」との長浜音楽協会の呼びかけで2006年に結成された。徐々に団員を増やし、湖北地域の団員のみで交響曲を演奏できる2管編成オーケストラへと成長し、2018年に初の定期演奏会を成功させた。

 現在の団員は約30人。毎週日曜の午前に、長浜文芸会館などの市内公共施設で練習に取り組み、定期演奏会を目指している。

 定期演奏会ではビゼー「カルメン」(第1組曲、第2組曲)、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、シューベルト「未完成」を披露する。

 「カルメン」では客演指揮者に天理シティーオーケストラ指揮者の安野英之さんを迎えるほか、「語り」を長浜市出身の女優・尾本祐菜さんが担当する。

 14日に長浜文芸会館で行われた練習では安野さんの指導で「カルメン」を繰り返し練習。安野さんは「闘牛士がマントをひるがえすようにかっこよく、堂々と」などと団員に細かく指示していた。団員指揮者の益子進也さんは「オペラを見たことのない人でも、カルメンのストーリーが楽しめる組曲となっている。解説もあるで、親しみやすい」と来場を呼びかけている。

 チケットは全席自由で、前売り800円。長浜文芸会館、市民交流センター、浅井文化ホール、木之本スティックホールで販売中。問い合わせは文芸会館℡(63)7400へ。

団員を募集

 湖北オーケストラは随時団員を募集している。対象は自身で楽器を持つ高校生以上。募集パートはバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、オーボエ、フルート、ファゴット、ホルン、打楽器。他のパートについても相談にのる。団費は月額3000円。詳細は同オーケストラのホームページで。

2023年5月12日

両生類 暑さをどう感知?

長浜バイオ大などのグループ、仕組みを解明

 暑さを嫌い、涼しい環境を好むサンショウウオなどの有尾両生類がどのようにして気温を感じ、生息環境を選択してきたのか—。長浜バイオ大学と生理学研究所(岡崎市)の研究グループが有尾両生類の感覚神経が持つ高温センサー「TRPV1」(温度受容体)の感受性を突き止めるとともに、たった2個の「アミノ酸残基」(タンパク質を構成しているアミノ酸の1単位)が「熱い」と感じる温度を変化させていることを明らかにした。

 研究は「ウーパールーパー」の名で親しまれているアホロートル、スペインなどに生息するイベリアトゲイモリ、長浜市にも分布するヤマトサンショウウオ、山地の渓流に棲むハコネサンショウウオの4種類について、それぞれのTRPV1の温度応答性を調査した。

 ラット(ネズミ)などの動物は43℃程で「熱い」と感じるが、涼しい環境を好む有尾両生類は30℃ほどで「熱い」と感知する。研究グループは有尾両生類のTRPV1が動物に比べ10℃近く低い温度で反応する性質を突き止めた。

 また、アミノ酸残基に温度に反応する部位があると推測して、有尾両生類とラットのアミノ酸残基を比較するなどして、重要な役割を持つ2個のアミノ酸残基を特定した。

ヒトの「痛み」治療につながる可能性も

 長浜バイオ大の斉藤修教授ら研究グループは「地球温暖化による動物への真の影響を理解、予測し、種の保全に有益な情報になる」と研究成果の意義を語っている。さらに、温度感知の仕組みは痛みの感知にも通じ、「TRPV1の活性化の仕組みや、その感受性の変化が起きる仕組みを明らかにすることは、ヒトの神経障害性などさまざまな『痛み』に関係した疾患の治療や新薬開発につながる突破口になる可能性がある」としている。

 研究成果は11日、電子版英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

2023年5月11日

悪質運転に、正拳突き!

長浜署で出動式、一日署長に空手家・清水さん

 春の全国交通安全運動(11日〜20日)が始まり、長浜署では前日の10日、大津市出身の空手家・清水未来さん(22)を一日警察署長に招いて出動式を行った。

 清水さんは2歳から空手を始め、京都光華女子大在学中の昨年11月には第1回全日本学生フルコンタクト空手道選手権で準優勝。京都府警右京警察署が作った自転車の安全運転啓発動画にも出演している。この4月からは野洲市役所で保健師として働いている

 出動式では「春の全国交通安全運動には3つのポイントがある。子どもをはじめとする歩行者の安全確保、横断歩行者の事故防止、自転車のヘルメット着用。安全・安心なまちをつくっていくため微力ながら努めたい。皆さんも頑張ってください」と訓示した。

 板割りの演武も行い、「あおり運転」「飲酒運転」「信号無視」と記された木の板を正拳突きや肘打ちで割るパフォーマンを見せた。

 出動式には署員をはじめ、交通安全協会、安全運転管理者協会、警友会、市関係者ら約30人が出席。井上和幸署長は「管内の交通事故を1件でも減らし、安全・安心の長浜の実現に向け、一致団結して取り組んでほしい」と呼びかけていた。

 出動式の後は、白バイやパトカーが長浜署を出発して市内パトロールに向かった。

2023年5月10日

徳源院の三重塔、屋根修復へ

京極家の菩提寺、CFで資金募る

 戦国武将の京極高次ら京極家の菩提寺として知られる米原市清滝の清滝寺・徳源院の三重塔の一部が損傷し、同寺は修復費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 徳源院は京極家初代の氏信が1286年(弘安9)に建立。鎌倉幕府に仕えてバサラ大名として知られる京極道誉や、豊臣秀吉や徳川家康に仕えた京極高次ら歴代25代の当主をまつっている。

 三重塔は、讃岐丸亀藩主だった京極高豊が1672年(寛文12)に京極家先祖の墓石を集めて供養塔として建立。高さ約15・5㍍のこけらぶきの屋根で、親柱を設けずに水平材を直角に交わらせて作った柵「組高欄(くみこうらん)」などの構造が特徴。

 1977年(昭和52)に改修されたが、台風や大雪などの影響で屋根のこけらぶきがはがれ落ちたり、屋根の一部が破損し、「このまま放置すれば手の付けられない状態になりかねない」(山口光秀住職)。

 三重塔は県指定の文化財だが、補助金だけでは修復費を賄いきれないため、100万円をCFサイト「READY FOR(https://readyfor.jp/projects/118212)」で募集。返礼品は同寺の拝観券、京極家武将印状、三重塔修復工事の見学など。受け付けは6月20日まで

 山口住職は「このCFを機に、米原に歴史的な徳源院という寺があることを知ってもらい、ご来院いただけたら」と話している。

2023年5月10日

谷口町の神田山に遊歩道

「子どもたちと一緒に」住民有志が整備

 谷口町でかつて住民憩いの場だった「神田(じんでん)山」を再生しようと、地元の有志が遊歩道を整備。5日、完成記念の山登りイベントがあった。

 神田山は集落の奥にある小高い山(標高188㍍)。地元のお年寄りによると、昔は、子どもたちがこの山に登って遊んだり、田植え終わりの農休みには人々が一堂に会し、宴を催していたという。

 また、谷口は林業が盛んで、ほとんどの山にはスギが植林されたが、この山だけは低木の広葉樹が自生。見晴らしがよく、麓の集落などが見下ろせる眺望スポットになっていた。

 しかし、山に入る人が少なくなり、草木が生い茂るように。地元の人たちは「子どもたちと一緒に、昔の姿を取り戻したい」と昨年5月、有志でつくる「夢追い人」(藤辺匡文代表)を発足。再生に取りかかった。

 メンバーたちは集落と山頂を結ぶ道を重機などで開拓。呼びかけに応じた子どもたちも枝払いなどを手伝った。このほか、雑木を利用した看板や階段を設置、ヤマザクラやモミジの植栽も子どもたちと一緒に。延べ130人の力を借り、約1年間がかりで、遊歩道ができあがった。

 完成イベントには市内の親子ら75人が参加。新緑に囲まれた遊歩道を散策した。山頂広場では弁当を広げ、宝探しを楽しみ、「初めて登った。風が心地よかった」「今までで一番楽しい子どもの日になった」などと喜んでいた。

 グループでは神田山の再生とともに、集落内の公用地(遊園地)の遊具整備なども進めており、藤辺代表は「次代を担う『子どもたちと一緒』が合言葉。交流を通して谷口や自然に愛着を持ってもらえたら」と話している。

 なお、夢追い人では仲間を募集中。問い合わせは藤辺代表℡090(8752)3677へ。

2023年4月24日

「伊吹在来そば」全国PRへ

そば店など8者が会設立、ロゴ制作

 伊吹山中腹で鎌倉時代から栽培されてきた「伊吹在来そば」を守り全国にPRするため、米原、彦根両市のそば店など8者が「伊吹在来そばの会」(膽吹邦一会長)を設立。在来そばの名称を使用できる基準やロゴマークをつくり、クラウドファンディング(CF)を通じて全国に発信している。

 伊吹在来そばは粒の直径が4・5㍉以下で一般の品種より小粒。殻を除いて製粉すると淡い緑の色合いや甘み、香りが強く出る。平安時代後期から鎌倉時代に伊吹山中腹で栽培が始まったとされ、2019年には地域の特色ある農林水産物を守る地理的表示「GI」保護制度の対象に選ばれている。

 同会のメンバーは膽吹会長(麺工房伊吹長兵衛)のほか、水田裕久さん(雲鈴)、谷口隆一さん(久次郎)、門田真吾さん(献上伊吹そばつる亀庵)、小林満さん(そば処百百百百(どどもも))、伊富貴務さん(蕎麦の里伊吹)、伊富貴良市さん(蕎麦の里伊吹)、山崎茂さん(麻心)の8人。

 在来そばを使っていないものの「伊吹そば」や類似の名称を使用している乾麺などの商品が販売されていることから、差別化を図るため同会では「伊吹在来そば」の名称をブランドとして使用する。

 同会では「伊吹在来そば」の名称を使用できる基準として、そば店で提供する際には商品全体に占める在来そばの割合を7割以上、乾麺などの商品を販売する際には5割以上とすることを決めている。同会のお墨付きとなるロゴマークも制作した。

 CFサイト「キャンプファイヤー(https://bit.ly/40IQuU8)」でいぶき在来そばをPRし、6月2日までチラシやポスター、リーフレットなどの製作資金を募っている。目標金額は30万円で、返礼品に食事券や乾麺などを用意している。

 同会は「在来種にこだわったそばを作り続けることを誇りにしており、この素晴らしい伝統と味を全国へ広め、後世へと継いでいきたい」としている。

 【伊吹在来そば】古くから山岳信仰の霊場、修業の場として神聖視されてきた伊吹山で、平安時代後期から鎌倉時代にかけて中腹に開かれた太平護国寺で修行をする修行僧たちが食料を確保するためにそばの栽培を始めたことが起源とされる。

 松尾芭蕉の弟子、森川許六の文献「本朝文選」(1706年)には「伊吹蕎麦。天下にかくれなければ。からみ大根。又此山を極上とさだむ」と記され、そば文化が花開いた江戸時代にはすでに「伊吹在来そば」の美味しさが全国に知られていたことがうかがえる。

 江戸時代に膳所藩が編さんした「近江與地志略」(1734年)には秋になると琵琶湖の船の上からも伊吹山に広がるそばの白い花を見ることができたと伝わり、「伊富貴山之図」(1739年、彦根藩井伊家文書)には伊吹山の西面にそば畑が描かれている。

 太平護国寺が衰退した江戸時代以降は太平寺村の名産としてそば栽培は継続されたが、昭和の高度経済成長期に伊吹山の一部がセメント鉱山になったことに伴って住民が麓に移住し農家が激減。そばの栽培量も大幅に減少し、太平寺地区に近い峠地区で一部の農家が在来そばの栽培を守り続けていた。

 地元のそば愛好家が1995年に農家から種子を譲り受けて栽培したのを機に復活の機運が高まり、現在は姉川の渓谷沿いをはじめ谷口から広がる米原市内に栽培が拡大している。年間生産量は平均30㌧ほどになるという。

2023年4月20日

彦根城の酵母でビール

「彦根麦酒」バイオ大教授の協力で開発

 長浜バイオ大の向由起夫教授の協力で、クラフトビール醸造会社「彦根麦酒」が彦根城内で採取された酵母を使ってビールを醸造した。

 同社は彦根産の大麦麦芽、ホップ、水、酵母を使ったビール醸造を目指しているが、酵母の発見が難航。このため、酵母の研究を行っている長浜バイオ大の向教授に協力を依頼し、2020年からビール醸造に適した酵母を彦根市内で探してきた。

 21年からは県立河瀬中学高校の科学部とも連携し、生徒が彦根城の西の丸広場に生えていたキノコを採取。そのキノコからビール発酵に適したサッカロミセスという酵母が見つかり、「彦根麦酒酵母K21」と名付け、試験醸造を重ねて今年3月下旬に製品化に成功した。

 向教授によると、サッカロミセスは一般的に花や実などの糖分から採取される酵母だといい、偶然、キノコに付着していたとみられる。キノコを採取した河瀬高3年生の宮尾悠生さん(17)も「好奇心のみで採取したキノコから酵母が見つかり、驚きしかない。その酵母からビールができてよかった」と話した。

 商品名は「志成」。河瀬中学高校の科学部が同校の校訓にちなんで命名した。ほのかに甘くフルーティーな味わいが特徴だという。330㍉㍑、税込み880円。40本限定。5月2日から彦根麦酒荒神山醸造所(同市石寺町)で限定販売する。

2023年4月17日

凛々しく華やかに子ども歌舞伎

名演「よくできました!」 4万人を魅了

 長浜曳山まつりは17日朝の「御幣返しの儀」で祭典を終えた。曳山全13基が出場した本日(ほんび)の15日は時折小雨の降る天候だったが、子ども役者が歌舞伎を凛々しく披露し、観客を魅了していた。

 長浜市によると15日の人出は約4万人。ユネスコ無形文化遺産登録を記念して全基出場した2017年の7万人と比べると3万人少なかった。

 15日は曳山まつりの起源とされる長刀組の太刀渡りがあり、鎧姿の子ども武者が2㍍余りの大きな太刀を腰に下げ八幡宮境内へと練り歩いた。

 

 一番山の常磐山の舞台では吉田櫂さん(10)が扇と鈴を手に三番叟を優雅に舞い、歌舞伎奉納の幕開けを告げた。常磐山は「鬼一法眼三略巻 今出川菊畑の場」を上演。兵法の秘伝書「虎の巻」を盗み出すため平家方の屋敷に身分を偽って潜入する牛若丸を描いた物語で、川村旭弘さん(9)演じる牛若丸が見得を切ると、観客から大きな拍手が沸いていた。

 各山は八幡宮で歌舞伎を奉納した後、お旅所へと巡行し、道中の大手門通りなどでも歌舞伎を上演していた。

 お旅所には歌舞伎を奉納しない「暇番山」を含め、夕刻に全13基が勢揃い。あいにくの天候のため曳山にはビニールシートが被せられたが、提灯の明かりに照らされた幻想的な舞台で子ども役者が迫力のある演技を見せていた。

 

 

 

2023年4月14日

演技はつらつと「十三日番」

長浜曳山まつり、子ども歌舞伎を上演

 長浜曳山まつりは13日の夕刻から夜にかけて出番山の地元で初めての歌舞伎披露となる「十三日番」があった。提灯の明かりに照らされた曳山の舞台で、子ども役者がはつらつとした演技を見せ、稽古を見守ってきた若衆や沿道の市民、観光客から「よくできました!」などと喝采があがった。

 「十三日番」は舞台衣装に身を包み化粧を施して初めて曳山の舞台で臨む公演。子ども役者は緊張したようすもなく、堂々とした演技を披露していた。

 「鬼一法眼三略巻 今出川菊畑の場」を演じた一番山の常磐山では子ども役者が息のあった演技を披露。川村旭弘さん(9)の演じる牛若丸と、想いを寄せる皆鶴姫役の大澤到将さん(10)との掛け合いシーンは提灯の明かりに照らされて艶っぽく見え、観客を魅了していた。

 「神霊矢口渡 頓兵衛住家の場」を演じた孔雀山の舞台では、強欲な父親の頓兵衛を演じる大澤凜太郎さん(11)の迫力ある演技と台詞が観客を圧倒。落人に一目ぼれし自らを犠牲にするお舟を、廣瀬理さん(9)が熱演し、沿道から大きな拍手が送られていた。

 14日は曳山が長浜八幡宮に向かう「登り山」、八幡宮から子ども役者の行列が地元に帰る「夕渡り」があり、本日(ほんび)の15日は八幡宮、お旅所、道中で歌舞伎が上演される。長浜開町450年を記念し、お旅所には歌舞伎を奉納しない「暇番山」も含め全13基が集合する。

 

 

奉納、一番山は常磐山 くじ取り式で、22年ぶり

 子ども歌舞伎の奉納順を決める「くじ取り式」が13日、長浜八幡宮であり、常磐山が22年ぶりとなる一番山を引き当てた。

 式には出番山の若衆から選ばれた「くじ取り人」が赤鉢巻を締めて整列。背後に立つ若衆が扇子を手に「ヨイサー、ヨイサー」と囃し立て、熱がこもるあまり他の山組のくじ取り人に詰め寄り、押し合いになるシーンも。

 くじ取り人は、丸めたくじが置かれた三方を神前から選び取り、總當番の合図で一斉にくじを開いた。

 一番山を引き当てた常磐山の田沢卓巳さん(22)は「まさか一番が来るとは思わず、嬉しい。子どもたちには楽しく悔いのないように演技してもらいたい」と話した。

 二番山は萬歳楼、三番山は翁山、四番山は孔雀山。