2023年6月30日

ガラス体験充実、大人かわいい品揃え

黒壁スクエアでリニューアル第1弾

 黒壁は「ガラスマジックパーク」を新たなコンセプトに、黒壁スクエア全体のリニューアルを計画。第1弾として黒壁体験教室などを移転してメニューや品揃えを充実させ、これまで以上に気軽にガラス加工を楽しめ、「大人かわいい」商品にも出会えるようになった。

 黒壁はコロナ禍の直撃を受けて4年連続の赤字決算となる苦境に立たされているが、地域活性化と市街地観光をけん引するまちづくり企業としてその持続性が求められている。現在、2年前に就任した田中猛士社長の下、各店舗のコンセプトや配置などを見直し、段階的にリニューアルを進めている。

 新たなコンセプトの「ガラスマジックパーク」は、黒壁スクエア一帯を風情ある街並みとガラス工芸の美が合わさった「ガラスの街」とするもの。

 北国街道から路地を通った先にあり目立たなかった黒壁体験教室は、観光客でにぎわう黒壁ガラス館の隣に移転。グラスの表面を削って模様を描く「カットガラス」、色ガラスを使ってガラスの皿やアクセサリーを作る「フュージング」、コップや一輪挿しを作る本格的な「吹きガラス」など8種類の制作体験ができる。店舗名は「ガラス体験アトリエ ルディーク」とした。「ルディーク」は仏語で「遊び心のある」という意味で、黒壁は「いろんなガラス素材と技で、ものづくりの楽しさを届けたい」としている。

 黒壁ガラス館の向かいにはガラスショップを開設。「心がときめく大人かわいい」をテーマにグラス、器、アクセサリーなどが並ぶ。ガラス職人が1点ずつ手作りしたリングスタンドや、ガラス端材をアップサイクルしたピアスなど、個性的な商品も。店名は仏語で「宝石箱」を意味する「エクラン」。「自分へのご褒美や、大切な人への贈り物など、日常生活を彩るガラス商品を見つけてほしい」と話している。

 このほか、「ガラス体験アトリエ ルディーク」への通路に風鈴や造花で飾ったインスタレーション(展示空間)「花降る小径」も設け、観光客の写真スポットとなっている。

2023年6月28日

糖度上々「いずみメロン」

泉町で女性が初栽培、29日から直売

 「かわさき農園」(泉町)のビニールハウスで28日、同町の地下水で育てた「いずみメロン」の収穫が始まった。ハウス前の直売所で29日から販売する。

 農園を運営する川崎香さん(33)は県立農業大学校(近江八幡市)の就農科を卒業し、2022年に起業。昨年はビニールハウス1棟(375平方㍍)でミニトマト、今年はメロン栽培に挑戦している。

 アールスメロンの青肉と赤肉の2種類計600個を、県が開発した「少量土壌培地耕」と呼ばれる技術で栽培。少量の土と液体肥料で育て、土壌の水分量の調整などがマニュアル化されていて栽培しやすく、連作障害が起きにくいのが特徴という。

 「一本の木につける実はたった一つ。食べた人に喜んでもらえるよう思いを込めて毎日世話している」と川崎さん。糖度計の測定では十分な甘みが出ており、「網の見た目はイマイチかもしれないが、糖度は上々」と胸を張る。

 泉町の地下水を利用し、「いずみメロン」と名付けた。価格はサイズによって異なり、主な価格帯は2000〜3000円。直売所で約1週間、販売する。午前11時から午後5時半まで。なくなり次第終了する。場所は神照幼稚園から東。

 今冬にはビニールハウスをもう1棟建てて栽培面積を倍増させる。「地域の方に安心してもらえるような農産物の生産と、楽しんでもらえる農園を目指したい」と話している。

2023年6月26日

朝日町に古民家改修の宿泊施設誕生

調査・研究活動の「入り口」に 学生や研究者の活動をサポート

 湖北地域をフィールドに活動する学生や研究者の宿泊滞在拠点となる「フナヤマ  リサーチ  ハウス」が7月、朝日町の北国街道沿いにオープンする。築100年を超える古民家の趣をそのままに改修している。

 地域の文化資源の調査や自治体と協働した事業企画などを行っている中山郁英さん(36)と荒井恵梨子さん(34)夫婦による「合同会社ケイフー」(木之本町木之本)が整備した。

 古民家は中山さんの祖父母が住んでいたが、最近、空き家となったことから活用することに。クラウドファンディングで資金を募り、長浜市の伝統的街並み景観形成事業補助金を活用した。

 施設は約200平方㍍で、最大8人が宿泊可能。共用のキッチンや居間なども備えている。「過去の記憶を継承する場としたい」と階段タンスなどの調度品、中庭、土間などをそのまま残している。2階の床板を外して開放感のある造りとし、床板は1階のフローリング材に再利用している。

 一般的な宿泊施設との違いはターゲットを観光客ではなく学生や研究者にしていること。「湖北地域で何かを調査・研究する際の入り口となるような施設になれば」と中山さん。2人が湖北地域を訪れる学生や研究者らを手引きし「単なる宿泊場所ではなく、初めの一歩を一緒に考える施設としたい」と話している。すでに海外から予約が入るなど、研究者や学生の間で口コミで広がっている。

2023年6月13日

樹木医の北村さん 大臣賞

古木の治療・管理、地域住民と一緒に

 米原市宇賀野の造園業「景樹園」社長の北村正隆さん(71)が緑化功労者として農林水産大臣賞に輝き、岩手県で開かれた全国植樹祭で感謝状が贈られた。長年、樹木医として県内の巨木、名木の治療・管理に取り組んでいることなどが評価された。北村さんは「たくさんの人のサポートがあったおかげ。これからは若い樹木医に知識や技術を伝えて育てたい」と話している。

 子どものころから植物に興味のあった北村さんは米原高を経て九州の大学で造園を学んだ。卒業後は奈良や大阪の企業で造園に携わり、1983年に独立・開業。1996年に樹木医の資格を取得した。

 浜湖月、姉川温泉をはじめ湖北地域を中心に庭園の設計・施工を担うほか、県レイカディア大学園芸科講師、シルバー人材センターの葉刈り講習会の講師なども務める。

 樹木医としてはこれまでに、東近江市の「信長馬繋ぎのマツ」(樹齢450年)、日野町の正法寺の藤(樹齢約300年)、マキノ高原の千本桜などの古木の診断や治療を行ってきた。古木は土、空気、水、日照といった条件が整って今に残っているといい、「木々によって生き様は異なる」と語る。

 印象に残っているのは、高時川の氾濫から堤防を守った御神木として地域の野神信仰の対象となっている高月町柏原のケヤキ。樹齢は推定500年で、こぶだらけの幹が特徴だ。高時川の氾濫から堤防を守るために枝を切った痕跡という。

 「木は動けないし、しゃべることもできない」。だからこそ丁寧に樹木を観察し、その声を聞いて、どのような治療が必要か診断する。

 北村さんが治療・管理にあたって心がけていることは、地域住民と一緒に維持管理を行うこと。「樹木を守ってゆくには樹木医の治療だけでなく、地域住民が愛着をもって管理することが大切。そのためには、みんなの関心を呼ぶための説明や啓蒙が大事」と語る。これまでも高月町の古木を巡るウォーキングイベントで講師を務めたり、マキノ高原の千本桜の治療で住民説明会を開いたりと、樹木と地域住民を結ぶきっかけをつくってきた。

 今後は、子どもたちにも樹木への関心を持ってもらうため学校への出前講座に取り組みたい考えで、「どんなきっかけでもいい。興味を持つことが、樹木を大切にすることにつながる」と話している。

 全国植樹祭は4日、岩手県陸前高田市で開かれ、4年ぶりに天皇皇后両陛下が出席。緑化功労者には北村さんを含む3人が選ばれ、両陛下ご臨席の下で、表彰された。

2023年6月12日

大道芸てるちゃん会、地域に笑顔届ける

5類移行で活躍の舞台再び

 大道芸サークル「てるちゃん会」は11日、南浜町自治会館で開かれた高齢者向けのお楽しみ会に出演し、皿回し、南京玉すだれなどの大道芸を披露した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で活躍の機会が激減していたが、コロナ5類移行に伴って出演依頼が増え、廣田滋会長(78)=十里町=は「お客さんの前で技を披露できるが楽しい」と張り切っている。

 てるちゃん会は大道芸の生涯学習講座を受講した仲間が意気投合して2000年に結成した。神照公民館(現・神照まちづくりセンター)を活動拠点としていたことから「てるちゃん会」と名付けた。メンバーは50〜90代の13人。コロナ禍前は各種イベントをはじめ、地域の子ども会、敬老会、高齢者福祉施設などで年間40回ほど出演していた。コロナ禍で発表の機会が年1、2回に激減していたが、今年に入ってから出演依頼が戻ってきた。

 南浜町で開かれたお楽しみ会は、老人クラブ「黎明会」などが開いた。以前は年3回開いていたが、コロナ禍で長らく中止しており、4年ぶりの開催。この日を待ちわびた高齢者が会館に集い、おしゃべりに花を咲かせた。

 てるちゃん会のメンバー5人は皿回しやバルーンアート、腹話術などを披露。締めくくりの南京玉すだれでは、「アさて、アさて、アさて、さて…、さては南京玉すだれ♪」の軽妙な口上に合わせ、すだれを釣り竿や魚、富士山などの形に変幻自在に操って、会場から大きな拍手を受けていた。

 廣田さんは「楽しかった、また来てな、との声をもらって励みになった」「しばらく発表の機会がなかったので技が落ちている。楽しんでもらえるように技術を磨きたい」と話している。

 なお、てるちゃん会は随時メンバーを募集している。問い合わせは神照まちづくりセンター℡(62)0265へ。

2023年6月8日

長浜の子育て情報、集約・発信

団体や企業にHPへの登録呼びかけ

 長浜市内で子育てに関わる活動に取り組んでいる団体、企業、個人の情報を集約して広く発信しようと、「長浜 cheer for 子育て実行委員会」(宮本麻里委員長)がホームページの運営を始めた。「長浜で子育てしたい 長浜で子育てできてよかった」を合言葉に、市民みんなで子育てに優しいまちづくりを進めたい考え。

 従来、子育てに関する団体や企業の取り組みはそれぞれが個別に情報発信しており、情報の受け手である市民からは「どんな企業・団体が活動しているのか分からない」「探すのに時間がかかる」「どこを見ればいいのか分からない」との声が出ている。

 実行委員会では「長浜 cheer for 子育て!」と題したホームページ(https://cheer-for.kosodate-nagahama.com/)で企業や団体の登録を募り、「企業インタビュー」「求人情報」「イベント情報」を発信する。5月24日からホームページを本格運用し、現在は7団体が登録している。実行委事務局の長浜市こども若者応援課は年度内に100団体の登録を目指す方針。6月8日時点では、登録団体の紹介のみで、求人やイベント情報は更新されていないが、順次、充実させるという。

 実行委は、多様な団体、企業、個人が取り組む子育て関連活動を「市民の誰もが共有すべき財産」と位置づけ、ホームページを通じた情報発信のほか、登録団体を対象とした研修会や交流会も開催する。

 登録はホームページから行える。問い合わせは市こども若者応援課℡(65)6371へ。

2023年6月7日

天寿全うまで寄り添い

三田さん、口分田町に老猫ホーム開設

 年を取った猫が余生を過ごす「老猫ホーム」が1日、口分田町にオープンした。飼い主の老人ホームへの入居などで行き場を失うペットの居場所にしようと、三田咲良さん(21)=大路町=が開設。「天寿を全うする最後まで、家族として寄り添いたい」と話している。

 愛玩動物として親しまれている猫だが、飼い主の高齢化で飼えなくなるケースが増え、引き取り手がなければ殺処分されることとなる。環境省の統計によると、2021年度の猫の殺処分数は1万1718頭で犬の2739頭の4倍以上となっている。

 小学生のころから猫を飼っている三田さんはテレビ番組などで、引き取り手のない猫や犬が殺されていることを知り、犬猫の保護活動に関心を持つように。伊吹高を卒業後、専門学校で動物飼育を学び、犬猫の譲渡活動に熱心に取り組むペットショップに勤務して経験を積んだ。

 口分田町にオープンした老猫ホーム「CATホッと」は父の哲哉さん(53)が自営業のため借りている築200年の古民家の内部をDIYで改装して整備した。居間や土間を猫がくつろげる空間にし、以前に飼われていた環境に近づけるため、ソファーやテーブル、テレビなどを置いている。

 受け入れる老猫は12、13歳以上で、寿命が尽きるまで5、6年間を一緒に過ごすこと想定している。スタッフが24時間常駐して猫の世話をする。料金は3カ月9万円からで、検査費用や葬儀費用として一時金25万円(いずれも税別)。特に都市部では行き場の無い老猫が増えているといい、飼い主の住所を問わず全国から受け入れる。

 開設したばかりのため今は受け入れている猫はいないが、三田さんは「大事な家族と一緒にいられなくなった年老いた猫が寂しい思いをしないよう、天寿を全うする最後まで第2の家族として寄り添いたい」と話している。

 老猫ホームのほか、一時的に預かるペットホテルや家庭に赴いて面倒を見るペットシッターも同時展開している。問い合わせはCATホッと℡(53)4099へ。

2023年6月2日

元気な取り組みに歓声

4年ぶり古保利小で伝統の相撲大会

 高月町の古保利小(不破正和校長、児童80人)で1日、4年ぶりに相撲大会が開かれ、児童が元気な取り組みを披露していた。

 同校では1988年の大相撲高月場所を機に地元で相撲場整備の機運が高まり、92年にやぐら付きの豪華な相撲場が学校敷地内に整備された。その年の大相撲名古屋場所の土俵の土をもらい受け、地域住民やPTAが協力して土俵を造り上げた。以来、毎年の相撲大会が同校の伝統行事となっている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年から3年連続で中止となっていた。

 「大ずもう古保利場所」と銘打ったこの日の大会では、学年別にトーナメントで対戦。ヘッドギアと簡易まわし姿の児童は四股名が読み上げられると土俵に立ち、行司の「はっけよい」の掛け声で組み合った。土俵際の攻防にクラスメートから「頑張れー」「押して、押して」と声援が飛び、勝って喜んだり負けて悔し涙を流したりする姿も見られた。5年女子のトーナメントで優勝した成田紗希さん(10)=四股名・紗希の花=は「1年生の時にも優勝した。足を擦りむいたけど頑張った。楽しかった」と話していた。

 古保利小は今年で創立150周年を迎え、記念事業実行委員会が土俵を保護する防水シート(10㍍四方)を新調した。実行委のメンバーもこの日の相撲大会を見守り、片山勝委員長は「真剣に、諦めずに相撲に取り組む姿に、古保利っ子精神を感じた」と話していた。