2021年1月19日

本と客のご縁結ぶ「御書印」

書店巡り収集、長浜の文泉堂も参加

 社寺を参拝した証の「御朱印」や、城を訪ねた記念に押す「御城印」の収集がブームとなる中、全国の書店のオリジナルのスタンプを集める「御書印」がじわりと人気を呼んでいる。県内では大宮町の文泉堂が参加し、店構えをデザインした御書印を押している。

 御書印は小学館と小学館パブリッシング・サービスが事務局を務める「書店と人を結ぶ」御書印プロジェクトの呼びかけで昨年3月にスタート。徐々に参加書店を増やし、現在は全国234店舗に広がっている。

 参加店で「御書印をください」と依頼し、200円を支払うと、書店のオリジナル印を含む3つの印と、店員が選んだフレーズやメッセージを記入してもらえる。また、御書印帖も配布している。

 文泉堂は「電子書籍やインターネット通販で書店に足を運ぶ機会が減っているが、書店巡りを楽しみ、本と出会うきっかけになれば」と当初からプロジェクトに参加。スタンプの絵柄は1849年創業当初のたたずまいを残す店構えをデザイン。また、手作りの消しゴムはんこで「文泉堂」と押している。そのうえで「本は心の糧」とのメッセージを大きく記している。

 吉田健治社長(41)は「昨年3月の開始以来、幅広い世代が訪れ、ほとんどが県外の客。御書印を集める目的で店を訪れ、そのまま長浜観光をしたり、来店して初めて御書印を知って集め始めたり、いろいろですね」と語る。御書印を押す際には観光マップを手渡して長浜の魅力を紹介するなど客とのコミュニケーションに努めている。

 また、吉田豊店主(68)は「探している本はインターネットで検索すれば手に入る時代だが、本屋には客と本の出会いをサポートし、本を紹介する役割がある。御書印は本と客をつなぐきっかけになる」と話している。

 なお、文泉堂では初めて御書印を集める客には御書印帖をプレゼントしている(数に限りあり)。

2021年1月16日

学徒出陣、文化人思想伝える

湖北町今西出身・熊谷氏の寄せ書き日の丸

 湖北町今西出身で長浜北高教諭を務めた熊谷直孝氏(故人)が学徒出陣のため早稲田大学の教授陣から集めた「寄せ書き日の丸」の励ましの言葉の中に、言語学者の金田一京助や作詞家の西條八十ら多くの著名人が見つかり、寄贈を受けた県平和祈念館(東近江市)が公開。当時の学徒出陣のようすを伝えると同時に、文化人らの戦時中の思想を知るうえで貴重な資料となっている。

 熊谷氏は早稲田大高等師範部(現・教育学部)の3回生だった1943年に出征することになり、当時の教授らに揮ごうを依頼し、41人分を集めた。寄せ書きの中には戦後の「象徴天皇制」を発案した政治学者の杉森孝次郎、軍国主義を主張した柳士廉(青柳篤恒)、万葉研究の窪田空穂、大正デモクラシーを代表する教育学者・稲毛金七らが壮行の言葉を記している。

 杉森は「皇風萬里」(天皇の良い政治が遠方まで広がる)、青柳は「任重通遠」(責任は重く道は遠い)、窪田は「好征」(よい出征)、稲毛は「人生は只一度や」と記し、金田一や西條は署名だけだった。

 早稲田大学百年史には田中穂積総長が多くの学生から求められ総長室で終日、筆をとっていたことが記されている。熊谷氏は生前、「寄せ書きは、早稲田の顔となる先生方に一筆を頼みに教授室を回りました。ちょうど女性が千人針を頼みに回る感覚ですね」と体験談を語っていた。

 学内では軍や政府の言論統制を受け、軍国主義・国粋主義を主張する教員が大きな力を持ち、積極的な発言を控える教員も。熊谷氏は体験談で「中には丁重に拒む先生もおられたが、それはそれで納得できました」と振り返っていた。

 寄せ書き日の丸は縦72㌢、横97㌢の布製。ビルマ(現・ミャンマー)の戦地から復員した本人が長く所持していたが、2009年に寄贈した。調査した同館の北原治専門員は「戦後、平和を唱えた多くの文化人も、戦時中は教え子の無事を祈って記した貴重な資料」と話している。

 寄せ書き日の丸は2月21日まで開催している企画展「戦争と教師たち」で展示されている。休館日は月・火曜。

2021年1月14日

ボロになるまで、機能的に

企画展、3地域の野良着にスポット

 浅井歴史民俗資料館で明治から昭和にかけ、地元に暮していた人々が着ていた「仕事着」にスポットを当てた企画展が開かれている。モノが無かった時代、暮らしの知恵を生かし、ボロ布になるまで使い果したり、機能性をアップしていった「野良着」の特徴や進化を紹介している。

 仕事着は野良着とも呼ばれ、季節や生活環境、野良仕事などに応じて、動きやすいように各家の女性が手作りしていた。時代の変遷とともに生活様式は変わり、既製品や洋服を着るようになるが、手仕事が減った農家では古着を利活用し、作業しやすいよう袖や丈を加工するなど工夫を凝らした。

 企画展では西浅井、余呉、上草野地域に残っていた仕事着や道具など20点を並べ、その時代や各地域の特徴を見比べることができる。

 西浅井で明治時代に作られた野良着は農作業時に着用。普段着としても大正時代まで使われていた。鯉の口のような形をした細長い筒袖で、田植えの際、袖まくりがしやすいよう短くなっている。展示品は110年間、4代にわたり地元の農家で受け継がれ、大切に保存されていた女物。弱くなった生地には当て布や刺し子がしてあり、穴の開いた部分は繕ってある。

 余呉で夏、山に柴刈りにゆく時、着た上衣が「シャックリ」。「サヤックリ」とも呼ばれ、名前の由来は「裂織」。横糸には使い古しのボロ布を再利用している。生地に厚みがあったため、柴を担いでも背中が痛くなかった。

 資料館は「古い仕事着を保管している家庭は極めて少なく、実物に接する機会もない。何とか今日まで保存してくださった人たちがいたおかげで、企画展が開催することができた」と話している。

 午前9時から午後5時、2月28日まで。入館料は一般300円。月曜、2月12日、24日休館。

◇   ◇

 あざい歴史の会は24日午後1時半から、浅井図書館で歴史講座を開く。

 県立大学の横田尚美准教授(生活デザイン科)が「滋賀県の仕事着」をテーマに話す。受講料一般500円。申し込みは浅井歴史民俗資料館℡(74)0101。

2021年1月12日

自分を成長させるチャンス

米原市の成人式、コロナ対策し、開催

 米原市の成人式が10日、ルッチプラザで開かれ、あでやかな振袖やスーツに身を包んだ新成人356人が晴れの舞台に臨んだ。

 式は新型コロナ対策として、2部制とし、プログラムの簡素化により、1時間に短縮。集合写真や式典後の交流会も取り止めた。

 山東・伊吹学区の178人が参加した第1部で、平尾道雄市長は「他の市町で中止、延期される中、大規模に縮小し、1人1人の感染予防に配慮し、開催にこぎつけた」と述べ「家族の皆さんに感謝の気持ちを込めて『ありがとう』の言葉を直接伝えてほしい。今日から名実ともに大人の仲間入り。大人になることは自立すること。自分の信じる道を歩んでほしい」とエールを送った。

 実行委員会(大野匠委員長・22人)の代表・脇坂源さんと川那辺龍舞さん(いずれも大東中出身)は「今の日本社会は新型コロナの影響もあり、不況が続き、若い私達にとって、とても厳しい環境の中にある。しかし、この厳しい環境は自分を成長させるチャンスだと思っている」「今まで自分を支えてくれた家族、友達、先生、地域の方々に感謝するともに、自分も誰かの支えとなり、助けていけるような社会人になれるよう日々精進したい」などと誓いの言葉を述べた。なお、式の出席率は81%で参加数、率とも前年を上回った。

2020年12月28日

「来年は笑顔の年に」心込めて準備

長浜八幡宮で巫女ら 感染対策に留意

 毎年多くの初詣客でにぎわう長浜八幡宮で巫女奉仕者が破魔矢や絵馬などの縁起物、お札、お守りを用意するなど迎春準備が進んでいる。

 27日には口分田町の専門学校生・野内音花さん(18)、常喜町の大学生・奥田稜さん(19)らが巫女の装束に身を包んで破魔矢などの準備にあたった。野内さんは「今年は大変な年だったので、来年は笑顔が増える年になれば。参拝客に明るく接したい」、奥田さんは「感染対策を第一に、参拝客に少しでも明るい気持ちになってもらえるよう接待したい」と話していた。3が日は巫女35人体制で参拝客をもてなす。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で分散参拝や境内での「3密」回避が求められる中、長浜八幡宮では例年実施している「新春ちくわ撒き」を取り止め、先着順の手渡しとするなどコロナ対策に留意して初詣客を迎える。

 本殿前の参拝スペースを広く取って「速やかなお参り」を呼びかけ、感染対策のため不特定多数が触れるおみくじ筒に抗菌処理を施している。また、本殿内の参拝客のために地元企業が開発した超音波噴霧器「ミストセイバー」を導入し、除菌効果のある水溶液を噴霧する。このほか、感染拡大防止のためひしゃくを撤去している手水舎を、花で彩る「花手水」とする。

 混雑が予想される3が日を回避して年内に参拝する「先参り」も呼びかけていることから、週末の26、27日も参拝客でにぎわっていた。

 長浜八幡宮の年末年始の行事は次のとおり。

 【31日】▽午後3時、大祓式▽7時、除夜祭▽10時半、どんどに点火▽11時、干支の氷大彫刻完成▽11時半、落語家・笑福亭仁昇さんとカウントダウン。

 【1日】午前0時、歳旦祭、新春ちくわ配布(計1000本)、生田流正派による琴の奉納演奏▽7時、神歌奉納▽9時、一心無双流居合道奉納、光粋流舞道による剣舞歌謡舞の奉納【2日】午前9時、日供始祭【3日】午前9時、元始祭。

2020年12月25日

寝具や睡眠環境 プロが提案

北国街道に快眠カウンセリング専門店「夢匠庵」

 元浜町の北国街道沿いに25日、快眠カウンセリング専門店「」がオープンした。地元で寝具店「眠りのプロショップSawada」を経営する沢田昌宏さん(62)が「これまでの取り組みの集大成」と胸を張る店舗で、寝具販売よりも、快眠に関する相談や提案に重点を置いている。

 店舗は築100年の町家を改修し、広さは約150平方㍍。県産ヒノキ製のベッド6台を並べているほか、マットレスや布団、枕などの寝具を扱っている。一般的な寝具店と異なり、「夜、眠れない」「眠りが浅い」「腰が痛い」などの相談を受けたうえで、症状やそれぞれの個性に合わせて寝具を提案する。

 「ねむりはかせ」を自称する沢田さんは「日本人は睡眠時間が短くなる一方でスマホなどの睡眠を阻害するストレスは増えるばかり」と指摘し、健康な睡眠のためには体にストレスをかけない寝具や睡眠環境を整えることが重要とアドバイスしている。

 また、店舗奧では蔵を改装した「快眠ゲストルーム」も整備中で、来年2月以降、沢田さんがこだわりぬいたマットレスや布団を使用し「極上の眠り」を宿泊体験できる。先日オープンしたイタリアンレストラン「ビワコラージュ」とも提携する。

 沢田さんの寝具店は1890年に「綿屋」として創業し、今年で130周年の節目を迎えた。これまで扱ってきた寝具という「モノ」に加え、「コト」である快眠を提案することで、「健康をキーワードに良質な睡眠をお届けできれば」と話している。

 夢匠庵はカウンセリングに重点を置くため利用は1日2組限定の予約制となっている。ただ、25日から28日、1月8日から14日までは内覧会のため予約なしで入店できる。問い合わせは沢田商店℡(62)0057へ。

2020年12月23日

コロナ鎮静化願い茅の輪くぐり

大路町の老人会が湯次神社に設置

 新型コロナウイルス感染症の鎮静化や年末年始の無病息災、家内安全などを願って、大路町の老人会「大路老和会」(清水武彦会長、会員150人)が23日、地元の湯次神社に「の輪」を設けた。25日午後2時からの「大祓い祭」からくぐり抜けを解禁し、市民に参拝を呼びかけている。

 茅の輪くぐりは「夏越の大祓い」がある6月に行われるのが一般的だが、12月にも「大祓い」があることから、冬に実施することもあるという。

 老人会では新型コロナの影響で数々のイベントが中止となる中、「密」にならない行事として茅の輪の設置を計画し、9月に近くの五百川の土手でを刈り取って保管していた。今月13日、役員10人がインターネットの動画を参考に約3時間かけて茅の輪を作り上げた。大きさは西暦にちなんで直径2020㍉とした。23日朝、老人会が毎月実施している境内の清掃に合わせて、参道に設置した。

 湯次神社で茅の輪くぐりが行われるのは初めてで、清水会長は「花火も神輿も忘年会も新年会もない。コロナ禍の中で何かできないかと発案した。コロナの鎮静化や家内安全、厄除けなどを願って参拝してもらえれば」と話している。

 茅の輪のくぐり方は「祓え給え、清め給え、守り給え、へ給え」と唱えながら、左・右・左の順に「8」の字に3度輪をくぐり、神前に向かう。茅の輪は来年1月15日に撤去する。

2020年12月21日

看板メニューは即席麺!?

元浜町にセルフ「さばそうめん食堂@まんぷく丸」

 湖北地域の郷土料理「鯖そうめん」のインスタント商品を看板メニューにした「さばそうめん食堂@まんぷく丸」が21日、元浜町にオープンした。

 長浜萬商(旧・セイキン商事)が今年2月から売り出している自社製品をその場で食べてもらおうと、町家を改修して食堂にした。

 インスタント商品はフリーズドライのそうめんを使用。カップに熱湯を注いで3分待ち、湯切りをした後、出汁を加え、真空パックしている鯖を添えるだけ。同社の清水大介社長(53)によると発売以来1万5000食が売れ、「観光客だけでなく地域の皆さんにも楽しんでもらっている商品」とPRしている。

 食堂で扱うのは、鯖が90㌘入ったボリューム満点の「お茶々」(980円・税別)や、手軽なサイズの「お江」(680円・同)など4種類。ポットの湯を使って客自身に作ってもらい、3分計れる砂時計も置いている。

 約20坪の店内はカウンター席とテーブル席の計13席。清水社長は「どこの観光地に行っても、自分でインスタントを作る店なんてない。長浜の郷土料理をインスタントという亜流の形で楽しんでもらえれば」と話している。

 なお、コーヒーや洋菓子も販売し、清水さんは「地元の人の憩いの場ともしたい」と話している。

 営業時間は午前10時から午後5時まで。不定休。問い合わせは食堂℡(65)1138へ。

2020年12月18日

伝統の技で四天王を再現

米原市の仏師・中川さん親子が製作中

 米原市西山の仏師・中川大幹さん(69)・大煌さん(34)親子が伝統的な技法で巨大な「四天王」像の彫刻に挑んでいる。

 中川さんは23歳の時、京都の大仏師・松久朋琳氏に弟子入りし、独立後は神戸市、海泉寺の十一面観音を皮切りに、京都壬生寺の圓覚十萬上人座像や光覚寺(長浜市榎木町)の阿弥陀如来像、東広島の龍玄精舎の仁王像など150体を製作。息子の大煌さんは美術大学で彫刻を学んだ後、大幹さんに弟子入りした。

 今回、神奈川県平塚市の長楽寺から楼門の建立にあたり、中に収める四天王の製作依頼があった。四天王は「持国天」「増長天」「広目天」「多聞天」の四神からなり、帝釈天の配下で仏教世界を護る。依頼の像はいずれも身の丈6尺(1・8㍍)、台座も含めると3㍍の大きさ。

 製作は図面の作成から始まり、「立体設計図」ともいえる原寸の3分の1の粘土像を作った上、これをベースに木製ひな形(原形)を作る。

 実像はひな形を3倍に拡大。木曽ヒノキの天然木5寸(15㌢)の角材を圧着した「寄せ木」に大胆かつ繊細にノミを入れてゆく。部位の比率、飾りの約束事を忠実に守りながら、血管の1本1本まで再現。仕上げには一切、サンドペーパーを使っていない。ノミの跡が浮かんでおり、艶やかな木肌を醸す。

 中川さんは「私たちは彫刻家でも芸術家でもないから、鎌倉時代の伝統技法を受け継ぎながら、依頼主の意向をくみ、忠実に再現している」と話している。

 現在、多聞天と持国天を彫っており、3年後には4体すべてが完成する予定。製作はグリーンパーク山東内の伊吹の見える美術館。見学可能。問い合わせは中川さん℡(55)2187へ。

2020年12月14日

ブルースティックス滋賀が1部に昇格

ホッケー日本リーグ参入1年目の快挙

 ホッケー日本リーグH2(2部)のブルースティックス滋賀(BS滋賀)は13日、東京都品川区の大井ホッケー競技場で、H1(1部)昇格を決める最終決戦で勝利した。H2参入から、わずか1シーズンでの昇格は日本リーグ初の快挙。

 BS滋賀はこの日まで3勝1敗2分で最終戦の小矢部レッドオックス(富山)に勝つと2位が確定し、自力でH1に昇格することができた。

 最終戦ではBS滋賀が序盤からプレッシャーをかけていたが、相手チームに先取点を奪われた。中盤に追いつき、第4クオーターにはスピードある攻撃で相手陣に攻め込み、逆転ゴールを決め、2対1で勝利を収めた。

 山堀貴彦監督は「目標としていた新規参入でH1昇格を果たすことができたのはサポート企業やファンの力と感謝している。来シーズンは更なる高みを目指すべくチーム一丸となって精進したい」と述べ、福居陸希主将は「コロナ禍の1年で昇格を決めることが出来て良かった。来年は今年以上にレベルの高い戦いになるので、いい準備をチーム全体でし、臨みたい」と語っていた。

 なお、来シーズン、H1はH2から昇格した山梨学院(1位)、BS滋賀(2位)が加わり、8チームとなる。

2020年12月8日

放置自転車を無料撤去

元競輪選手の会社がエコ、社会貢献

 米原市梅ケ原のリサイクル業「紙eco」はグループ会社3社と、社会問題となっている放置自転車の無料撤去を開始。環境美化と資源の有効活用に一役買っている。

 同社は2011年、元競輪選手の土田仁志さん(40)が立ち上げた。古紙回収を専門にしていたが、2年前から海外需要が減少、主要輸出先の中国の受け入れ制限も始まり、苦境に立たされた。この状況はリサイクル関連の企業も同じだった。

 ちょうど、その頃、公共施設や集合住宅に放置されたままの自転車が社会問題となっていた。国土交通省によると、2018年、全国の主な自治体の駅などで放置されていた自転車は6万台以上。撤去、保管に関する費用は税金で賄われ、年間150億円以上とされ、アパートやマンション、商業施設の放置自転車はその数十倍に膨れ上がっていた。その主な理由は廃棄処分料の高騰とみられる。

 また、新型コロナウイルスにより、公共交通を避けた通勤や在宅ワーク、体力の維持や健康増進のため、自転車を利用する人が増加。また、安価で購入できることもあり、パンクなど簡単な修理で乗れる自転車を安易に乗り捨てる人が増えている。

 同社はこの問題を解消しようと、県内のスクラップ業、リサイクルショップ、貿易輸出業の会社と総合サービス業「放置自転車撤去ドットコム」を発足。本格始動して間もないが、集合住宅のオーナーや管理会社からの問い合わせが絶えない状況となっている。

 回収できる自転車は持ち主が所有権を放棄し、盗難品でないこと。同社は県全域をエリアとしており、古紙回収の「道すがら」行っているため、少数の場合は要相談。集めた自転車は再販、シェアサイクル、輸出、部品取り、鉄くずとしてリサイクル・リユースし、資源の有効活用に貢献している。土田さんは「元競輪選手として、またリサイクル業者として不要な自転車をいろんな形で使える事になる事は嬉しい。これからも自転車と関わって、『売り手よし、買い手よし、世間よし、地球環境によし』という、みんなに良いことをこれからもやっていきたい」と話している。

 問い合わせは放置自転車撤去ドットコム℡0749(47)3187へ。

2020年12月3日

さざなみタウン1周年

市民活動の拠点 月間3万人超が利用

 図書館やまちづくりセンター、市民協働センター、商工会議所などの機能を持つ産業文化交流拠点施設「さざなみタウン」(高田町)が12月で開設1周年を迎えた。新型コロナウイルスの影響で臨時休館するなど逆風にさらされてのスタートとなったが、最近は当初目標としていた月間3万人の入館者を達成し、市民活動の拠点としての存在感を示している。

 さざなみタウンは旧市役所跡地9187平方㍍に約30億7000万円をかけて整備され、昨年12月1日にオープンした。

 月平均3万人、年間36万人の利用を目指し、開館当初の昨年12月と今年1、2月は3万人を超える入館者があったが、新型コロナの感染拡大に伴う施設の利用制限やイベントの中止、約1カ月の臨時休館により4月は約9000人に落ち込んだ。

 市民の間で「3密」回避やマスク着用、手指消毒などの対策が浸透し、サークルなども徐々に活動を再開したことで人出が戻り、10月には3万人を超える入館者があった。図書館の利用者が多く、学生には学習室が人気となっている。

 なお、昨年12月から今年10月までの施設利用者の内訳は、図書館の貸出人数7万7430人、貸出冊数34万8987冊、まちづくりセンター3万3275人、学習室1万4522人、地域福祉センター9365人となっている。

5日から記念祭 催し多彩に

 開設1周年を迎えたさざなみタウンで5日から26日まで1周年記念祭が催される。施設を利用する50団体以上が参加し、新型コロナ対策を施しながら元気を発信する多彩な催しを企画している。

 記念祭は5日午後1時半から、「リーファ」のボーカル・北川陽大さんの歌とトークで開幕する。期間中は長浜まちづくりセンターで活動するサークルやボランティア団体によるステージ発表(6、12、13、20日)をはじめ、商店街の庭園や市街地の史跡を巡る「まちなかツアー」(5、19日)、故障したおもちゃを修理する「おもちゃ病院」(12日)、市民が講師となる「ながはまコミュニティカレッジ」(12日)などがある。

 なお、館内では1周年を祝うリースを飾り、記念イベントを紹介したパンフレットを配布。担当者は「コロナ禍の中でも対策を行いながら、いきいきと活動している団体がある。イベントを通じてその元気に触れてもらえれば」と話している。イベントの詳細はさざなみタウンのホームページ(http://www.sazanami-town.com/wp/)から確認できる。