2021年12月23日

「湖のスコーレ」市街地にオープン

醸造室、喫茶室、図書印刷室など多彩な機能

 長浜曳山博物館の西側エリアで行われた「元浜町13番街区市街地再開発事業」の核となる商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」が23日、オープンした。

 施設は約1284平方㍍で、再開発事業で整備された施設のうち1階と2階の一部からなる。醸造室、チーズ製造室、喫茶室、発酵スタンド、ストア、図書印刷室、ギャラリーなどがある。「スコーレ」はギリシャ語で「学校」を意味し、「つくる人も、買う人も、売る人も、それぞれの中に小さな学びのきっかけが生まれる場所でありたい」との思いを込めている。

 醸造室には彦根市の「ハッピー太郎醸造所」(池島幸太郎代表)が入居。今後、湖のスコーレに拠点を移して味噌や甘酒などの発酵食品を製造、販売する。また、来年早々には酒造免許を取得してどぶろく醸造も始める。

 発酵食品や県内の食材を取り入れた飲食を提供する喫茶室では酒粕と熟成味噌が香る「伊吹山発酵カレー」、甘酒のような風味とチーズのコクが楽しめる「米麹チーズケーキ」などを楽しめる。

 ストアは奈良市の人気カフェ「くるみの木」を経営する石村由起子さんがプロデュースし、全国から集めた家具や生活道具、雑貨などを並べている。

 図書印刷室には約3000冊の新刊と古書が並ぶ図書コーナーと、ライスインクを使ったリソグラフ印刷機を設置した印刷コーナーからなり、今後、印刷ワークショップなどを開催する。

 ギャラリーは図書印刷室の上階にあり、甲賀市の障害者福祉施設「やまなみ工房」の平面作品を展示、販売している。

 再開発事業は旧商業施設「パウビル」の解体と合わせ一帯6150平方㍍を再開発したもの。建物は2020年3月に完成していたが、コロナ禍の影響で事業計画の具現化が遅れた経緯もあり、22日の内覧会では、施設を運営する「湖北ライフスタイル研究所」の月ケ瀬義雄社長が「ようやくオープンにこぎつけ、感無量」と語った。月ケ瀬社長はかつて黒壁の保存と活用、旧市街地の再生に取り組んだ実績があり「久しぶりにまちづくりに挑戦する」「黒壁、えきまちテラス、湖のスコーレが三位一体となって、新しい長浜を活性化したい」と話していた。また、施設開設に奔走してきた長浜商店街連盟会長で副社長の沢田昌宏氏は「このレベル高い商業施設をうまく生かし、何回もお越しいだける施設に育て上げたい」と語った

 営業は午前11時から午後6時まで、火・水曜定休(28日〜1月5日休業)。

2021年12月15日

琵琶湖畔をアウトドアの聖地に

長浜市が市街地活性化の新ビジョン

 琵琶湖畔がアウトドアの聖地となり、子ども向けのサマースクールが人気を集める。市街地では空き家を改修した暮らしがブームとなり、起業やリモートワークの活気にあふれ、長浜曳山まつり子ども歌舞伎のオペラ座公演を機に、パリからの移住も増えている—。こんな夢を描いた新しいまちづくりの方針「湖の辺(うみのべ)のまち長浜未来ビジョン」の原案を長浜市が策定し、ホームページで公開している。

 ビジョンは中心市街地活性化基本計画(2009年〜19年)の計画期間が満了したことを受け、計画に伴って整備された施設を活用したソフト事業を中心とする新たなまちづくりの方針を、夢を交えて示したもの。

 中心市街地が人口減少や空き家の増加で活力を失いつつある中、進化するデジタル技術と、多様化する働き方などの社会変化を取り入れて、豊かな自然と文化を生かして持続発展的なまちを目指す。

 これまで黒壁や商店街に集中しがちだったまちづくりの意識を、琵琶湖を含めたエリアへとゆるやかに広げているのが特徴で、長浜港を「びわ湖レジャーの玄関口」、豊公園を「関西アウトドアフリークの聖地」とする夢を描き、豊公園に面する琵琶湖では「日本中の子供たちに大人気のびわ湖サマースクール」の開講をかかげる。

 市街地では「譲り受けた空き家を自分で直す暮らし方が大ブーム」とし、「湖魚のレシピや発酵文化がどんどんアップデートされる人気のレストラン」が誕生。市街地に点在する宿泊施設やレストランなどを結んで町をひとつのホテルに見立てる「アルベルゴ・ディフーゾ」(イタリア語で「分散したホテル」という意味)の聖地として長浜が注目される。—そんな夢の数々を並べている。

 長浜未来ビジョンの原案は14日から市のホームページで公開し、1月12日まで市民からの意見を受け付けている。問い合わせは市商工振興課℡(65)8766へ。

2021年12月13日

伊吹高野球部、21世紀枠候補

甲子園・春のセンバツ大会  近畿代表に

 来春の第94回選抜高校野球大会の「21世紀枠」で、候補校9校が10日発表され、伊吹高が近畿地区の候補校に選ばれた。 

 野球部は1996年の創部で、春夏ともに甲子園出場はない。部員数は29人(マネージャー3人)。冬場、雪深くなると、長靴を履いてサッカーやラグビーボールをし、下半身を鍛錬。雨天練習場がなく、校舎内で地道なトレーニングを続けてきた。

 公立高のため、県外からの野球留学者はおらず、中学硬式クラブ出身者はわずか2人。ほとんどが軟式野球経験者。今秋の県大会は1〜3回戦をいずれも2ケタ得点でコールド勝ちしベスト8に進出。準々決勝では近江にサヨナラ負けしたが、投手を中心とした守りと強打が印象に残る戦いぶりをみせた。

 中川蒼河主将(2年)は「知らせを聞いたときは嬉しかった。近畿代表として生活の面でも責任感を持ちたい。みんなには『甲子園でやるんだ。甲子園のために頑張ろう』と呼びかけた」と喜びを語った。

 野村勇雄監督(50)は「まず、これまで死に物狂いで頑張っていた教え子たちの姿が瞼に浮かんできた」と述べ、「地域に愛される野球部を目指し、あいさつやボランティアにも積極的に取り組んできた」「小中学生の野球人口が減っており、湖北の高校も甲子園から長らく遠ざかっている。野球で結果を出し、地域に喜んでもらえたら。子どもたちに夢を与える野球をしたい」と抱負を語った。

 各地区の代表は▽札幌国際情報(北海道)▽只見(福島)▽県太田(群馬)▽相可(三重)▽丹生(福井)▽伊吹▽倉吉総合産(鳥取)▽高松一(香川)▽大分舞鶴(大分)。センバツ出場校は来年1月28日に開かれる選考委員会で決まり、21世紀枠の3校は東日本(東海、北信越以東)と西日本(近畿以西)から各1校を選出し、残る1校は地域を限定せずに選ぶ。

2021年12月8日

ぜいたくな時間をまったり

ウッディパル余呉に「ヴィラ」オープン

 「ちょっと贅沢に、時の流れをゆっくり楽しんで」—ウッディパル余呉に10日、高級宿泊施設「ヴィラ・エリア」がオープンする。

 手ぶらでキャンプが楽しめるグランピングなど、近年の高級アウトドア志向に応える形で、新設。既存のコテージエリアから奥まった約800平方㍍の小高い丘に木造2階建て延べ93平方㍍の2棟を設置した。

 宮大工が建てたヴィラは壁紙などを使用せず、壁や床は天然木。木の香りや肌ざわりを通して、森を感じることができる。また、天井まで吹き抜けとなっており、開放感あふれる空間に仕上がっている。

 ヴィラには2種類の風呂を用意。内風呂は入浴効果や洗浄効果、リラックス感が味わえる「マイクロバブルバス」。露店風呂には香り豊かな木曽ヒノキを使用し、24時間、いつでもお湯に浸ることができる。

 アメニティ(備品)関連では信楽焼の行燈や竹製スツールなど県産の名品。寝具は市内の老舗店が仕立てた高級羽毛布団を採用している。また、倒木や古材を活用した家具でリサイクルを意識。麦由来のバイオマスプラスチック製の歯ブラシなど、環境にやさしい品を用意している。

 リビングにはハンモックチェア。ウッドデッキではバーベキューを楽しめるほか、1棟ごとにたき火スペースを設け、バードウォッチング、星空観察など自然を満喫できる。

 宿泊料は1棟、8人で利用した場合、1人1泊2食(近江牛のすき焼き)付き1万6800円(利用人数、曜日、季節、食事内容で変わる)。問い合わせはウッディパル余呉℡(86)4145へ。

2021年12月8日

どうなる?お産 ㉖-㉗

㉖地域医療[7] 長浜日赤・中島正敬産婦人科部長に聞く2 産む場所、あるかの瀬戸際

 近隣施設の分娩休止が相次ぐ、長浜赤十字病院。医師たちは大丈夫なのか。

 全国的な出生数の減少傾向にコロナ禍が拍車をかけているが、長浜日赤での分娩は逆に増え続けている。

 増加は2016年(459件)から続き、昨年590件。21年もすでに492件(9月末現在)。年内の予約は141件あり、これに里帰り出産や近隣産科からの紹介が加わるので、実際はさらに増えるという。

 長浜日赤の常勤医は7人。経験を積んだ指導医3人と、臨床実習中の専攻医4人だ。当直は専攻医が月6、7回。指導医は病院が借り上げた近くの部屋で待機する「宅直」を月8〜12回こなす。手術には必ず指導医が付き添う。

 今年8月、状況の逼迫を受け、京大医局が指導医を1人増員してくれた。産婦人科の中島正敬部長は「どこも医師不足。医局には心から感謝している」と話す。

 だが、仕事量が増えたので「楽になったという実感はない」という。24年には医師の働き方改革が本格化するが、「今でも1人欠けただけで立ち行かなくなる。到底、対応できない」と嘆く。

 こんな状態で、出産ケアの質は保たれるのか。心配する私に、中島医師は言った。

 「それ以前に産む場所があるか無いかの瀬戸際だ」

 つまり、妊産婦が地域で受診できない事態に、すでに陥っているということ?

 「大変心苦しいが、予約が取りにくい状況は既にある。周産期母子医療センターとして、日赤はハイリスク妊産婦を受け入れる使命がある。低リスクの方は、他の医療機関を案内することもある」という。

 そういえば長浜市内の友人が今夏、妊娠の確定診断のため長浜日赤に電話したら、「予約に3、4週間かかる」と言われたという。

 子宮外妊娠など異常妊娠の場合、早急な対応が必要だ。友人は、市内の診療所で確定診断を受け、「すぐに相談できない病院は心配だから」と、健診も同じ診療所に通うことにした。

 ただ、そこは2年前に分娩をやめている。時期が迫れば転院となる。「本当はずっと同じ医師に診てもらい」と漏らしていた。

 危機感を強める中島医師に対し、長浜市長は「周産期医療を全力で支える」と約束してくれたという。その言葉通り、過労で倒れる医師が出ぬよう、路頭に迷う妊産婦が出ぬよう、市はしっかり支えてほしい。

 でも、ギリギリの綱渡りでは困る。ケアする側にもされる側にも理想的な周産期の環境について、みんなで話し合う機会が必要だ。

(11月17日掲載)

 

㉖地域医療[8]神野レディスクリニック・神野医師に聞く1

 湖東湖北圏域の約3分の1の分娩を扱う医療法人青葉会の「神野レディスクリニック」と「同アリス」(いずれも彦根市)。

 市立長浜病院が分娩中止を発表した直後には、長浜病院で分娩予定だった妊婦を多く受け入れた。

 受け入れ限界が迫る長浜赤十字病院(長浜日赤)からも、低リスクと判断された妊婦を受け入れている。

 地域医療の要と言える同法人の前理事長・神野佳樹医師に話を聞いた。

 まず最も不安なこと。

 今後、妊婦が分娩施設を見つけられない、という事態はおきませんか—

 「コロナ禍もあり、出生が減っています。この状況から言えば、お産難民が本当に出るということはないでしょう」

 同法人の取り扱い可能数は、計1200。圏域最多を掲げるが、実際の分娩数は年間900〜1000で、まだ余裕はあるという。それを聞いて少し安心した。

 実は彦根市では、既に本当の危機に直面したことがあったという。

 2003年に彦根中央病院、05年に友仁山崎病院、07年には彦根市民病院が分娩の取り扱いを相次いで中止し、市内に神野レディスクリニックだけになった。

 神野医師は「市内の妊婦を路頭に迷わせないという気持ちでアリスを建てた」。当時の決断が、今は長浜や米原の妊婦まで支えている。感謝しきれない。

 24年に迫る医師の働き方改革の影響も尋ねた。

 「国主導の医療崩壊です」。神野医師は語気を強めた。

 このまま実施されれば、病院で働く医師は労働時間が制限され、開業医が募集する非常勤アルバイトに従事できなくなるという。

 現在、県内の有床診療所の院長の半数以上が60代以上。外来、夜間・休日当直を非常勤医師に頼っている。もし病院からの手伝いがなくなれば、多くの診療所が行き詰まるという。

 神野レディスクリニック・アリスも、常勤医3人の平均年齢は63歳。大学などから来る非常勤4人が外来に入る。

 夜間休日の当直は2診療所とも院長が週3、4回、その他は4、5人の非常勤に頼っている。

 「非常勤が来ないと、施設が地域の要だとしても、閉院に追い込まれる。うちも例外ではありません」

 県内で5番目に人口の多い彦根市で、出産施設が一つも無くなったら?

 年間900人の妊婦を受け入れる診療所を、私は守りたい。

(12月7日掲載)

堀江昌史

2021年12月6日

朗読大好きコンクール本選へ初出場

幼馴染2人「楽しさ伝えたい」

 読み聞かせや朗読に親しむ長浜市内の女性2人が11日に大阪府阪南市で開かれる第10回朗読大好きコンクール・ツイン部門(日本朗読協会主催)の本選に出場する。コンクール初挑戦でベテラン揃いの本選に出場することになった2人は「本選に出られるだけで幸せ。楽しく朗読し、その楽しさを聞き手に伝えたい」と語っている。

 コンクールに出場するのは新庄寺町の橋本悦子さん(73)と分木町の空文代さん(74)。2人は幼稚園から高校まで一緒の校園で過ごした幼馴染。6年程前、読み聞かせサークル「ジーバーぽこぽこ」に加入し、小学校や保育園で読み聞かせボランティアに取り組んでいる。また、サークル「朗読ことのは」を主宰する藤田紀子さん(56)の指導で、朗読にも親しんでいる。

 コンクールは藤田さんの勧めで初挑戦し、約80人・組が応募した録音審査の予選を突破し本選への出場権を獲得した。2人で交互に朗読するツイン部門の本選には東京や北海道など全国から9組が出場し、朗読教室の講師や他のコンクールでの入賞者などベテラン揃いとなっている。

 コンクールで発表する課題作品は新見南吉の童話「一年生たちとひよめ」(ひよめ=カイツブリ)で、児童が池のカイツブリに嘘をついてからかい、先生から「うそをついてはなりません」と諭される物語。

 2人は童話のイメージの参考にするため三島池に赴き、水鳥の前で朗読するなど、本選に向けて練習を重ねている。「童話の池がどれくらいの大きさか分からないが、三島池はイメージにぴったり」と語り、「本選ではアクセント、間の取り方に気を付けながら、にこやかに楽しそうに朗読したい」と話している。

2021年11月29日

城下町遺産 みんなで選んで!

今年10カ所選定 市民投票呼びかけ

 長浜市街地に残る歴史的風景などを「長浜城下町遺産」として選定する取り組みが始まった。長浜城下町まちづくり勉強会(渡辺浩之会長)が企画したもので、さざなみタウンで遺産候補のパネル展を開いて、市民の投票を呼びかけている。

 勉強会は近世城下町ふるさとまつりで「城下町トークライブ」や「城下町サミット」を開催している運営委員会交流会部会のメンバーが城下町についてより知見を深めようと2018年に結成し、会員10人が長浜城の築城以来450年の町の歴史について調査。その成果として長浜城下町の「日本遺産」認定を目指してきた。日本遺産認定が叶わなかったことから、市民自らが町の遺産を選定して保存活用を進めようと、「長浜城下町遺産」を新設した。

 毎年10カ所、5年間で計50カ所程度の選定を目指し、市内外に情報発信することで新しいまちづくりに生かしたい考え。初選定となる今年は▽秀吉遺産▽町屋遺産▽景観遺産▽産業・近代化遺産の4つのジャンルから候補25件をノミネートし、市民に投票を呼びかけている。最終的には市民の投票結果を参考に、勉強会、市、長浜観光協会、長浜地区地域づくり連合会、黒壁などで組織する選定委員会で10件を選び出す。

 27日からはさざなみタウンで候補25件のパネル展が始まり、写真とその歴史を紹介している。「長浜タワー」「長濱浪漫ビールと米川」など広く知られている観光スポットから、「慶雲館の力士像」「下郷共済会のガス灯」「朱印地境界石柱」「浄国寺の竜宮門」などややマニアックな場所まで幅広い。投票は展示会場に掲示のボードにシールを貼るか、城下町遺産のホームページ(https://nagahama.net/jyoukamachi/)にアクセスして投じる。展示は来月9日まで。ホームページでの投票は選定委員会の開催日(12月13日)の前日まで受け付ける。なお、12月7日に候補25カ所を巡る街歩きを催す。午後1時半にさざなみタウンに集合。申し込み不要。問い合わせは市歴史遺産課℡(65)6510へ。

2021年11月25日

伝統の「こだかみ茶」復活へ

長浜農高、無農薬「玄米茶」開発に挑戦

 木之本町古橋の名産「こだかみ茶」の復活を目指し、長浜農業高校の生徒たちが自家栽培の有機米を使った「ほうじ玄米茶」の開発をしている。

 こだかみ茶は国内流通量がわずか3%しかない在来種の一種。ほんのりとした香りとすっきりしたのどごしが楽しめる。無農薬・有機栽培にも取り組んでいるため、「昔ながらの味がする」と好評で、長浜市の第3セクター会社「ふるさと夢公社きのもと」は2016年11月、市民ボランティアの力を借り、茶所として有名だった己高山(こだかみやま)の一帯で亀山茶畑を再生。3年前から「こだかみ茶」を販売している。

 同校食糧生産分野の生徒たちは研究課題の一環として、伝統茶葉こだかみ茶の復活と普及に向けた活動を今年度から実施。校内では農薬・科学肥料を使わない「環境こだわり米」を栽培しており、この米をブレンドした玄米茶の開発を目指している。

 2、3年の生徒たちは現在、亀山茶畑の除草や茶木の剪定などに取り組んでおり、今後、玄米の煎り方や茶葉との配合具合を試しながら、来年3月までの完成、販売を目指している。

 担当の小森恒夫教諭は「茶、米とも無農薬栽培なのが特徴。シンプルな味に仕上げたい」と話している。

2021年11月24日

車いすバドでアジア大会へ

長浜北星高・河瀬さん「メダル目指す」

 長浜北星高校2年の河瀬優花さん(17)が車いすバドミントンの日本代表選出として12月2日から中東バーレーンで開かれるアジアユースパラに出場する。

 河瀬さんは両足に先天性の障害を抱える。母親のすすめで5歳ごろから水泳を始め、中学時代には水泳競技で全国大会にも出場。中学3年のとき、一時、打ち込んでいた車いすバドミントンを再開し、長浜北星高でもバドミントン部に所属して健常者と一緒にプレー。また、月1〜2回、草津市内で車いすバドミントンの練習に参加している。

 東京パラリンピックから正式競技に採用されたバドミントン。障害の重さによって6クラスに分類され、河瀬さんは車いすの「WH2クラス」が舞台となる。昨年12月に草津市内で開かれた日本選手権では同クラスで3位に入賞。今年4月には一般社団法人日本障がい者バドミントン連盟のアカデミー選手に選出され、将来有望な選手としてアジアユースパラの日本代表に選ばれた。

 アジアユースパラはアジアの23歳以下を対象に、バドミントンや卓球、陸上など9競技が行われ、各国を代表する800人が参加する見込み。河瀬さんはシングルスと男女混合のミックスダブルスの2種目に出場することが確定し、女子ダブルスにも出場する可能性があるという。「できるだけ緊張せずにプレーし、メダルを目指す」と抱負を語っている。

 また、今夏の東京パラリンピックの車いすバドミントンで金メダルを獲得した梶原大暉選手を目標とし、「自分も同じプレーができるようになり、パラリンピックでメダルを取りたい」と夢を膨らませている。

2021年11月22日

目指せロス五輪 フラッグフットボール体験会に25人

来年1月クラブチーム発足へ

 アメリカンフットボールを手軽にしたニュースポーツ「フラッグフットボール」の体験会が20日、長浜西中体育館で開かれ、小学生25人が親しんだ。主催の長浜フラッグフットボール協会は来年1月にも小学生のクラブチームを立ち上げ、長浜でのアメフト文化の再興を目指す。

 フラッグフットは5対5で行い、アメフトと同様に攻撃側と守備側に入れ替わり、パスを回して相手陣地のゴールゾーンまでボールを運ぶ競技。腰につけた布(フラッグ)を奪うとタックル成功とみなして相手の攻撃を阻止できる。どのような戦略で相手陣営を攻めるのかが試合運びを決める。判断力、コミュニケーション能力、体力を育むことができるとして、文科省の学習指導要領にも盛り込まれている。

 この日の体験会では子どもたちがパスやキャッチの練習で楕円形ボールに親しんだ後、試合形式で攻撃と守備に挑戦した。攻撃役は「すぐ振り向いてパス作戦」「すぐ中に入ってパス作戦」など、事前に戦略を話し合って5人それぞれが役割を確認。相手選手の背後に回り込んでパスを受けたり、守備をかわしながらボールを持って走ったりと、戦略性のあるゲームに汗を流していた。長浜小5年の太田聖丈君(10)は「初めてやったけど、走ったり、ボールをキャッチしたりするのが楽しい」と話していた。

 同協会は30〜40代のアメフト経験者7人で今年7月に結成。日本のアメフト発祥の地でありながら競技人口が減少しつつある長浜で再びアメフト文化の興隆を目指すとともに、子どもたちがスポーツを楽しめる環境づくりなどを目標にしている。会長の伊藤和真さん(42)は「2028年のロサンゼルス五輪ではフラッグフットが正式競技になる。アメフト発祥の地の長浜から五輪選手を送り出したい」と語り、クラブチーム発足後はアメリカへの遠征なども夢見ている。

 同協会に関する情報はホームページ(https://www.nagahama-flag.com/)で確認できる。

2021年11月18日

遊休施設で賑わいを創出

余呉まちづくり研究会  日向ぼっこプロジェクト始動

 地域を愛する人たちが集まった「余呉まちづくり研究会」は、賑わいを創出する「日向(ひなた)ぼっこプロジェクト」を展開。市の遊休施設を活用した拠点づくりを始めた。

 研究会は余呉を住みやすいまちにするため、2018年、余呉地域づくり協議会の下部組織として発足。地域への愛着と情熱を持つ人たちが中心となり活動している。

 目標実現に向け▽ふるさと絵屏風▽森林活用▽歴史遺産の保存活用など7つのプロジェクトを掲げており、うち「日向ぼっこプロジェクト」は余呉支所近くの遊休施設「生きがい農園(旧緑化センター)」の有効活用を模索している。

 同センターは旧余呉町時代の1998年に完成。敷地面積2567平方㍍の中にドーム状のガラス温室や作業所、栽培場などがあり、温室で栽培された草花は町民に配布され、作業所ではジェラートの販売、栽培場ではお年寄りの生きがいづくりとして、農作物が作られていた。

 利用者の高齢化や事業者の撤退などがあり、市町合併後、施設は市に移管されたものの、手入れが十分、行き届いておらず、市から協議会へ無償貸与されるまでの6年間はほぼ放置されたままだった。研究会ではこの遊休施設を住民や外部の人との交流ができる場所に活用しようと、現在、10人のメンバーが施設内外の整備・清掃をしている。

 28日午前11時半からは「余呉楽(よごたの)」と題して、施設のあり方を考えるイベントを企画。市民からアイデア、意見を募る寄せ書きコーナーのほか、珈琲焙煎体験、軽トラマルシェ、焼き鯖寿司、野菜、スイーツの販売などを予定している。

 代表の大澤剛人さんは「将来的には地域の情報を集めて発信できる町内外の人たちのコミュケーションの場にしたい」と話している。問い合わせは余呉地域づくり協議会℡(86)8126へ。

2021年11月16日

尾上菜を守り、特産品へ

産官学共同プロジェクト成果報告会

 産官学による長浜の伝統野菜「尾上菜」のブランド化プロジェクトの成果発表会が13日、小谷城スマートインターチェンジ栽培実験農場であり、研究を進めていた関係者が地元住民らに新品種の開発経過や栽培、利用法などを報告した。

 尾上菜は湖北町尾上で伝統的に栽培されてきたアブラナ科の野菜。漬物などで食されてきたが、他の植物と交配し、雑種化が進み、市場には出荷されていない。

 プロジェクトは長浜市、長浜バイオインキュベーションセンターら5者が連携し、交雑化していた尾上菜の系統を統一(F1ハイブリッド品種)し、種の安定供給と栽培技術を確立。レシピを提案することで市の特産品化を目標としている。

 この日の発表会ではバイオ大の蔡晃植学長(植物生理学)らが研究過程を説明した。バイオ大では採取した尾上菜の全DNAを解析した上、タイプの異なる6系統に分類。6年間かけ、後世に残すため、原種に近い種を確保した上、えぐみや葉に毛がない新種を開発。「おいしいから、しっかり供給すれば長浜の特産になる」と語った。

 バイオ大から供給された種を栽培していた長浜農高農業科の生徒たちは注意点として害虫対策をあげ、「長浜の代表的な伝統野菜になってほしい」と述べ、県調理短大の三上保彦校長は餃子の具材などに適していると説明。「尾上菜の歴史を加えることにより、さらに価値が高まる」と述べた。

 説明を受けた尾上の山本亨平さんは「安定的に供給されれば、幅広く応用でき、素晴らしいブランドになる」と話していた。

2021年11月12日

蔵を改修しアロマサロン

小谷丁野町に「マロウ」オープン

 小谷丁野町に蔵を改修したアロマサロン「Mallow(マロウ)」がオープン。落ち着いた雰囲気で癒される、と評判を呼んでいる。

 オーナーの木地美由(みゆき)さん(45)は以前、大津の薬膳料理店の店長やフェイシャルセラピストをしていたが、経験を生かして健康に関することに携わりたいと、4年前、アロマセラピスト、サロン開設資格を取得。小さなアパートの1室を借りて、営業していた。

 ところが、新型コロナウイルスが流行。利用者のほとんどが外出制限されていた介護士や看護師だったため、「3密」を避けられる新天地を求めた。昨年、「ながはま・こほく創業塾」の同期生、橋本慶昭さん(よし工務店)の紹介で、空き家の敷地内にある蔵を借りることに。

 目前に田園が広がる蔵は明治13年に建てられた約7坪。長年、使われていなかったため、床が抜け、薄暗かった。しかし、木地さんは一目見て「自分のやっていく場所」「やれる」「やってみたい」という意欲にあふれた。

 橋本さんのアイデアで随所に古材や古い建具を再利用。カウンセリングルームと施術室は無垢材や天窓の採用により、「非日常的な空間」に生まれ変わった。

 「自律神経を整えるアロマは若い人のためだけでなく、認知症や生活習慣病の予防にもなる」と話す木地さん。地域素材や人材を生かし、「長浜からアロマを発信したい」と意気込んでいる。主なメニューはアロマトリートメントフェイシャル(60分)5300円、よもぎハーブ蒸し(40分)3300円など。営業は午前9時半から午後8時。不定休。問い合わせはhttps://mallow-aroma.com/。