2022年2月10日

昆虫食が食料危機を救う!?

長浜バイオ大学 コオロギ食用化を共同研究

 「地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料システムの開発」—。長浜バイオ大学が壮大なテーマを掲げる内閣府主導のプロジェクトに参加し、将来の食料難を救う切り札として注目を集める「昆虫食」の具現化に向けて研究開発に取り組んでいる。

 世界の人口は現在の78億人から2050年には98億人へと増加し、食料生産が追い付かない状態になるとされ、国際連合食糧農業機関は2013年、その解決策として昆虫の活用を提案。これを受け、世界規模で昆虫食の研究が進んでいる。

 内閣府主導のプロジェクトには長浜バイオ大を含め10の大学と研究機関が参加。長浜バイオ大ではアニマルバイオサイエンス学科の小倉淳教授を先頭に、教員、学生が研究に取り組んでいる。

 食料危機の切り札がなぜ昆虫食なのか。小倉教授は「昆虫は温室効果ガスの排出量が極めて少ない利点がある。さらには牧場のように広大な飼育スペースを必要とせず、栄養価の面でも優秀。例えば、鶏のササミのタンパク質が重量当たり約25%だとすれば、コオロギは約80%。持続可能な次世代のタンパク質源として非常に有望」(大学広報誌めいこう46号)と説明している。つまり、昆虫食の研究は遠くない将来、人口増加でタンパク質の供給が追い付かなくなる「タンパク質クライシス」への備えというわけだ。

 長浜バイオ大では昆虫の食料化・飼料化に取り組み、「昆虫ゲノム育種」「昆虫由来水産飼料開発」「コオロギ由来食料開発」「社会実装」の4つの視点で研究を進める。先行する欧州ではヨーロッパイエコオロギの食用化が進んでいるが、比較的湿度が高い日本では生育に課題があることから、日本全国でコオロギを採取して飼育し、最新のゲノム解析技術を用いて、日本独自の低コストで生産性の高い品種を目指している。

「食材の優秀さ、知って」澤田さん  飼育環境など模索

 このうち、「昆虫ゲノム育種」と「社会実装」を担当する学生の一人が、メディカルバイオサイエンス学科3年生の澤田祐衣さん(21)。子どものころから昆虫が大好きで、特に蛾に魅力を感じ、自宅では蚕を飼育している。

 藻類の分泌する糖類が水中のマイクロプラスチックを絡めとって除去する研究を行っていたところ、昆虫好きを知っていた小倉教授から勧誘され、プロジェクトに参加。全国のコオロギの採取、飼育、観察を担当している。湿度や温度に注意しながら最も適した飼育環境を模索している。観察を重ねるうち体長5㍉程の小型のコオロギが、カビの生えた餌を食すなど劣悪な環境でも生存できることに気づいた。

 また、昆虫食を広める「社会実装」では、どのように情報発信すれば、昆虫食への理解を深められるのかを研究している。これまでの調査で、男性に比べ女性の方が昆虫食への関心が高く、「栄養価の高さや環境問題への意識の高さが背景にあるのかもしれない」と語る。コオロギを粉末状にした「コオロギパウダー」は高タンパクで、筋トレやダイエットに励む女性はあまり嫌悪感を抱かずにプロテインとして注目しているという。

 個人的にも昆虫食への探求心が強い。コオロギパウダーを使った料理を食したり、「タガメ酒」を自作したり、自宅で飼育する蚕をボイルして試食したりと、好奇心は尽きない。

 「昆虫のことを何も知らないままで嫌いになるのではなく、食材として優秀なことを知って欲しい」と澤田さん。今は昆虫食にエンターテイメント性を求める人が多いが、「スーパーに昆虫食が並ぶ将来になれば」と、昆虫食が食卓を飾る未来を夢見ている。

2022年2月10日

伊吹山ふもとに「宇宙図書艦」

数学や宇宙など2000冊  5月開設へ

 伊吹山のふもと、米原市春照に今年5月、さまざまな分野の本を並べる私設図書館「宇宙図書艦 Hull_Terrace」を、東近江市内でリラクゼーションサロンを経営する安川美佐子さん(50)がオープンさせる。現在、クラウドファンディングで改装費の支援を募っている。

 安川さんは数学塾を経営していた父親の岡本礼二さん(故人)の影響で、数学や宇宙など約5000冊の本に囲まれた生活を送ってきた。このまま眠らせておくのはもったいないと、7年前から「宇宙図書艦プロジェクト」と題した私設図書館の整備を計画。適した場所を探していたところ、リラクゼーションサロンの利用客が所有する農業倉庫の紹介を受けた。

 農業倉庫は2階建てで、釣り天井や床板の設置、断熱施工などの改装を行い、5月15日にオープン予定。父親から譲り受けた数学や宇宙などの専門書をはじめ、小説、実用書、漫画など計約2000冊を並べる。このほか、ギャラリーやマルシェ、ライブなどに利用できるマルチスペース、ミシンや楽器などを置くシェアルームも整備する。

 図書館名は、春照の訓読み「はるてらす」の音の響きから英語で「Hull」(船体)、「Terrace」(遺構)と表現した。安川さんは「皆さんに宇宙人の気分になってもらえるよう、楽しく作り上げていきたい。多くの人に本を読んでもらえたら、父も嬉しいと思う」と話している。

 改装費を募るクラウドファンディングは3月30日まで「キャンプファイヤー」で実施。目標額300万円。リターン品はオリジナルブレンドアロマ、宇宙図書艦一日貸し切りチケット、フレンチレストランのパーティーなど。詳細はキャンプファイヤー(https://bit.ly/3JC4FlX)へ。

2022年2月4日

琵琶湖パールとイチゴの洋菓子

尾崎さん 期間限定でえきまちテラス長浜に出店

 えきまちテラス長浜1階のチャレンジスペースに2日、琵琶湖パールを使った手作りアクセサリーと、長浜産イチゴの洋菓子を扱う店「TROIS(トロワ)3」が期間限定でオープンした。

 店主の尾崎友美さん(39)=新庄中町=は兵庫栄養調理製菓専門学校の講師や北ビワコホテルグラツィエの製菓長を務めるなどパティシエとして20年のキャリアを持つ。同ホテルのショップで琵琶湖パールのアクセサリーに出会って以来、その魅力の虜となりアクセサリー作りに没頭。昨年、ホテルを退職し、アクセサリーの制作・販売へと舵を切った。

 尾崎さんが使用する琵琶湖パールは形や色が不揃いだが、「1つとして同じものがないのが嬉しい」と語る。チャレンジスペースにはピアスやリング、ブローチなどが並び、黒壁にちなんでガラスを多用した作品も多い。

 洋菓子は長浜産のイチゴ、県産の米粉、薄力粉を使うなど材料にこだわった「苺シフォン」や「苺タルト」などを販売。「苺シフォン」は瓶にイチゴと生クリーム、シフォン生地を詰め、見た目も可愛らしいスイーツに仕上がっている。

 「これまでは作ってばかりでお客さんとしゃべることが少なかったので、対面販売で気付かされることが多い」と尾崎さん。「ここでの経験を生かして、いつかアクセサリーと洋菓子の店を持ちたい」と夢を語っている。

 出店期間は28日まで。営業時間は午前11時から午後5時まで(なくなり次第終了)。火・日曜定休。

2022年2月1日

湖北から2人 世界大会へ

きもの装いコンテスト関西大会入賞

 着物をいかに美しく装えるかを競う「全日本きもの装いコンテスト」の関西大会で、米原市上多良の松田清楓(さやか)さん(17)と、同市米原西の宮川佳奈さん(23)が入賞し、4月に東京で開かれる世界大会に出場することが決まった。

 コンテストは全日本きものコンサルタント協会が毎年開催し、振り袖、留め袖、カジュアルなど6部門で、鏡を見ずにいかに1人で美しく装えるかを競う。着装審査後のスピーチも評価の対象となる。関西大会は1月中旬に奈良市内で開かれ、約70人が出場した。

 カジュアル部門に出場した松田さんは小紋を素早く綺麗に着こなし、女王、準女王に次ぐ1位に輝いた。小学2年生からコンテストに挑戦し、世界大会への出場は今度で4回目となる。ただ、これまで1度も1次審査を通過できておらず「さらに早く、美しく着られるようにけい古を重ね、表彰台を目指したい」と語っている。

 振り袖部門に出場した宮川さんは2位に入賞。出場15人の中で最も早い約7分で装った。スピーチでは子ども向けの着物教室を手伝ったり、米原中学校で浴衣の着付けを教えたりした経験をもとに「次の世代に着物を伝えたい」と話した。世界大会では母親の振り袖で出場し、着物文化の継承をPRしたい考え。

 2人を指導している松田陽子さん(48)=米原市上多良=は「世界大会への出場を決めてくれて、ほっとしている。2人にはこれからも着物に携わってもらい、日本の文化を若い世代に伝えて欲しい」とエールを送っている。

2022年1月21日

どぶろくに挑戦 長浜の米と水で

ハッピー太郎醸造所が免許取得  3月初出荷へ

 元浜町の商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」に入居する発酵食品製造販売「ハッピー太郎醸造所」が18日、「その他の醸造酒」の醸造免許を取得し、どぶろく醸造に挑戦することになった。2月初めに醸造を開始し、3月にも初出荷する見込みで、長浜の米と水を使った新しいどぶろくに期待が寄せられている。

 同醸造所を運営するのは大津市育ちの池島幸太郎さん(43)。京都大学在学中、日本酒に出会い、「蕎麦屋で酒を飲むのが好きだった」と振り返る。卒業後、酒造り職人「杜氏(とうじ)」を目指し、島根県の有機農業法人「やさか共同農場」に入社し、米づくりや味噌加工に従事。冬は「日本海酒造」(同県)で酒づくりの基礎を学んだ。大阪の日本酒専門店で流通について知見を深めた後、滋賀に戻り冨田酒造(木之本町木之本)、岡村本家(豊郷町)に勤務。岡村本家ではオリジナルの日本酒を醸造し、ウィーンにも輸出された。

 2017年に彦根市内に自身の名を冠した「ハッピー太郎醸造所」を開設した。「醗酵でつなぐ、しあわせ」をコンセプトに、「糀(こうじ)屋」として、冬は米麹と味噌、夏は鮒ずし仕込みに励むなど発酵食品を製造販売するとともに、滋賀の発酵文化の発信も行ってきた。

 昨年12月「湖のスコーレ」のオープンにあたって店舗を長浜へ移転。学生以来の夢だった酒造りに向けて準備を進め、18日に念願の免許を取得した。今後、従来の発行食品の製造販売を続けながら、どぶろく醸造に挑戦する。

 免許取得に合わせて醸造用のサーマルタンク2本を導入。タンク1本あたり500mlのどぶろく600本を製造できるという。

 どぶろくは、自然循環型農業に取り組む「シバタグラウンドミュージック」(湖北町小倉)の米と伊吹山の伏流水である地下水を使用する。3月中には出荷できる見込みで、池島さんは「米や水のおいしさが伝わり、長浜の土地が見えてくるような、力強いどぶろくを作りたい」と話している。

 なお、ハッピー太郎醸造所では21日から、どぶろく醸造の初期製造資金100万円をクラウドファンディングで募集。同日正午時点で82人から約94万円の資金が寄せられている。詳細はキャンプファイヤー(https://bit.ly/35jpGmv)へ。

 

 【どぶろく】日本の伝統的な酒のうち、米と米麹と水を原料として発酵させた酒を指す。一般的な日本酒は発酵後にろ過することで酒粕と酒に分離するが、どぶろくはろ過しない。このため、米の甘みと香り、適度な酸味を楽しめ、栄養も豊富。

2022年1月20日

長浜の洪水をリアルに体感

VR型防災教育展 滋賀大で

 滋賀大経済経営研究所(彦根市)は、実際の町並みを撮影したうえで洪水の模様を体感できる「VR型防災教育システム」を開発。「いま ここにいる感覚」と題して、撮影や開発の模様を紹介したパネルや機器を士魂商才館1階で展示している。今月21日と2月4日の正午からはVRの実演体験会がある。

 同研究所は画像解析技術とバーチャルリアリティーを融合させたVR型防災教育システムを研究。2017年8月の台風5号の影響で洪水が発生した長浜市大井町の南大井地区の道路約150㍍を全方位カメラで撮影した画像を用い、平常時と洪水が発生した際を体感できる映像を開発した。

 大井町では、姉川の大井橋付近の堤防から水があふれ、床上浸水1軒、床下浸水15軒の被害が出た。VR上の画面では大井町の実際の町並み画像に「浸水ボタン」「通常時ボタン」が示され、浸水ボタンを押すと、洪水の際のイメージ画面に切り替わる。

 防災教育の現場ではVRを使った仮想世界での訓練が広がっているが、災害に直面しているという感覚が乏しく、ゲーム感覚になってしまうなどの課題がある。同研究所が開発したシステムは実際に町並みを撮影した画像を使っているため、臨場感のあるシチュエーションを体感できるのが特徴となっている。

 監修者でデータサイエンス学部の佐藤智和教授は「リアリティーのある『いまここ感』を感じ取りながら防災教育ができる技術として開発した。この研究で得た知見を生かし、安心安全な社会の実現に貢献したい」と話している。

 展示は平日の午前9時から午後5時、6月30日まで。なお、体験会は複数回にわけて実施。申し込みは同研究所℡0749(27)1047。

2022年1月14日

66カ国のローカル料理紹介

長浜市立図書館 JICAと共催で

 JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊としてアフリカやアジアなどの途上国で活動した66人が赴任地で食べた料理を紹介する展示「どローカルごはん紹介します展」が14日から市内3図書館で始まった。

 展示は任意団体の青年海外協力隊大阪府OB・OG会が出版した料理本「くらして初めて知った どローカルごはん 日本で作れる世界のレシピとお話」を通して、世界のローカル料理を紹介するもの。長浜市立図書館とJICA関西の共催で、協力隊員が各国で出会ったローカルフードのレシピをタペストリー状にして掲示し、関連図書も並べている。

 14日から2月2日までは浅井、びわ、虎姫で、同4日から20日までは長浜、湖北、高月の各図書館で開催。

 びわ図書館ではケニア、ウガンダ、ニジェールなどアフリカ18カ国のレシピを紹介。ウガンダで人気のファストフード「ロレックス」、ザンビアの家庭料理でオクラとトマトの煮込みスープ「デレレ」、エスワティニのスパイシー煮物「チャカラカ」など日本では見かけることのない料理が並んでいるが、日本でも再現できるようにと国内で手に入る材料を記している。色彩の鮮やかなアフリカの民族衣装も展示している。

 JICA国際協力推進員の桂武邦さん(36)は「メジャーではなくローカルな料理を選んでいる。展示を通して世界には知らない国、知らない料理がいっぱいあることを知ってもらい、協力隊にも興味を持ってもらえれば」と話し、市立図書館司書の松山ゆかりさん(52)は「図書館6館全部をまわって世界1周を楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。

2022年1月13日

「ゲリラ炊飯」 全国展開へ

西浅井の兼業農家グループ  バス導入資金募る

 突然現れて薪をくべ羽釜でお米を炊いて、おにぎりを振る舞う—。「ゲリラ炊飯」と銘打ったパフォーマンスで米づくりの魅力を発信しているグループ「ONESLASH(ワンスラッシュ)」が全国でゲリラ活動を展開するため、専用バスの導入費300万円をクラウドファンディングで募集している。

 30代の兼業農家の男性6人でつくるONESLASHは地元の西浅井町を盛り上げるため「西浅井はるマルシェ」「西浅井ジビエ村」「100㍍流しそうめん祭り」などのイベントを展開してきた。

 なかでも話題となっているのが、ゲリラ炊飯だ。「ライス・イズ・コメディー」(米づくりは喜劇だ)をコンセプトに、「米づくりはきつい、汚い、儲からない」といったネガティブなイメージを払しょくするため、2018年から始めた。

 突然、まちなかに屋台を引いて現れて、羽釜でお米を炊いて振る舞うパフォーマンスは長浜大手門通り商店街で披露したのを皮切りに、東京や愛媛など全国を舞台に実施。子どもが何度も列に並んでおにぎりをほおばる姿にやりがいを感じるとともに、高齢農家の「田んぼをやめようと思っていたが、もう1年頑張ってみるわ」との声が励みになっている。

 ゲリラ炊飯で各地を賑わせたいと、田植えシーズンを終えた5月から全国行脚に乗り出す。各地の生産者や加工者とゲリラ炊飯を行い、地域を一緒に盛り上げる。今月3日からスタートしたクラウドファンディングではマイクロバス購入費150万円、改装費100万円など計300万円を募集。10日程で全国の160人から約260万円が集まり、注目の高さをうかがわせている。2月20日まで。詳細はキャンプファイヤーのサイト(https://bit.ly/3Aruh1G)から。

2022年1月12日

課題の空き店舗に黒いサンド専門店

商店街の回遊性向上と活性化に期待

 長浜大手門通り商店街の東側突き当たりという好立地に位置しながら、長年、シャッターが降りたままになっていた大宮町の空き店舗に11日、黒いサンドイッチの専門店「長浜黒サンド」がオープンした。

 空き店舗は大手門通りと大通寺門前の表参道の交差する三叉路にあり、黒壁スクエアから大手門通りを東へ歩くと真正面に位置する。長年、シャッターを降ろしたままで、観光客の回遊性を阻害しているとして、地元から店舗の活用を望む声が出ていた。

 後継者不足や集客性の課題から市街地で空き店舗が増えていることを受け、長浜市、長浜商工会議所、長浜まちづくりの3者が連携して空き店舗を活用する事業者を公募。工事費や家賃の一部を補助するメニューを設けて事業者を募ったところ、個人や企業など4者から応募があり、市内で飲食店「焼肉ダイニング和SABI」「しゃぶしゃぶすきやき梅ごこち」「ビリオン珈琲」などを展開するSTフーズプロジェクト(高田伸介社長、山階町)の提案する黒いサンドイッチ専門店を選んだ。

 同社は関ヶ原町で黒いサンドイッチ専門店「関ヶ原サンド」を展開しており、空き店舗跡に出店した「長浜黒サンド」も同様のコンセプト。サンドイッチはパウダー状の竹炭を生地に練り込んで焼き上げた黒い食パンに、とんかつやサラダチキンなどの総菜を挟んでいる。とんかつサンドは「信長」、海老かつサンドは「官兵衛」など、商品名は戦国武将の名前を引用している。また、白い食パンでフルーツを挟んだデザートパンはフルーツミックスの「お市の方」、チョコバナナの「お初」など戦国時代の姫をテーマとしている。

 黒壁スクエアから東に向かう観光客の視認性が高まるようにと目立つ看板を設置。同店の統括マネージャー堀江聡彰(あきふみ)さん(55)は「アーケードに直面する一番良い場所に店を置かせていただいた。動線を確保するためにも、あえて看板を大きくした」と語る。観光客が黒壁スクエアから同店まで足を運べば大通寺の山門が目に入る。堀江さんは「回遊性を高めることで商店街の活性化に微力ながら協力できれば」と話している。

 市商工振興課は「大手門通りの正面の目立つ場所にありながら、10年以上シャッターが閉まっていた。新しい店が客を呼び込み、回遊性が高まることによって、黒壁周辺だけでなく商店街全体に賑わいが生まれれば」と期待を込める。

 昨年12月の市の調査によると中心市街地の約250店舗のうち27店が空き店舗で、コロナ前と比べ5店舗増えている。市商工振興課は今後、補助金制度を創設するなどして空き店舗の解消を図りたい考え。

 なお、長浜黒サンドの営業時間は午前11時から午後5時まで(完売次第終了)。定休日は未定。

2022年1月11日

梅の香 館内にほんのり

71回目の長浜盆梅展開幕  切り絵も

 湖北の新春の風物詩「長浜盆梅展」(長浜観光協会主催)が9日、慶雲館で始まった。

 盆梅展は浅井町高山(現在の長浜市高山町)の高山七蔵氏から盆梅が寄贈されたのをきっかけに1952年に始まり、今年で71回目。観光協会が管理する2000本の梅の中から、300本を鉢植えにし、見ごろに合わせて常時約90鉢を会場に並べている。

 明治時代築の本館では高山氏が寄贈し第1回から展示している樹齢約250年の「昇龍梅」などが並んでいる。紅白のつぼみがほころび、ほのかな香りを館内に漂わせている。名勝に指定されている日本庭園も眺められ、雪化粧の庭園を歩く観光客の姿も。

 新館では米原市の切り絵作家・早川鉄兵さんの作品と盆梅を合わせて展示。白い壁や幕で雪景色をイメージした館内に、野鳥やイノシシなどの動物の切り絵を飾っている。

 盆梅の世話をしている金子遼さんは「年末年始の雪もあったが咲き具合は例年並み。花と枝ぶり、香りを楽しんでいただければ。新館は早川さんの切り絵で例年と異なる雰囲気。雪景色の中で咲く盆梅を観賞してほしい」と話している。

 入館料は大人800円、小中学生400円。午前9時から午後5時、3月10日まで。なお。今月29日以降の土日・祝日は午後8時まで開館し、ライトアップを行う。

2022年1月7日

景観広告大賞にBiwa collage

長浜市選定 広告賞にはルーペ舎など4件

 長浜市内の魅力ある屋外広告物を市が表彰する「長浜景観広告賞」に計5件が決まり、広告大賞には元浜町のイタリア料理店「Biwa  collage(ビワコラージュ)」の看板が選ばれた。

 ビワコラージュは元浜町13番街区市街地再開発事業にともなって2020年12月に開店。築100年以上の町家と蔵を再生・改修した趣のある建物で、広告大賞に輝いたケヤキの看板は琵琶湖畔の夕景をモチーフとし、「木目のグラデーションをデザインに生かすなど、アート感にあふれている」と評価された。デザインは同所の商業文化施設を運営する「湖のスコーレ」の社長で、デザイナーの月ヶ瀬雄介さんが手掛けた。

 広告賞にはLoupe舎(宮前町)、日軽パネルシステムエンジニアリングセンターTecLab(酢)、ぺんぎん食堂(大宮町)、曳山博物館(元浜町)の看板や壁面広告が選ばれた。

 景観広告賞は2012年に屋外広告物を規制する条例を施行したのをきっかけに、市民や事業者に広告物について関心を高めてもらおうと始まった。10回目を迎えた今年は26件の応募があり、市景観審議会が審査した。18日に市役所で表彰式がある。

2022年1月7日

能登カキとラーメン堪能して

コロナ禍で転業 「麺家えん」で期間限定

 コロナ禍による飲食不況を機に居酒屋からラーメン店へと転業した「麺家えん」(高田町)が期間限定で「牡蠣小屋」メニューを始め、「カキ料理を楽しんだ後のシメのラーメンは最高」などと話題を呼んでいる。

 もともとは大通寺表参道で創作居酒屋「想咲(そうさく)えん」を経営していた川上浩二さん(45)。グループや団体の利用が多かったこともあり、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受け、2020年に店舗を移転してラーメン屋を始めた。

 感染がある程度落ちつけば、夜の居酒屋メニューを充実させようと思案していたところ、かつて期間限定でえきまちテラス長浜に出店して人気を集めた「牡蠣小屋だるま」を知人から紹介され、能登カキを扱うことに。

 カキ2㌔を堪能できる「能登牡蠣満足セット」(2800円、税込み)のほか、単品で能登半島の海産物を楽しめるメニューを取り揃えている。「カキばかりだと飽きてしまうが、居酒屋メニューもある。シメのラーメンも人気です」と川上さん。

 営業時間は昼が午前11時半から午後2時半まで、夜が午後6時から同10時まで。牡蠣小屋メニューは5月頃まで取り扱い、平日は夜のみ。なお、1月10日までは終日楽しめる。

 場所はさざなみタウン西側。不定休。問い合わせは同店℡(63)7715へ。