100年後へつなぐ琵琶湖の記録

100人が書き継いだ「交換日記」刊行

 琵琶湖とともに生きる人たちの日常を記録した書籍「100年後に読む琵琶湖日記 」が、7月1日の「びわ湖の日」に刊行された。漁師や料理人、写真家、研究者、釣り人、小中高生ら約100人が1年間にわたり書き継いだ日記をまとめた一冊で、「今」の琵琶湖の姿を未来へ残す試みとして注目されている。

 近年、琵琶湖ではコアユなど湖魚の不漁が続き、漁師の数は最盛期の約3000人から約300人へと減少。古くから受け継がれてきた漁法も失われつつある。

 「郷土食である湖魚の佃煮をおいしく食べたり、子どもたちが湖水浴を楽しんだりする日常の景色が、当たり前ではなくなるのかもしれない」—。こうした危機感を背景に、木之本町大音の出版社「能美舎」代表の堀江昌史さんが、大津市の漁師・駒井健也さんとの会話をきっかけにプロジェクトが始動した。

 メディアプラットフォーム「note」の同じアカウントを使い、参加者が2025年4月から2026年3月まで、それぞれの立場で日々の暮らしや琵琶湖との関わりを交換日記のように記録してきた。

 書籍には、湖魚の不漁に直面する漁師の思いや、湖底のごみを拾い続ける潜水士の活動、水槽の魚を観察する中高生の記録などが収められている。行政の報告書や学術論文には残りにくい「当事者の暮らし」が綴られているのが特徴という。

 発行は能美舎。堀江さんは「100人近くが自発的に集まり、1年間書き継いだ。ネット上のプラットフォームがいつまで続くかはわからない。でも本は残る。誰かの本棚に収まり、100年後に誰かの手に渡る—。そのために書籍化しました」と話す。A5判250ページ、2200円、初版2000部。

 刊行を記念し、無印良品ビバシティ彦根では7月31日まで関連展示を開催している。琵琶湖写真家・辻田新也さんの写真展や同書のパネル展、黒川琉伊さんによる原画展示が行われ、20日にはトークショーとプチマルシェも予定されている。

掲載日: 2026年07月02日