長い髪を小児患者に

女子高生が医療用ウィッグに寄付

 小児がんの治療の副作用などで脱毛に悩む子どもたちに医療用ウィッグ(かつら)を贈る「ヘアドネーション活動」に協力するため、長浜北星高校3年生の野々口ゆうめさん(17)が9日、市内の美容室で背中まで伸びた長い髪を切った。髪はヘアドネーションを呼びかけている大阪市のNPO法人に送る。

 野々口さんは、がん検診を呼びかける講演活動に取り組んでいる元がん患者の藤井登さん(64)が経営する学習塾に通っている。藤井さんから「ヘアドネーションという形で、がん患者を支援することができる」と聞かされ、協力することに。ちょうど新学期のスタートに合わせ新しい髪型にするつもりだった。

 この日、八幡東町の美容室「hana×hair」を訪れ、ヘアドネーション用のカットを依頼。美容師が毛を13本の束に分けてゴムでくくり、1束目は野々口さん自身がはさみを入れた。

 ヘアドネーションの協力を呼びかけているNPO法人「JHD&C」(大阪市)によると、ヘアドネーションには31㌢以上の長さが必要。協力者から送付された髪は計測、仕分したうえ、トリートメント処理を行い、製造工場でウィッグとなる。毛束の中には短い毛も多く含まれることから、子ども1人のウィッグを作るのに約30〜50人の協力が必要という。

 この日のカットでスーパーロングからボブへと変身し、33㌢の髪の毛を送ることになった野々口さん。カットした毛束を手に「いつもよりヘアケアを心がけてきた。ヘアドネーションについて1人でも多くの人に知ってもらい、脱毛に悩む子どもたちの助けになれば」と笑顔を見せた。

 美容室でカットを見守った藤井さんは「塾で生徒にヘアドネーションの話をしていた。がんに対する理解を深め、協力してくれたことを嬉しく思う」と語った。

 同美容室では年4回ほどヘアドネーション用のカットを依頼されるという。同美容室など長浜市内で10店舗を運営する「カミングエンタープライズ」(曽根町)の中川豊己社長(53)は「崇高な気持ちで、がん患者の不安を取り除く、大きな役割を担って下さった。今後も、ヘアドネーションの要望があれば協力したい」と話している。

掲載日: 2022年04月11日