遊休農地で金ゴマ栽培

余呉の中村さん、貴少な高級食材

 余呉町椿坂の中村正実さん(65)は地元の遊休農地を活用し、高級食材の金ゴマを栽培。年を追うごとに生産量を増やしており、注目を浴びている。

 中村さんは6年前、石川県の鉄工所から委託され、新規参入するゴマ栽培の従事者として余呉にやって来た。当初、4社が参加していたが、うち3社がわずか3カ月ほどで撤退。中村さん1人が余呉に残り、椿坂で黒ゴマの栽培を続けた。

 ところが、鹿の食害に遭い、全滅。耕作地を町内の平地に移し、電柵を施すなどし、根気よく、黒ゴマを栽培し、三重県四日市市のゴマ総合メーカーに出荷していた。すると3年前、同社から「金ゴマを作ってほしい」と依頼があった。

 金ゴマは栽培が難しいが、香りがよく、ぷっくらとしていて、商品価値が高い。国内生産はごくわずかで、高級食材として人気があり、中村さんはこれまでの経験を生かし、金ゴマの無農薬栽培に挑戦した。

 種まきと収穫以外、すべて1人でこなし、中之郷、下余呉、今市、東野などの遊休農地、耕作放棄地で徐々に栽培面積を拡大。今年は約4・5㌶にまで増やし、約700㌔を出荷した。メーカーによると1人あたりの出荷量、耕作面積とも全国トップクラスだという。

 中村さんは「休耕地を利用し、来年はさらに栽培面積を増やし、将来的には6次産業化も目指したい」と話している。

掲載日: 2022年12月15日