米原でユーカリ栽培

農業振興目指し、観葉植物として

 湖北農業普及指導センターでは地域の農業振興を図るため、新たな取り組みにチャレンジしている。

 米原市甲賀で切り花として人気があるユーカリの試験栽培が始まった。

 オーストラリア原産のユーカリはコアラのエサとして有名。小さめの葉は銀色がかった緑色でアンティークな雰囲気を醸す観葉植物として人気で、近年、ドライフラワーやフラワーアレンジメントの素材として飲食店や結婚式会場などにも飾られることが多い。

 切り花や園芸用品種としてニーズが高まっているものの、県内では栽培農家がなく、県農業試験場(近江八幡市)は適地を見つけるため、県内6カ所でテスト栽培を試みている。

 センターは同試験場とタイアップして、雪が多い中山間地における生育状況や耐寒性を調べるため、グニーやポポラスなどユーカリ6種、6本ずつを畑に植えた。

 秋までに高さ2㍍まで成長。収穫を開始する2年後には倍以上に伸びるため、作業しやすいよう剪定する。今後、生育状況や耐寒性などを調査し、遊休農地や耕作放棄地の有効活用につなげたい考え。

 担当者は「ユーカリはグリーン素材として需要が高い。まずは、この秋が楽しみ」と話していた。なお、コアラが食べるユーカリは園芸用以外のロブスタ、プンクタータ、カマルドレンシスなど約30種類に限られている。

レンゲに代わる緑肥「ヘアリーベッチ」

 センターは稲の有機栽培を促進するため、レンゲに代わる緑肥「ヘアリーベッチ」の導入試験を始めた。

 県は昨年からコシヒカリ、みずかがみを有機栽培し、県産米を「オーガニック近江米」のネーミングで販売する取り組みを行っている。

 センターではオーガニック米の安定収量を確保できる農家を育成しており、今年は新たな緑肥としてヘアリーベッチの導入を提案している。

 ヘアリーベッチはマメ科の1年草。葉はカラスノエンドウに似ており、根粒菌により大気中の窒素を貯め込むことが可能。栽培した草を土の中にすき込むことで、肥料になる。

 稲の収穫が終わった秋から春にかけて栽培し、水田に混ぜ込むことで、化学肥料の代替効果が期待できると言われている。これまで緑肥としてはレンゲがポピュラーだったが、ヘアリーベッチも雑草の発芽を抑制でき、害虫に強く、耐寒性にも優れるなど、さらに効果が高い。

 同センターは「他の肥料が不要。追肥がいらないとの評判」と話しており、今シーズン、内保町の圃場で試験的に導入。1年かけ、効果を検証してゆく。

掲載日: 2020年06月05日