戦争の悲惨さ、平和の思い 次世代へ

川道町に記念碑建立  戦没者276人の名刻む

 戦没者の名前を石碑に刻むことで戦争の悲惨さと平和への思いを次世代に継承しようと、長浜市遺族会びわ南支部(村方秀夫支部長)とびわ南仏教会(園悦子会長)が川道町の「大郷忠魂碑」敷地に戦没者記念碑を建立した。

 仏教会が2020年、敷地内の聖徳太子堂の内部に安置している戦没者の法名、戒名を記した紙、位牌、遺品の劣化を心配して点検したところ、戦没者の名前を記した紙が朽ちて4分の1程度が読み取れない状態となっていた。「このままでは戦没者の名前が忘れられてしまう」と危機感を頂いた遺族らが、未来永劫に残せる石碑の建立を計画した。

 記念碑は縦1・2㍍、横2㍍の黒御影石に、日清・日露戦争、第二次世界大戦で戦死した276人の名前が並ぶ。住所は細江、曽根、南浜、川道などびわ南地区の12カ字。1人の名前も漏らすことなく残そうと、聖徳太子堂の資料以外にも地域に残る過去の記録、遺族からの情報提供などで戦没者の名前を調べ上げた。事業費は168万円で仏教会の托鉢に寄せられた浄財などを活用した。

 今月11日、遺族会や仏教会から約60人が出席して盆法要があり、記念碑がお披露目された。

 「戦没者の忠魂と平和祈念の思いを込めた」と語るのは、仏教会の役員として建立に奔走した足利弘樹さん(70)=川道町=。自身の伯父はインパール作戦に参加し、21歳でビルマ(現ミャンマー)で戦死している。「戦争というあの時代の運命に流されて、近所の人や親族ら近しい人がどんどん亡くなった。記念碑に刻まれた名前が、戦争の悲惨さを表している」と記念碑を見つめる。

 記念碑の裏側には「平和への礎」と題し、「戦争の悲惨さと平和の尊さを深く心に刻み、次の世代に継承していくことを誓います」と刻んでいる。

掲載日: 2022年08月18日