彦根城の酵母でビール

「彦根麦酒」バイオ大教授の協力で開発

 長浜バイオ大の向由起夫教授の協力で、クラフトビール醸造会社「彦根麦酒」が彦根城内で採取された酵母を使ってビールを醸造した。

 同社は彦根産の大麦麦芽、ホップ、水、酵母を使ったビール醸造を目指しているが、酵母の発見が難航。このため、酵母の研究を行っている長浜バイオ大の向教授に協力を依頼し、2020年からビール醸造に適した酵母を彦根市内で探してきた。

 21年からは県立河瀬中学高校の科学部とも連携し、生徒が彦根城の西の丸広場に生えていたキノコを採取。そのキノコからビール発酵に適したサッカロミセスという酵母が見つかり、「彦根麦酒酵母K21」と名付け、試験醸造を重ねて今年3月下旬に製品化に成功した。

 向教授によると、サッカロミセスは一般的に花や実などの糖分から採取される酵母だといい、偶然、キノコに付着していたとみられる。キノコを採取した河瀬高3年生の宮尾悠生さん(17)も「好奇心のみで採取したキノコから酵母が見つかり、驚きしかない。その酵母からビールができてよかった」と話した。

 商品名は「志成」。河瀬中学高校の科学部が同校の校訓にちなんで命名した。ほのかに甘くフルーティーな味わいが特徴だという。330㍉㍑、税込み880円。40本限定。5月2日から彦根麦酒荒神山醸造所(同市石寺町)で限定販売する。

掲載日: 2023年04月20日