剣舞打ち込む若者2人 最後の稽古

コロナ禍で半年間出番なくとも

 剣舞と歌謡舞の「光粋流舞道」のけい古が24日夜、朝日町の武徳殿で行われ、塾生の2人が学業専念のため最後のけい古を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、半年間、剣舞を披露する機会のないまま区切りをつけることに「寂しい思いもあるが、ここで学んだことをこれからの人生でも生かしたい」と前を見据えた。

 光粋流舞道は、正義流剣舞術師範の西邑光粋さん(本名・正光、神前町)が2000年に創設。正義流の型を基本としながら、湖北にゆかりのある武将や合戦を詠んだ句で舞う剣舞術、「ふるさと」などの唱歌に合わせて扇子を手に舞う歌謡舞の指導を活動の柱としている。

 例年は地域の神社のまつりなどで剣舞を奉納してきたが、今年は1月1日の長浜八幡宮の元旦祭、2月11日の多賀大社の紀元祭での奉納のみで、その後の予定は新型コロナの影響ですべて中止となった。

 虎姫高3年の村上光君(17)=余呉町下余呉=は5歳から剣舞を習い、2年前には「名取」に。大学受験に集中するため、この日が最後のけいこ古となった。速水一君(15)=木尾町=も9月から岐阜県内の高専での寮生活がスタートすることから、この日が最後。半年間、奉納や発表の機会がなかったが、けい古に向き合ってきた。この日も普段通り西邑さんの前で舞い、所作について指導を受けていた。

 村上君は「剣舞を通して心の軸のようなものが身についた気がする。奉納する機会がなく寂しい思いがあるが、機会があればけい古場に顔を出して小さい子どもと一緒に舞いたい」と語り、速水君は「最後のけい古という実感が沸かない。これからも冬休みや春休みなど時間があるときを見つけて、顔を出したい」と話していた。

 西邑さんは「大学受験、高専での学業と、それぞれの立場は違うが、自分の道を進んで欲しい。そして、剣舞という日本の伝統を継いで、広げて欲しい」とはなむけの言葉を贈っていた。

掲載日: 2020年08月26日