余呉の古茶 再生プロジェクト

魅力を発進!ホットプレートで釜炒り

 かつて茶処だった余呉の茶園を再生し、その魅力を発信しようと地元の地域づくり協議会が中心となり、復活プロジェクトを進めている。

 茶はツバキ科の木から採取される茶葉。茶の木は根を張るため、地滑り防止の効果があり、土地の境界線を見極めるため、昔、田畑や庭先にはよく茶の木が植えられていた。

 ヤブキタ、サヤミドリなど100種以上あり、中国から入ったものがほとんど。約9割が品種改良によって生まれているが、市内には在来種の茶畑が点在していた。戦後の復興策として茶の生産が始まり、各地に出荷されたが、従事者の高齢化、製茶工場の移転などで採算が合わなくなり、衰退していった。

 長浜産の茶の活用をミッションとしている地域おこし協力隊の中山恵梨子さんは調べるうち、余呉では昔、自家用として自宅の周囲に植えていたことや出荷用に製茶工場があったことがわかり、菅並では数十年前、寺社で使われていたとされる古茶の茶園が現存していたことも判明した。

 情報を受け、地域づくり協議会では妙理の里近くの斜面で、雑草に覆われながらも残っていた茶園を再生。地元の人向けに「茶摘み」と自宅でもできる「釜炒り製茶」の体験会を開いた。

 参加した16人は中山さんのアドバイスを受けながら、新茶を摘み、ホットプレートで簡単にできる製茶を体験。口の中にほんのり残る独特の風味を楽しんだ。

 協議会は「地域に製茶のあり方を再認識してもらい、次世代に伝承できれば」と述べ、中山さんも「華やかな香り立つ余呉の茶を生かし、菅並に足を運んでもらえるような仕組みができれば」と話している。

 協議会では今後、茶園を活用するため、関係機関と協議しながら、作業道の整備などを進める考え。

掲載日: 2021年05月21日