長浜市議会会派代表質問 人口5年間で5551人減

市長「大変厳しく、重く受け止め」

 長浜市議会は10日、会派代表質問を行い、5会派の代表議員が幅広い市政課題を取り上げた。

 「新しい風」の中川勇議員は人口減少問題などを取り上げた。市の人口は2025年国勢調査の速報値では10万8585人となり、5年間で5551人減少し、減少数は県内最多となった。浅見宣義市長は「大変厳しく、また重く受け止めている」と述べた。

 市が5年間を住民基本台帳に基づいて分析したところ、死亡数が出生数を上回る自然減が約3600人、転出数が転入数を上回る社会減が約1800人。人口減少の約3分の2を自然減が占めた。

 2025年度は出生数622人に対し、死亡数は1356人。浅見市長は「人口減少の最も大きな要因は、出生数の減少だが、進学や就職期にあたる15歳から24歳の若年層の転出超過が続いているほか、近年は進学などで市外に出た若者が就職や結婚を機に戻る流れも弱まり、20代後半でも転出超過に転じている」と説明した。

 人口減少による市民生活への影響については、地域経済の担い手や人手不足、自治会運営や伝統文化の継承といった地域コミュニティー機能の低下、歳入減などによる公共施設やインフラ維持への影響を挙げた。

 浅見市長は「消滅可能性自治体に近づいている状況にある」と強い危機感を訴え、自然減と社会減の両面から対策を進める方針を示した。自然減への対応では子ども・若者の成長支援や安心して子どもを産み育てられる環境整備に取り組み、出生数の減少を抑制。社会減への対応では、企業誘致などによる働く場の確保や、若い世代が市内で働き暮らすことを選べるまちの魅力向上を進めるとしている。

 次期総合計画で2038年度の目標人口を9万7000人と設定。「人口減少というのは、一朝一夕で解決できるような課題ではない」とし、強い危機感を市民と共有しながら消滅可能性自治体とならないよう取り組む考えを示した。

病院再編、市民合意を 経営一体化3案「決め打ちせず」

 恵風会の伊藤喜久雄議員は市立病院の再建・再編を巡る経営一体化と市民合意の進め方をただした。8月の病院再建・再編推進本部会議で、長浜赤十字病院との経営一体化に向け①長浜市による長浜赤十字病院の買収②市立長浜病院への指定管理者制度導入③市立長浜病院の日本赤十字社への譲渡の3案が示されたことについて、「指定管理者制度導入ありきになっているように感じる」と指摘した。

 荻田洋介副市長は「この地域の医療と財政の両方を将来にわたって守るためには、やはり経営一体化が必要」との認識を示した上で「指定管理者制度導入ありき」との指摘には、「指定管理の場合でも財政負担は相当大きくなる。医療を守りながら将来世代の蓄えを残すことを優先すれば、別の案の方が優先度が高くなる」などと語り、「いずれの案の場合でも利点と難しい課題があり、現時点で結論を決め打ちする、そういうものではない」と理解を求めた。

 伊藤議員は今年度中に方向性を決めるとの市の方針に対して、残り6カ月で市民にどのようなプロセスで合意を求めるのか質問。荻田副市長は病院再編を「市民の命と健康に直結する大変重要な議論」とし、市民、議会、医療従事者と丁寧に議論する必要があると答えた。 市は推進本部会議を公開し、広報ながはまを通じて市民意見も募集しているが、荻田副市長は「情報量がかなり多く、それがきちんと伝わっているのか、咀嚼いただいているのかというところは、我々としても課題」と認めた。その上で「丁寧さと速さ」を両立しつつ、「市民の方にきちんとお伝えし、それからご納得をいただく、そういうプロセス」を進める考えを示した。

旧長浜地域、投票率38% 周辺地域は53% 7月の市議選

 「創生会」の加納義之議員は7月の市議選で投票率が43・52%にとどまり、前回の48・66%から5・14ポイント低下したことを取り上げ、「市民の半数以上が投票所に足を運ばない事実は、政治参加に重要な示唆を含む」と指摘した。

 成田尚人選管事務局長は、有権者の半数以上が投票しなかったことについて「市政の方向性を決定する重要な選挙であり、深刻な事態」との認識を示した。地域別の投票率について、旧長浜地域の13投票区平均が38・38%だったのに対し、旧長浜地域以外の23投票区平均は53・40%だったことを明らかにした。15・02ポイントの差となった。

 若年層の投票率は20〜30%台にとどまった。成田事務局長は「単なる投票環境の改善だけでは対応できない、より根本的な課題」とし、主権者教育や啓発活動を強化する方針を示した。

 期日前投票者は1万8880人。このうち約3割にあたる約5500人がイオン長浜店の期日前投票所を利用したことから、今後、より利用しやすい期日前投票所の配置を検討するとした。

 加納議員は若年層の投票率が低迷した背景について「情報到達の不足の可能性が高い」と指摘し、XやインスタグラムなどSNSでの発信強化を求めていた。

「整備費の再計算、必要」 小谷城ミュージアム、市「方向性見極め」

 加納議員は6月議会で整備事業費を削除する修正案が可決された「(仮称)小谷城戦国体験ミュージアム」を取り上げ、「どのような施設が本当に必要なのか議論する必要がある」として市の見解を求めた。

 大音洋産業観光部長は、ミュージアムを「社会教育施設」に位置づけ上、小谷城跡や浅井氏の歴史などを学び、市民の郷土への理解や誇りを育むことを最優先とし、観光は「副次的なもの」とした。

 加納議員は施設規模と総事業費の削減・適正化について質したが、大音部長は施設規模について地元要望や公共施設のあり方、文化財の保存環境などを踏まえて精査してきたとして、「適切な施設規模」との認識を維持。一方で「議会審議の中では拡大、縮小、いずれのご意見もあり、ご理解いただけなかったのは残念」と述べた。

 事業費については、国の交付金や有利な起債を活用し、市の財政負担の抑制に努めているとした一方、「資材価格や人件費の高騰は整備費に大きく影響するため、改めて整備費の再計算が必要」とした。

 今後については、学校施設や一部事務組合の施設整備など多額の財政需要も見込まれるとして、「本市の財政運営が持続的に成り立つことを大前提」と強調。国の交付金の期限も踏まえ、「しっかりと熟慮し、事業の方向性を見極めたい」とした。

体育館エアコン「中学校から」 市長「早急に具体化」

 共産党市議団の高山亨議員は小中学校の体育館への空調設備の整備を求め、浅見市長は「段階的に進めていきたい。具体的には中学校からではないかなと思っている」と述べ、早急に具体化する考えを示した。

 高山議員は他市に比べ小中学校体育館へのエアコン整備が遅れていることを問題視し、近年の猛暑による熱中症対策や避難所機能の観点から、体育館へのエアコン設置を求めた。

 宮川芳一教育部長は、築40年以上の学校施設が多く、長寿命化改修や教室の空調設備更新、漏水対策、照明のLED化などを優先してきたと説明。体育館への空調設備について「現在のところ、財源の確保も含め、明確に示せる具体的な計画はない」とした一方、「導入の必要性は高いと認識している」と答えた。

 この答弁に対し高山議員は、浅見市長が市長選で体育館へのエアコン整備を公約に掲げていたことを指摘し、「やる気がないのか、公約は嘘だったのか」と迫った。

 これを受け、浅見市長は「私自身もこれは非常にやりたいという気持ちはすごくある」と述べ、「一度に全部やるということは言えないが、段階的に進めていきたい」と答弁。「具体的には中学校からではないかなと思っている。早急に具体化をして、教育委員会とも相談して進めていきたい」とした。

 整備する学校数や時期、事業費など具体的な計画は示されなかった。

若者の悩み、身近な場所で 来年度、図書館などに専門職

 公明党の鋒山紀子議員は、若者が性や心身の健康などの悩みを相談しやすい体制づくりについて質問し、市は来年度から図書館や若者が集まる場所に専門職を派遣し、相談につながる仕組みづくりを進める考えを示した。

 鋒山議員は、若者が悩みを抱えていても行政や医療機関への相談には心理的なハードルがあるとして、若者が無料、匿名で専門職に相談できる「ユースクリニック」の考え方を取り入れた支援を提案した。

 山口百博健康福祉部長は、思春期や青年期の若者が抱える悩みについて「性や心身の健康、就労、家族関係など多岐にわたる」と説明。「相談するというその行為そのものが、本人にとって大きなハードルになっている」と課題を挙げた。

 また、保健センターなどの行政窓口について「用事がなければ行かない場所という印象もある」とした上で、「若者に来てもらうことを前提とした相談窓口だけではなく、若者が日常的に過ごす場所や身近な人を通じて相談につながる仕組みによる体制強化を検討したい」と答えた。

 具体的には来年度、若者が気軽に立ち寄る図書館や、えきまちテラス長浜で開設されている若者のサードプレイスなどに専門職が出向き、「まずは若者世代や支援者と顔の見える関係づくりから始めたい」とした。

掲載日: 2026年09月18日