学生が大通寺門前で披露
長浜きもの大園遊会に代わる新イベント「長浜きものアワード」が12日、市街地で開かれ、学生によるファッションショーが開かれた。着物や帯を斬新に加工したモード感あふれる衣装が次々とランウェイで披露され、参加した学生は審査員やカメラの前でポーズを決めるなどしてPRしていた。
大学や専門学校から9校17チームがエントリー。学生が着物や帯を取り入れた装いで大通寺門前のレッドカーペット上を歩き、モデル・女優の川津明日香さんや声優の山口勝平さんら5人が審査した。
和の素材を取り入れながら、モード感や細部の美しさなどにこだわった衣装が続々と登場し、グランプリには愛知学泉短期大学生活デザイン総合学科2年の仲野あかりさん(20)の作品が選ばれた。「和魂漢才」をテーマにスカートと振り袖を組み合わせ、スカートは浜縮緬とレースを幾重にも重ねて作り上げ、振り袖の部分は透ける素材で「ステンドグラス」風にデザインしている。自身がモデルを務め、「グランプリに輝き、とても嬉しい。360度どこからでも美しく見えるように制作した。今後もデザインに浜縮緬を取り入れたい」と話した。
審査員特別賞に輝いた成安造形大学のグループ「ブラッキュ」はピンク色に染めた浜縮緬を用い、「美しさと醜さの共存」をコンセプトにした作品を披露。グループのリーダーで空間デザイン領域コスチュームデザインコース3年生の宮下樹さん(21)は「コスチュームデザインコースは異素材を使った加工法が特徴で、造形的な表現が主。それを着物という伝統的なものに当てはめて表現できたのは良い機会だった」と振り返り、浜縮緬について「ゴツくて存在感がある生地。それをうまく使いこなせるかがデザイナーの技量だと思う。魅力的な生地なので使いたいが、難しさが伴う」と話した。
長浜きものアワードは、秋の風物詩だった園遊会の中止に伴って、新しく誕生した実行委員会が新趣向の和装イベントを模索する中で誕生した。急ピッチの準備だったため学生の参加は17チームにとどめたが、これ以外にも参加を希望する学校が多くあったという。新イベントは成功裡に終わり、実行委員長の和田洋典さんは閉会式で「今後も若者に着物文化にどんどん触れてほしい。アワードを若者の制作発表の場、着物を着る機会とし、着物のまち長浜、学生の集まるまち長浜を目指したい」と語った。
成安造形大学3年生の松尾栞さん(21)は「学外でのファッションショーも、コンペも初めてで、今までにない経験となった。他の大学の作品を見たり、会話したりして刺激を受けた。来年以降も開かれるなら是非、参加したい」と話していた。