犬にも人にも美味しく、長浜バイオ大生が提案
高級食パン専門店「さすがにオテアゲ」(守山市)の依頼を受け、長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科の学生が犬も人も食べられるパンの開発に挑戦している。15日には商品アイデアを紹介するプレゼンテーションが大学であり、審査の結果、柴犬をモチーフにした食パンが商品化第1弾として動き出すことになった。
「さすがにオテアゲ」はベーカリープロデューサーの岸本拓也さんが手掛けた店舗で、両前脚を挙げた柴犬「オアゲ」の看板がトレードマークとなっている。その看板から「犬用のパン屋さん?」と間違われることも多く、「それなら犬も一緒に食べられる食パンやおやつを」と新商品を開発することに。ただ、犬用の食品を開発するノウハウがないことから、アニマルバイオサイエンス学科がある長浜バイオ大に協力を打診した。
同大では河内浩行教授(食品分子機能学)が2、3年生に商品化プロジェクトへの参加を呼びかけ、有志20人が応じた。
商品開発にあたっては河内教授と親交のある彦根市の獣医師・柴山隆史さん(柴山動物病院長)を講師に迎えて人と動物の食性や必須栄養素、代謝の違いを学び、犬に与えてはいけない食材や開発に当たっての注意点を教わった。
商品開発は5つのグループに分かれて行い、この日のプレゼンでは順番にコンセプトやレシピなどを紹介し、「さすがにオテアゲ」の製造担当者やマネージャー、大学関係者ら6人が審査した。
犬と人のアレルギー食材を比較して小麦粉を米粉に、牛乳をヤギミルクや豆乳に置き換えたり、野菜に含まれる栄養成分を分析した上で栄養バランスや彩りを考慮して野菜を生地に練り込んだりと各グループがバイオ大学生らしいアイデアを披露していた。
最も審査員の目を引いたのは、柴犬の顔を再現した食パンを提案した川畑朱璃さん(20)、森本ゆり子さん(20)、吉田優理さん(20)、米澤実佑さん(20)の3年生4人グループ。バターを食用ヤシ油、生クリームを脱脂粉乳に置き換え、全粒粉、野菜(ニンジン、カボチャ)、竹炭パウダーで柴犬の顔、耳、目の色を表現し、SNS映えを意識。試作でも看板犬をモチーフにした可愛らしい「おあげパン」を完成させた。
4人は「ニンジン、カボチャ、全粒粉など色を付ける食材の栄養面を分析し、バイオ大で学んだ知識を活用した。完成すればペットと一緒に食べてみたい」と話した。
「さすがにオテアゲ」の製造担当の太附正和さん(58)は、「いろんなアイデアが出て、それぞれの食材をよく調べていて感心した。このアイデアを活用し、試行錯誤して商品化につなげたい」と話した。
早ければ5月中にも試作品を作って学生に届け、学生は成分分析などで犬のおやつに適しているのか調べる。7月に店頭に並ぶ予定。
なお、この日のプレゼンではドーナツ、マフィンなどのアイデアも提案され、こちらも商品化に向けて開発に乗り出すという。