田村山麓に新たな保護池、住民や学生ら整備作業
長浜市南部の田村山に生息する希少種ヤマトサンショウウオの保護活動に取り組んでいる田村山生き物ネットワーク(会長=齊藤修・長浜バイオ大アニマルバイオサイエンス学科教授)は24日、新しい保護池の整備作業に取り組み、ネットワークのメンバーやバイオ大学生、近隣住民、生き物好きの小学生グループなど約70人が参加した。
田村山では2005年に齊藤教授が麓の側溝に卵の塊を見つけたことでヤマトサンショウウオの生息が明らかになった。齊藤教授の呼びかけで結成した同ネットワークは13年に山の麓に保護池を整備し、今では保護池での産卵が定着している。
ただ、ヤマトサンショウウオが田村山から保護池に移動するには道路や側溝を横切る必要があり、池の手前にある側溝に足止めされるなどして産卵数は減少傾向にあるという。
このため、新しい保護池は道路や側溝に邪魔されない山際に整備。クラウドファンディングで協力を呼びかけ、146人から寄せられた資金164万9000円を活用した。
この日は齊藤教授の案内で田村山の遊歩道を散策して自然豊かな里山環境を学んだ後、新しい保護池に移動して斜面に石を積む作業に取り組んだ。参加者が手分けして石を置き、足裏で叩いて斜面に固定していた。
また、現在の保護池に生息する天敵のアメリカザリガニの駆除も行った。池の水をバケツですくい上げ、岩のすき間に隠れるザリガニを1匹ずつ捕獲した。ザリガニは近くの田んぼや水路から陸を移動して侵入するといい、定期的に駆除を行っているが、この日は60匹以上を捕まえた。
参加者の中にはザリガニ好きの子どももおり、齊藤教授は「アメリカザリガニは外来種で、ヤマトサンショウウオの卵も親も食べる。駆除せざるをえない」と説明していた。
ヤマトサンショウウオはこの時期は田村山に生息し、2月ごろに産卵のため保護池に戻ってくるが、この日は池の中でオス1匹が見つかった。齋藤教授は「山から降りてくるメスを待つため、季節を前倒しして池にいるのかも」と話していた。
作業を終え、齊藤教授は「田村山に希少種がいることを知ってもらい、地元の理解と協力を得て末永く残していきたい」と話し、この日の作業に約70人もの有志が参加したことを喜んでいた。
なお、新しい保護池には今後、地下水をくみ上げるポンプを設置して水を張り、現在の保護池で生まれるサンショウウオを移す。数年で新しい保護池での産卵が定着するという。