八島町で発見、三田町の耕作放棄地に移植
県内ではほとんど群生が確認されていないキク科の希少種「ホソバオグルマ」(細葉小車)が八島町の国道365号線の脇で見つかった。「このままではなくなってしまうかもしれない」と、地元の浅井湯田地域づくり協議会などの手によって一部が三田町内の耕作放棄地に移された。
ホソバオグルマは1年草で初秋に黄色い花を咲かせる。花びらが規則正しく円形に整って咲くさまから小車に例えられたとされる。県内では八島町のほか、甲賀市と多賀町でしか確認されていないという。
湖北野鳥センターの植田潤所長によると、5年ほど前に米原市内の植物愛好家から八島町にホソバオグルマが咲いているのを知らされた。もともとは周辺の田んぼの畔に群生し、除草などの影響で国道沿いの歩道にだけ残ったとみられる。ただ、この歩道からいつ姿を消してもおかしくない状況で植田さんが「何とか残せないか」と地域づくり協議会に相談。協議会の橋渡しで、農地の保全活動などに取り組む「三田まるごと会」の協力を取り付け、姉川堤防近くの耕作放棄地に一部を移植することになった。
27日、地域づくり協議会、八島町、三田町自治会関係者、三田まるごと会のメンバーが植田さんからホソバオグルマの特徴を教わりながら歩道に生えている株をスコップで掘り起こし、三田町内に移植した。
植田さんは「どうなるかと心配していたが、こうしてみんなの協力で残すことができ嬉しい」と話している。移植されたホソバオグルマは今年、根を張り巡らせ、来年には黄色の花を咲かせる姿が見られそう。