安くて、おいしいビワマスへ

長浜バイオ大が飼料開発  焙煎大豆に高評価

 「琵琶湖の宝石」と呼ばれるビワマスを、もっと安く、おいしく—。養殖業者の撤退が相次ぐ中、長浜バイオ大学の河内浩行教授の研究室が、地域で生じる未利用資源を生かした餌づくりを進めている。25日には学内で4種類の餌で育てたビワマスの食味試験を実施。職員や学生らが味や脂の乗りなどを比べた結果、焙煎大豆を加えた餌で育てたビワマスが最も高い評価を得た。

 ビワマスは琵琶湖だけに生息するサケ科の固有種で、クセがなく上品な脂が特徴。「琵琶湖の宝石」とも呼ばれる重要な水産資源となっている。

 一方、養殖を取り巻く環境は厳しい。魚粉や魚油など飼料原料の価格が高騰し、電気代も経営を圧迫。採算が合わず、養殖から撤退する業者も出ている。需要があっても十分に供給できない状況が続いている。

 とりわけ餌の価格は、養殖業者が「続けるか、やめるか」の判断にも直結する。

 河内教授の研究室は2011年ごろから、びわ鮎センター(南浜町)などと協力し、低コストで脂の乗ったビワマスを育てる餌を追い続けてきた。2018年には駆除されたブラックバスをすり身にして活用。2023年には酒かすやおから、商品化できないアユ、ビワマスのアラなどを混ぜた餌を開発し、育てたビワマスを「ビワトロマス」として市場へ送り出した。

 今回の試験では、これまで開発してきたアユやビワマスのアラ、酒かすなどを使う餌を基準に、ゆで卵、焙煎大豆、バナメイエビをそれぞれ加えた4種類を用意した。参加者には中身を知らせず、食べ比べてもらった。

 結果は、焙煎大豆が1位。ゆで卵が2位、従来餌が3位、バナメイエビが4位となった。

 コスト面でも焙煎大豆は有望な結果を示した。20㌔当たりの原価試算では、一般的なニジマス用飼料が1万2000円なのに対し、焙煎大豆を使った飼料は3176円。ゆで卵は4394円、バナメイエビは5138円、昨年までの餌は5144円となっている。いずれも原料費の試算で、人件費などは含まない。

 研究では味や脂の乗りだけでなく、身の色にも注目している。天然ビワマスは鮮やかな赤みを帯びた身が特徴で、見た目も商品価値を左右する。バナメイエビは、殻などに含まれるアスタキサンチンを利用し、養殖ビワマスの「色上げ」につなげる狙いがある。

 食味試験に参加した伊賀良衣華さん(1年)は「ビワマスは初めて食べた。脂の乗りもよく、サーモンよりおいしい。普通にすし屋に並んでほしい」と期待した。

 今回の結果は、来年5月ごろから与える餌の配合に反映する。小規模な試作を重ねながら、より安く、よく育ち、味の良い餌へと改良を続ける。

 目指すのは、低コストの餌を養殖業者に提供し、撤退した業者の復帰や新たな担い手につなげること。養殖ビワマスの生産を支え、県民にとってより身近な魚にしていくことを思い描いてり、河内教授は「将来、平和堂に養殖ビワマスが並ぶようになれば」と話している。

 

 

掲載日: 2026年08月26日